連作障害のプランター栽培対策、連作障害をローテーションで避けるために

 

連作障害に関するプランター栽培の対策、連作障害をローテーションで避ける方法について紹介します。

プランターの連作障害はローテーションを上手にすることで対策できます。

連作障害対策としてのローテーションはプランター に限らず野菜を地植えで栽培する上でも知っておいた方がよい事柄です。

庭でも畑でもプランターでも、同じ場所で同じ野菜を栽培し続けていると、だんだん野菜が育たなくなる、というのは連作障害でみられる現象の1つです。

せっかく野菜を育てるのだから大きく立派に育ってほしいのに、最初はよくできていたのがなんだか最近野菜がうまく育たない、という時は連作障害が出ている可能性があります。

連作障害とはどんなものなのか、野菜がうまく育たない、という方のために、自分でできる簡単な連作障害の対策をプランター栽培で行う方法、上手な野菜の栽培ローテーションについて紹介します。

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目次

連作障害とは

連作障害とは、野菜を同じ場所で毎年栽培し続けることで、野菜がそれまでのように成長しなくなったり、病害虫が出やすくなる現象のことを言います。

連作障害は全ての野菜や花、ハーブなどの植物に起こるわけではなく、連作障害の起きやすい野菜、連作障害が出にくい野菜があります。

また連作障害は同じ野菜を繰り返し栽培するだけではなく、同じ科の野菜を続けて栽培することでも連作障害が出ますので、別の野菜だと思っても同じ科の野菜かどうかまでしっかり確認しましょう。

連作を避けるべき野菜の組み合わせについてはこの後紹介します。

 

連作障害の原因

野菜栽培における連作障害の原因は、土の養分のバランスが偏ることも原因の1つです。

それぞれの野菜が必要とする養分は少しずつ違っていますが、同じ野菜を繰り返し栽培しようとすると、前作でその野菜が必要とする養分を土から吸収してしまっているため、そのままでは次の栽培の時に栄養分が足りない、という状態が起こります。

また土の中の栄養分が偏ることで、土の中の微生物の環境も変わってしまい、病気の元になる細菌やセンチュウ類が繁殖してしまい、連作障害が起ることがあります。

また同じ野菜を繰り返し栽培すると、その野菜を好む害虫もその場所に集まりやすくなり、野菜が被害を受けやすくなります。

連作障害の対策のために、土の栄養分のバランスが崩れる、土壌微生物、害虫、これらに注意する必要があります。

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プランターの連作障害対策としてできることは二つ

ではそのような連作障害についてどんな対策方法があるのでしょうか?

プランターの連作障害対策は大きく分けて二つの方法があります。

一つは、作物の栽培を終えるごとにプランターの土を新しい土に交換するか、土のバランスを回復するために土の手入れをすること。

もう一つは、野菜は種類を変えてローテーション栽培することです。

この両方を組み合わせればより効果的に連作障害対策ができ、植物を上手に育てることができます。

それぞれの方法について具体的なやり方を説明します。

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プランターの連作障害対策①野菜栽培・収穫後の土の手入れ

 

連作障害のポイントは育てた野菜によって、土の疲労度や栄養バランス、土の中の細菌の活動状態が変わることです。

栽培期間の長い大型野菜、果菜は土の疲労度も大きくなりますので連作障害を起こしにくくするために植え付け時、栽培中、栽培後に次の野菜を育てる時にも念入りに土の手入れを行います。

プランター栽培の場合の連作障害対策のための土の手入れを紹介しますが、地植えでも基本的に考え方は同じですので参考にしていただければと思います。

まず栽培を終えた作物の残渣を片付け、プランターの土の中の根を可能な限り取り除きます。

丁寧にやろうと思ったら土を振るって細かい微塵を取り除きます。

次の作物を育てるまで時間が取れる時は、そのままプランターごとで構いませんのでしばらく放置して土をカラカラに乾かします。

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時々上下を混ぜ返して空気や日光に触れる表面部分を入れ替え土を完全に乾かします。

日光に当てることで熱と紫外線による消毒になりますので可能なら土をビニールシートなどに広げてしっかり日光消毒できればなおよいです。

大きなものを育てた後は、できれば最低でも1ヶ月は放置したいところです。

土を乾燥させた後、石灰を土の表面がうっすら白くなる程度にパラパラとまき、よく混ぜ合わせたら、ジョウロでたっぷり水をかけ、土全体を湿らせます。

作物を育てて、そのままにしていると土は酸性に傾いた状態ですので、石灰で酸度調整をします。

苦土石灰を使った場合はそのまま1〜2週間置いてなじませます。

有機石灰や草木灰の場合はその後すぐ次のステップに入って構いません。

酸度調整後の次のステップは、土の中の微生物や栄養のバランス回復です。

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有効な微生物を増やし、栄養を補給するために有機質や肥料分を土に入れます。

土に加えるとよいのは土の発酵を促す効果もある米ぬかや油粕、骨粉などです。

チッソ、リン酸、カリを補う肥料分と、発酵済みの堆肥や腐葉土などの有機質をバランスよく加えます。

発酵済みの堆肥や腐葉土を入れてやるとそこに含まれる微生物が肥料分を栄養にして繁殖してくれるため、土の力がよく回復します。

作物残渣や土の中の根を取り除くと土の量も減ります。残った土の3割程度の堆肥をたっぷり追加投入するのがコツです。

かなり疲れた土の場合は微生物入りの土壌改良剤を加えるとなおよいです。

これらを加えた後、土をよく混ぜて、全体が程よく湿る程度に水やりをしてから1〜2週間おきます。

これで土の再生は完了で、次の野菜栽培を始めることができます。

この方法では熱による殺菌の処理をしていない、比較的簡単に次の作物を育てるための土の手入れになります。

もしセンチュウ類を含む連作障害が出てしまった場合には、その土は熱消毒のプロセスもしっかり入れないと次の作物がかなりの確率で被害を受けますので、土を熱消毒してください。

センチュウ類の対策については別記事で紹介しています。

土の熱消毒の方法についてはそちらで詳しく紹介しています。

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プランターの連作障害対策②野菜栽培のローテーション

連作障害は、同じ野菜を連続で育てることで起こります。

一つの野菜を育てたら、一定期間同じ野菜は育てずに間を開ければ、またその野菜を育てることができます。

間を開けた方がよい期間は野菜によって違います。

連作障害の出やすい野菜は長いと3〜4年間をあけるのが望ましいものもあります。

逆に連作障害が出にくく、続けて栽培してもあまり影響がない野菜もあります。

地植えの場合は区画を3〜4区画に区切って、例えば今年はA区画でトマトを栽培したので来年のトマトはB区画で栽培する、というようにローテーションさせるようにします。

プランターの場合は、複数のプランターを置くスペースがある場合は、同じようにプランターA、B、C…で栽培する野菜をローテーションさせます。

もし、プランターを一つしか置けない場合は、今年はトマト、来年はきゅうり、というように年ごとに栽培する野菜を変えるか、プランターの土を全て入れ替えて来年もトマトを育てる、というやり方で栽培する野菜を変えてゆきます。

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プランターの連作障害対策③連作障害が出やすい野菜と同じ科の野菜の組み合わせについて

連作障害がでやすい野菜がどれかを知っておくことで、栽培する野菜のローテーションを上手に組むことができます。

連作障害が出やすいことで知られている野菜の筆頭がなすです。

なすは連作障害を起こしやすく、最低でも3〜4年間をあけるのが望ましいと言われています。

そのほか、連作がでやすい順に、じゃがいも、トマト、ピーマン、唐辛子、豆類、きゅうり、ゴーヤ、キャベツ、白菜、レタスなどが挙げられます。

じゃがいも、トマト、ピーマン、唐辛子は同じナス科の野菜で連作障害がでやすいです。

ネギ類や小さな葉野菜、人参、かぼちゃなどは連作障害が出にくい野菜です。

この中で、同じ科で連作障害がでやすいのは以下の組み合わせになります。

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◆ナス科:なす、じゃがいも、トマト、ピーマン、唐辛子

◆ウリ科:きゅうり、ゴーヤ、スイカ、メロン

◆マメ科:枝豆(大豆)、エンドウ、そら豆

◆アブラナ科:キャベツ、白菜、ブロッコリー、カリフラワーなど

◆キク科:レタス類、サラダ菜、フキ、ごぼうなど

 

上記を参考に、一つの野菜の栽培を終えたら、次は別の科の野菜を選んでローテーションさせながら順番に育てるようにすれば連作障害の問題は解決します。

5つの科を紹介していますので、一つの場所で毎年野菜のグループを変える輪作栽培をしたら同じ科の野菜栽培は5年に1度になりますね。

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プランターの連作障害対策④ローテーション栽培でプランターをフル活用する具体例

9月末に小松菜の種を蒔きました。

ほぼ同じ時期に春菊の種を別のプランターに蒔いて育てます。

小松菜はアブラナ科、春菊はキク科の葉菜です。

小松菜は約1ヶ月後、十分に育ったあと、掻き取り収穫ではなく全て根っこごと抜き取って収穫し、プランターをあけます。

土の中に残った小松菜の根を軽く取り除き、土の上下を返しながら1週間程度日光に当てます。

この時は土に水は撒かず、天候にまかせて土を乾かします。

大まかに土の全体に日光が当たったところで、少しの石灰と肥料を足して土をよく混ぜ、水を満遍なく蒔いて土を湿らせます。

この状態でまた1〜2週間土をなじませます。

 

程よく育ってきている春菊を間引く際に、丁寧に根に土をつけた状態で抜き取り、準備ができた小松菜を育てていたプランターに植え付けます。

春菊の本葉が3〜5枚くらいの頃がタイミングとしては一番よいです。

上の写真は間引き後に、もともと春菊の種をまいたプランターでさらに大きく育った春菊です。

春菊は小松菜に比べて発芽も成長もゆっくりですので、小松菜の収穫後にちょうど苗を植え付けられるくらい時間差があります。

こんなふうにアブラナ科の小松菜を育てた後のプランターを、秋の間にもう一度、今度はキク科の春菊を栽培するためにローテーション栽培でフル活用させることもできます。

もし小松菜を収穫する前に春菊の苗が大きくなりすぎてしまいそうな時は、間引きの時期はずらさず、苗を抜き取って一時的に小さなポットに一株ずつ移植しておくとよいです。

プランターに植えたまま苗が大きくなりすぎると、その分根も広がるので春菊の苗を抜くときに残すべき他の春菊の苗の根を傷つけてしまいます。

一時的に一株ずつポットに置いておけば、他の苗を傷つけることなく、移植する苗もよい環境で移植を待ちながら養成することができます。

二つのプランターの春菊が収穫期を迎える頃には気温も下がり春菊の成長スピードもゆっくりになるため、春菊がたくさんあっても焦って一度に全部を収穫する必要もなく、食べたい分だけ、使いたい分だけを少しずつ春菊を収穫することができます。

ワンシーズンの短い期間に一つのプランターで二種類の野菜を育てられるとかなり効率よく自家製の葉物野菜を楽しむことができます。

プランターが二つない、という場合は小松菜を収穫してから春菊の種を蒔いたのでは遅いので、最初から小さなポットに春菊の種を蒔いて苗を育てておくのがおすすめです。

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プランターの連作障害も地植えの連作障害も対策は土を管理すること

連作障害が出るからと、なすやきゅうりは絶対に同じ場所では育てられないか、というと必ずしもそうではありません。

特に地植えの場合は、手入れをしっかりして土の元気が回復していれば、毎年同じ野菜を栽培しても連作障害はあまり気にしなくても大丈夫だったりします。

実際プロの農家は自分の農地でずっと同じ作物を作り続けていますよね。

プランターの場合も同様です。

ただし、プランターは土の量が限られているため、より連作障害に対してはシビアです。

同じ土、同じプランターで連作したい場合は土を乾燥させる、日光に当てて殺菌する、石灰や草木灰を土に混ぜるなど複数の方法で土の消毒をしっかりしてから養分を補い、土を再生させます。

新しい培養土に入れ替えればまっさらな状態で野菜を育てることもできますが、それではいくら土があっても足りなくて、どんどん使えない古い土が溜まり、処分にも困ることなります。

ベランダ菜園の場合、古くなった土をその辺にばらまくわけにもいかず、専門業者に引き取ってもらうためには費用もかかります。

上記の土の再生方法を覚えておけば、資源を有効活用することができますので、お試しいただければと思います。

同じ土を手入れしながら状態を整えるのは、ぬかみそに通じるものがあります。

手入れを繰り返すほどにその土に愛着が湧いてきて、土を今まで以上に大切に扱うようになれば、ちょっとした状態の変化にも気付きやすくなるので、作物を上手に育てられるようになります。

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