いちじくの実がならない4大原因といちじく栽培のおすすめ品種(種類)の紹介

 

いちじく(イチジク・無花果)の栽培は簡単ですが、時々いちじくの実がならない、と聞くことがあります。

いちじくの栽培で実がならないのは多くの場合4つの原因のどれかが疑われます。

この4つのポイントさえ押さえれば、いちじくは庭植えでも鉢植えのベランダ栽培でも簡単によく実がなる初心者におすすめの果樹です。

鉢植えでも育てやすく樹上で完熟したいちじくは甘くて蜜のようにねっとりとしていてとても美味しいものです。

地植えにするとかなり大きくなりますので、広い庭がある場合を除いては鉢植えでいちじくの栽培を楽しむのがおすすめです。

この記事ではいちじくの実がならない4つの原因、いちじくという果実そのものについて、そして基本的な育て方とおすすめ品種を盛り沢山に紹介します。

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目次

  1. いちじくの実がならない栽培上の原因①:剪定方法
  2. いちじくの実がならない栽培上の原因②:樹勢と肥料のやりすぎ
  3. いちじくの実がならない栽培上の原因③:日照
  4. いちじくの実がならない栽培上の原因④:水切れ
  5. いちじくの実がならない栽培上の原因⑤:なんとか実がなっても甘くない原因は?
  6. いちじくの種類の定番品種、桝井ドーフィンについて
  7. 世界的に見たいちじくの状況
  8. いちじくの栽培は鉢植えでも簡単に実がなるのでおすすめです!
  9. いちじくの栽培・育て方①:いちじくの白い汁について
  10. いちじくの栽培・育て方②:鉢植えの鉢サイズ
  11. いちじくの栽培・育て方③:鉢植え用の土の準備
  12. いちじくの栽培・育て方④:肥料について
  13. いちじくの栽培・育て方⑤:鉢への植え付け
  14. いちじくの栽培・育て方⑥:水やり
  15. いちじくの栽培・育て方⑦:病気と害虫
  16. いちじくのおすすめの品種(種類)の選び方
  17. いちじくのおすすめの品種(種類)①:蓬莱柿(ほうらいし)
  18. いちじくのおすすめの品種(種類)②:ホワイトゼノア
  19. いちじくのおすすめの品種(種類)③:ロングドゥート(バナーネ)
  20. いちじくのおすすめの品種(種類)④:ビオレソリエス
  21. いちじくのおすすめの品種(種類)⑤:ゼブラ・スイート
  22. いちじくのおすすめの品種(種類)⑥:カドタ
  23. いちじくのおすすめの品種(種類)⑦:ロードス
  24. いちじくのおすすめの品種(種類)⑧:アイーダブラック
  25. いちじくのおすすめの品種(種類)⑨:アルマ
    1. いちじく、アルマの品種情報
  26. いちじくは家庭での栽培におすすめの果樹

いちじくの実がならない栽培上の原因①:剪定方法

いちじくは樹勢をコントロールするためにも剪定が必要ですが、剪定する枝の選択に失敗すると実がならない、ということになります。

いちじくのどの枝を剪定するかはそのいちじくの特性を理解した上で決める必要があります。

いちじくの実は夏と秋の2回なりますが、品種によっては夏秋両方実がなるもの、秋果だけ実がなるもの、と品種によって別れています。

いちじくの夏果は前年枝につきます。

いちじくの秋果はその年に伸びた新しい枝の先につきます。

そのため、夏果をならせたい場合は枝を全て剪定してしまうといちじくの実がならないです。

また剪定を全くしないと、新しい枝が伸びず、秋果のいちじくの実がならない前年枝が多くなってしまいます。

夏秋両方の果実を収穫する場合は前年に伸びた枝の半分だけは1〜3芽残して剪定して、残りの枝はそのまま伸ばします。

こうすることで残した枝に夏果、剪定した枝に残した芽から伸びた新しい枝に秋果をつけさせることができます。

秋果だけをならせる場合は全ての枝で切り戻し剪定をします。

上の写真は全ての枝を切り戻した状態です。

鉢植えでまだ木が小さい場合など、夏果を実らせるといちじくの木に負担が大きくその後の成長が芳しくない場合がありますので、秋果だけの収穫にするほうがよい場合があります。

写っているのはブランシュダルジャンティユ、レディグレイ、アルマ、ロードスのいちじく苗木です。

剪定の時期は冬の休眠期です。

 

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いちじくの実がならない栽培上の原因②:樹勢と肥料のやりすぎ

いちじくはもともと生育が旺盛な植物です。

ですから特に地植えの場合、根が伸びるスペースもたっぷりあるので肥料をやりすぎると枝葉ばかりが伸びて、そちらにエネルギーが使われて実がならないのです。

特に樹勢の強いいちじくの品種は幼苗の時期に実がならない傾向が強いです。

いちじくの木の樹勢を抑えるために枝葉を成長させる窒素肥料は控えめにやるのがよいです。

また樹勢を弱める方法として、冬の休眠中にあえていちじくの木の根を少し切って根の量を減らす、まっすぐ上に伸びた枝を横に開くように誘引して主軸ではなく脇芽を育てることで樹勢を弱める、最初から根域を制限して育てる方法があります。

樹勢があまり強くない豊産性のいちじくを選ぶのも、いちじくの実がならない状況を回避する1つの方法です。

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いちじくの実がならない栽培上の原因③:日照

果樹なのでごく当たり前と言えば当たり前なのですが、いちじくは日当たりのよい場所を好みます。

丈夫で耐陰性もあるので日陰でもいちじくの木は枯れずに育ちますが、日当たりが悪いて実がならないか、なっても実の数が少なくなります。

また日当たりが悪いといちじくの実がなっても味が薄くて美味しくない、ということになりかねないので、なるべく日当たりのよい場所で育てることが大事です。

半日くらいは日が当たる場所を選んで育てましょう。

 

いちじくの実がならない栽培上の原因④:水切れ

地植えの場合はほとんど問題ありませんが、いちじくを鉢植えで育てる場合は水が切れるといちじくは枯れてしまうか、枯れないまでもせっかくなっていた実が落ちてしまったり、実がすかすかになって肥大しなくなります。

特にいちじくの実がなって大きくなるのは7月以降の夏の暑い時期です。

いちじくの木と鉢のサイズのバランスもありますが、いちじくの成長はものすごく旺盛なので最低でも8号鉢以上で育てないとあっという間に水切れします。

ある程度いちじくの木が大きくなると、いちじくの葉も大きくなってきて、その分蒸散も激しくなります。

鉢植えの場合、夏場は1日3回水をやらないと鉢土がカラカラに乾いてしまうこともあります。

鉢土の表面が乾いていたら葉が萎れ始める前に水をたっぷりやるようにしないと、せっかくなっているいちじくの実も水が足りずに落果してしまうので、夏の水やりは特に注意が必要です。

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いちじくの実がならない栽培上の原因⑤:なんとか実がなっても甘くない原因は?

いちじくには前年枝に夏果、今年伸びた枝に秋果の実がなります。

そして品種により夏果だけがなるもの、秋果だけがなるもの、夏果と秋果両方なるものがあります。

また秋果メインの品種と言われていてもわずかに春先から夏果の実がつくことがあります。

その場合、残念ながらせっかく実がついても十分に熟さず実が落ちたり、一応熟しても味が薄い場合があります。

また夏秋2回収穫できる品種は、傾向として夏果の方が大きい実がなりますが秋果と比較して水分が多く甘みは薄めです。

逆に秋果は夏果より小ぶりになりますが、濃厚で甘みも夏果よりぐっと濃くなります。

もし育てているいちじくの夏果の味が今ひとつ、と思っても秋果の実がなるのを待ってみてください。

それでも今ひとつ、という場合は先ほど紹介した日当たり、その年の気候、いちじく自身の樹勢や状態が理由だと思いますので、気長に翌年の収穫を楽しみにしましょう。

生き物ですから毎年実がなる数や大きさ、味は少しずつ違ってきます。

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いちじくの種類の定番品種、桝井ドーフィンについて

いちじくの営利栽培で果物として売られているのは多くは桝井ドーフィンという品種です。

日本では愛知県がいちじくの産地としては有名です。

桝井ドーフィンは果実の日持ちがよいことから営利栽培向きのいちじくの品種(種類)として全国に広まりました。

桝井ドーフィンがいちじくの営利栽培の8割を占め標準品種のようになっています。

でも、その他にも美味しいいちじくの品種(種類)がたくさんあるのをご存知ですか?

売られているものはどうしても完熟前に実を収穫することもあり味が薄く甘みもあっさりしています。

せっかくの家庭果樹なのでお店では手に入らない珍しいいちじくの品種(種類)や実が柔らかくて輸送が難しいけれど甘みが強く美味しい品種(種類)を育てるのをおすすめします。

小粒の品種や大きな実がなる品種、皮が薄い淡い緑色の実がなる品種や、果実の味がねっとりと糖度が高いものなど、売っているのとは違う、育てているからこそ味わえるいちじくの味があります。

家庭での栽培におすすめの桝井ドーフィン以外のいちじくの品種(種類)のおすすめについてはこの後紹介します。

どれも鉢植えで育てることができます。

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世界的に見たいちじくの状況

 

 

いちじくはトルコが世界の生産量一位です。

中近東や地中海沿岸で育てられていて、果実が柔らかく日持ちしないことから乾燥させたり、ジャムにして食べるのが一般的です。

日本でも輸入物の乾燥いちじくが色々手に入りますが、生で食べることの方が一般的なように思います。

いちじくはフルーツとして買って食べるというよりも、もっと身近な家庭果樹としての位置づけの方が馴染みのある方も多いのではないでしょうか。

ヨーロッパやトルコでは小粒のいちじくもたくさん栽培されていて、乾燥いちじくにはそういった小粒の品種(種類)が使われていたりします。

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いちじくの栽培は鉢植えでも簡単に実がなるのでおすすめです!

いちじくの木は生育が旺盛で根張りが強いので、地植えの場合は植える場所には気をつけなければいけません。

あまりに生育が旺盛で枝葉ばかりが伸びると実がならないことがあります。

鉢植えの場合は根が成長できるスペースが限られているので逆にそういった心配もありません。

小さな実がなる品種(種類)のいちじくは樹形もコンパクトだったりするので、特に鉢植えに向いています。

樹形を整えるために剪定しながら育てますが植え付けから2〜3年で実がなります。

ここからはいちじくの基本的な育て方について紹介していきます。

 

いちじくの栽培・育て方①:いちじくの白い汁について

 

いちじくを育てる前に是非知っておいて頂きたいことがあります。

それはいちじくの白い汁のこと。

いちじくの葉や枝を傷つけると白い汁が出てきます。

乾くとベタベタとするこの白い液体にはフィシンというタンパク質分解酵素が含まれています。

タンパク質を分解してくれる酵素ですので消化促進などによいとされていますが、直接肌に触れると肌が炎症を起こしますので、いちじくに触れる際には注意しましょう。

もし手についてしまった時は、すぐによく洗い流します。

果実を収穫するときにも果実の付け根の茎のところから白い汁が出ますので注意しましょう。

いちじくの実は未熟なものほど茎のところから白い汁が多く出やすいので、樹上でよく完熟させることと、摘み取るときに軍手やゴム手袋などで肌を保護すれば安心です。

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いちじくの栽培・育て方②:鉢植えの鉢サイズ

いちじくは挿し木で簡単に増やせますが、ベランダ栽培で1〜2本育てる場合はそれほど数も必要ないので苗を購入しましょう。

苗の購入時期は11月〜3月の間がもっとも適していますが、丈夫な果樹なのでそのほかの時期でも基本的には大丈夫です。

購入した苗は元の鉢の大きさが5〜6号であれば最初は8〜10号鉢(24〜30cm)程度の鉢に植えるのがおすすめです。

いちじくは最初からあまり大きな鉢に植えると、木の成長にエネルギーを使うことになり場合によっては実がなりにくいことがあります。

もしこまめな植え替えが面倒だから最初から大きな鉢で、という場合は、最低10号〜のサイズの鉢に植えます。

いちじくは根がものすごく張るのでそれでも2年に1回程度、植え替えたり、根切りして新しい土を足したりします。

苗は1〜3年生くらいまでのものを秋から冬の休眠期に入手するのがおすすめです。

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いちじくの栽培・育て方③:鉢植え用の土の準備

いちじくは丈夫であまり土質は選びません。

赤玉と腐葉土が7:3の土があればよいでしょう。

中性から弱アルカリ性を好むので、苦土石灰や蠣殻石灰で酸度調整します。

元肥を混ぜた土にいちじくの苗を植え付け、水をたっぷりやります。

一つだけ注意したほうがいいのは、いちじくを植えた同じ土を使わないということです。

いちじくは嫌地の性質があり、前にいちじくが植わっていた場所にいちじくを植えても育ちが悪くなります。

鉢植えの場合は新しい土を用意します。

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いちじくの栽培・育て方④:肥料について

いちじくは肥料を多く吸収します。

カリやカルシウムが特に好きです。カルシウムが好きということは土もややアルカリ性によっている方がいいということです。

カルシウム分を含むのは石灰や、籾殻くん炭、卵の殻や牡蠣殻になります。

カリは根の部分の成長を促す肥料ですがいちじくの場合は果実にもよく吸収されます。

籾殻くん炭はカリウムも多く含みますので、ぜひ土づくの段階から用土に混ぜておきたい資材です。

逆に枝葉の生育はもともと旺盛なのでチッソ肥料は控えめにやるようにします。

窒素は魚粉、油粕などに多く含まれています。

配合肥料を使う場合は窒素よりもリン・カリ分が多めのものを使うとよいでしょう。

カルシウムは土壌の酸度調整を兼ねて土づくりの段階から卵の殻や蠣殻粉末、籾殻くん炭を土に混ぜて、追肥としても少しずつまいておくとよいです。

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いちじくの栽培・育て方⑤:鉢への植え付け

大鉢でも水はけがよいように、鉢底石をひと並べ入れてから用土を1/3ほど入れます。

イチジクの苗を中心に置き位置を決めます。

周囲の隙間に用土を少しずつ入れて割り箸などで土を数カ所さして隙間ができないようにしっかり土を詰め、苗が土の中で安定するようにします。

いちじくの根は浅く張るので深植えはしないようにしましょう。

植え付けが終わったらたっぷりの水をやります。

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いちじくの栽培・育て方⑥:水やり

春から秋までの間、水は切らさないように土の表面が乾き始めたらすぐにたっぷりと水をやります。

特にいちじくは葉が大きく蒸散する水分が他の植物より多い、つまり鉢土の乾くスピードが早いので、こまめに鉢の状態をチェックしましょう。

夏場は朝夕2回、特に夏の盛りは様子を見て必要なら1日3回、たっぷりの水やりが必須です。

あまり土の乾きが激しいようなら、鉢のサイズアップ、鉢土の表面に敷き藁やバークチップでマルチする、底面吸水や腰水なども検討しましょう。

その場合は根腐れに注意し、水がたまりっぱなしになるようなら時々水を捨てたり、入れ替えたりします。

 

いちじくの栽培・育て方⑦:病気と害虫

いちじくは総じて丈夫で特にベランダでの鉢植え栽培の場合、病害虫はあまり気にしなくて大丈夫です。

唯一気をつけるのはカミキリムシです。

カミキリムシはいちじくの木が大好きな虫で、木を食害します。卵を木の幹の中に産み付けるので幼虫が木の内側を食べてしまい、いちじくの木が元気がなくなったり、枯れてしまいます。

いちじくの木の枝は切り口を見るとわかりますが、真ん中が柔らかい棉のような状態になっています。

カミキリムシの幼虫からしたら、一度幹の中に入ってしまえば、外敵から守られた状態で柔らかいご馳走にありつける素晴らしい環境、というわけです。

カミキリムシの成虫が飛来しているのを見つけたら迷わず駆除しましょう。

イチジクの木の枝や幹の周辺に木屑のようなものが落ちていたらカミキリムシの幼虫です。

どこか木に穴が開いているはずなので、その穴から殺虫剤を注入して駆除します。

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いちじくのおすすめの品種(種類)の選び方

 

 

個人で楽しみのために育てるいちじくは営利栽培のいちじくとはおすすめポイントが異なります。

営利栽培はいちじくの実がしっかりしていて日持ちすることが必要なため、桝井ドーフィンが流通していることはすでに紹介しました。

家庭での栽培は輸送の日にちなどを考えなくてよいので完熟させた時に実が柔らかくても問題ありません。

甘くて美味しい、好みの品種(種類)を選んで楽しむことができます。

 

いちじくのおすすめの品種(種類)①:蓬莱柿(ほうらいし)

桝井ドーフィンよりも古くに中国から日本に伝わった品種のため日本いちじくと呼ばれることがあり、根強いファンがいます。

いちじくは温暖な地域の植物なのですがこの蓬莱柿は比較的耐寒性があります。主に西日本を中心に栽培されています。

わずかな夏果がなりますが、数が少ないため秋果をメインに考えて育てます。

果実の色は薄くあまり赤くはなりません。

熟すと割れてくるので収穫のタイミングが大事です。

蓬莱柿は樹勢が強く木が大きくなるので、地植えで十分なスペースがある場所で育てることをお勧めします。

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いちじくのおすすめの品種(種類)②:ホワイトゼノア

夏秋の果実が収穫できます。

耐寒性があり、新潟や山形でも栽培されています。

果実は少し小ぶりで色は薄い緑色です。わずかに赤みが指す程度です。

果皮が薄いので皮ごと食べられます。

実は甘く味も濃く完熟いちじく特有のねっとり感と爽やかさがあり、ケーキなどの加工用にも栽培されています。

鉢植えでもまあまあ育てやすい品種だと思います。

 

いちじくのおすすめの品種(種類)③:ロングドゥート(バナーネ)

写真手前がロングドゥートです。

ロングドゥートはフランスで作られた人気のいちじく品種です。

豊産性で実なりがよく、あまり樹勢も強くないので鉢植えでも育てやすく楽しめる品種です。

地植えなら大きいものでは一個300gにもなる大きな夏果がなります。

秋果は夏果より小さくなりますが、糖度が高く果肉は緻密でねっとりと濃厚な味わいです。

ロングドゥートは品種名で、当初はバナーネという商品名で日本で販売されていました。

ロングドゥートも果皮はほとんど赤くならず、ごく薄い緑色をしています。

大きく甘い実がなることでここ数年不動のイチ押し品種として紹介されて来ました。

幼苗の時期は樹勢があまり強い方ではないので、根を痛めない様に特に丁寧に扱うことをお勧めします。

いちじくはいくつかの品種を育ててみていますが、ロングドゥートは挿し木や、発根した後の植え替えで、これまでに失敗してしまったことがあります。

基本的にいちじくは生命力旺盛なので、あまり挿し木での失敗はないのですが、それ以来ロングドゥートの挿し木をするときは注意しています。

ただ、いちじくは樹勢が強いものは鉢植えだと勢いがありすぎて育てるのが大変と感じるものもありますが、ロングドゥートは樹勢がそれほど強くはありません。

枝もあまり横に広がらない上に葉も切れ込みが深く細葉なので、省スペースで育てたい、鉢植えいちじくとして楽しみたい方には、実もよくなりますし育てやすいおすすめ品種です。

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いちじくのおすすめの品種(種類)④:ビオレソリエス

 

こちらもフランスの人気品種です。ビオレという名前の通り果実は濃い紫色で黒いちじくと呼ばれることもあります。

上の写真はまだ完熟前。

完熟すると果実全体しっかり真っ黒になります。

さすが黒い宝石、というだけあって完熟果の真っ黒くなった見た目も美しいです。

ビオレソリエスの果実の大きさは、鉢植えで摘果などはせず、8号深鉢で育てた2年生の苗で40g前後、3年生になって60gほどのものが収穫できました。

地植えで摘果、摘心をしたり、苗が育って大きくなればもう少し大きいいちじくの実がなると思います。

ビオレソリエスは果肉が緻密で糖度が高く美味しい人気品種です。

樹勢が非常に強く、幼苗のうちは木ばかり成長して実がなりにくい場合があります。

鉢植えの場合はあまり気にならないかも知れませんが、庭植えで実がならない場合は剪定方法を考えたり、冬に根切りをして樹勢を弱めるようにします。

また、鉢植えでも木が大きくなりますので、ベランダなどあまりスペースがない場所の場合はちょっと栽培が大変かもしれません。

なるべく小さめの鉢でコンパクトに栽培する様に樹形を整えたいところですが、あっという間に鉢が根でいっぱいになってしまうので、植え替え時に鉢から木を抜くのも力仕事になります。

いちじく栽培の場合、鉢が小さいと夏場の水やりが大変になることも最初から計算して、できれば10号以上の鉢で育てることをお勧めします。

ビオレソリエスは秋果実専用なので、特に鉢植えの場合、冬の休眠期に枝をしっかり切り戻し、その分根切りもしっかりしてなるべくサイズをコンパクトにまとめます。

また秋果の中でも熟期が遅いので寒い地方だとせっかく実ったいちじくの実が完熟する前に冬になることもあるので寒い地域にはあまり向かないのかも知れません。

収穫の終盤は時期を見計らってオイリングすると収穫期を早めることができます。

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いちじくのおすすめの品種(種類)⑤:ゼブラ・スイート

小さな実がたくさんなる品種です。

この品種の特徴は果実が緑と白の縞模様のストライプになっていることです。

樹形がコンパクトで、実の縞模様が美しいので鉢植え栽培に向いています。

ストライプの色が薄くなって、触った時に柔らかくなっていれば収穫します。

ゼブラ・スイートは日本での呼び名で、海外ではパナシェとかタイガーと呼ばれています。

 

いちじくのおすすめの品種(種類)⑥:カドタ

小粒で皮が赤くならない品種です。

甘みが強く人気があります。

小粒系の品種はほぼどの品種もたくさん実がなる豊産性の品種が多く、樹形も比較的コンパクトにまとまるので、鉢植え栽培にも向く品種です。

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いちじくのおすすめの品種(種類)⑦:ロードス

こちらも小粒の品種ではありますが、かなりの豊産性、糖度がとても高くてねっとり甘いいちじく品種です。

このいちじくの名前はギリシャのロードス島にちなんでいます。

ゼブラスイート、カドタ、ロードスはどれも小粒ですので、いちじく栽培が初めてで不安な方は、こういった小粒品種から初めて見るのもおすすめです。

ロードスはごく小さなポットの挿し木の状態でも実をつけるので鉢植えでも十分に楽しめる品種です。

世界中で栽培されているいちじくには他にも果皮が濃い紫色になる黒いちじく系、果皮が淡い緑色の白いちじく系、小粒系、それぞれに優れた品種があります。

いちじく栽培を始めると、きっといろんな品種が気になり始めると思います。

Balcofarmでも現在8種類のいちじくの鉢植えを育てており、ロードスもその中の1つです。

上の写真は6号スリット鉢でコンパクトに育てていて、まだ木も小さいです。

木の大きさに対して実が多すぎてこのままだと木が弱ってしまうため、これは少し摘果したほうがよいくらいです。

上の果肉が赤いのがロードスの実です。

下は白いちじく、ブランシュ・ダルジャンティユ。

ロードスの果肉は赤いですが少し褐色がかっていて、アルマの方がより鮮やかな赤色をしています。

育てている8品種全てが大きくなると明らかに場所が足りなくなるので、鉢植えでなるべくコンパクトに仕立てて栽培することを念頭において、最終的に2〜3品種を選んで育てる予定です。

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いちじくのおすすめの品種(種類)⑧:アイーダブラック

 

少し小ぶりないちじくですが、こちらで育てている苗木は樹勢は強く、たくさん実がつきます。

上の写真は2年目のやや遅めの秋果なのでだいぶ小ぶりです。

アイーダ・ブラックの実はもっちりとした食感で、非常に甘みが強く、ドライいちじくを食べている様な感じに近いです。

このいちじく、あまり期待していなかったのですが、個人的にかなり美味しいと感じます。

甘みが強く濃厚で、特に秋遅くになってからの果実の香りがとてもよかったです。

いちじくらしい香り、というよりもフルーツの甘くて芳しい香りがふわりとしてくる。

いちじくを食べてとてもいい香りだと特に思ったのは初めてのことでした。

夏果、秋果共に収穫できる品種で、Balcofarmでは苗が2年目になって初めて秋果を収穫しました。

鉢植え秋果の2年目は一番大きいもので36g、普段は20gくらいが平均といった果実の大きさでした。

下の写真は3年目に入って、早めの秋果のいちじくの実、大きいもので56gありました。

だいぶ貫禄があって手に乗せるとずっしり感じます。

鉢植えでもいちじくの木がしっかり成長してくるといちじくの実が大きくなり、味もよりおいしくなってくると思います。

味も果肉の食感も濃厚なのでさっぱりした味のいちじくが好き、と好みがはっきりしている方には向かない品種かもしれません。

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いちじくのおすすめの品種(種類)⑨:アルマ

アルマはとても美味しい黄緑色の実がなるいちじくです。

夏秋兼用品種のいちじくで、樹勢はそれほど強くありませんが、木が若いうちからたくさん実がなる品種です。

ここでも冬に挿し木したら、翌年の8月終わりには2〜3個の実を食べることができました。

樹勢が穏やかなので鉢植えで育てやすく、かつ美味しい品種です。

実が熟し始めると上の写真のように皮の表面につやが出てぴんと張った感じになります。

こういう綺麗な状態だと皮ごと食べても美味しいのもアルマの魅力です。

果肉は中が鮮やかに赤くあっさりしていて軽い酸味もあり爽やかな味です。

秋遅くになると徐々に濃厚な味になってきますが、それでも酸味があり飽きのこない味なのがアルマのよいところです。

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いちじく、アルマの品種情報

海外のいちじくの情報を見るとアルマの果皮が色づいて紫色っぽい写真が多くインターネット上にあるのですが、それが気になったのでアルマの出自を調べてみたたところ、アルマの果皮は黄緑色で間違いなさそうだ、という資料に行き当たりました。

アルマは米国、テキサス州で開発された品種で、以下はアルマの写真入りのテキサスA&M大学の資料です。(※大学名の”A&M”は”Agricultural(農業) and Mechanical(工学)”)

Texas A&M AgriLife Extension – Figs PDFファイル:2ページ目にAlmaの記載があります。

この資料の写真を見ると、アルマの実は黄緑色をしています。

そしてアルマについて、”The fruit skin is rather unattractive,” とあり、果皮の色はどちらかというと魅力的ではない(意訳すると、色づかない)ということを言っています。

そのほかの部分の説明を読むと、アルマがとても風味に優れていて美味しく、木が若いうちからよく実がなる品種であることが書かれています。

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いちじくは家庭での栽培におすすめの果樹

 

いちじくはあちこちの家の庭に植わっている身近な家庭果樹でした。

最近あまり見かけなくなったのはおそらくいちじくの根張りが強いことから庭に地植えをしなくなったからではないかと勝手に思っています。

昔からの言い伝えでいちじくは厠(かわや)のそばに植えてはいけない、と言われていました。

これはいちじくの根の成長が強すぎて厠のカメを割ってしまうから、というところから来ているのだそうです。

子供の頃祖母の家に植わっていたいちじくの味が忘れられず、大人になってから自分でイチジクを育てるようになりました。

祖母の家のいちじくは夏にも実が少し収穫できましたし、完熟すると大きな実がぱっかりと割れてしまうことがよくあったので、おそらく品種(種類)は蓬莱柿(ほうらいし)だったのではないかと思います。

自分では夏も秋も2回実が収穫できるホワイトゼノアという品種(種類)のいちじくをしばらく育てていました。

自分で地植えで育てていたホワイトゼノアはカミキリムシの食害にあい、また実が熟した時にアリがいちじくめがけてまっしぐらに集まってくるのが厄介でしたが、それ以外は手もかからず完熟したいちじくはみずみずしくそれでいてねっとりとしていて本当に美味しかったです。

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ベランダガーデンが自分の庭になってからもいちじくは外せない果樹だったので同じくホワイトゼノアを鉢植えで育てていました。

ベランダでの鉢植えは庭植えよりも虫を気にしなくていいのが楽ですが、乾燥するので水やりは手を抜けません。

残念ながらある年の夏、忙しさにかまけて水やりが足りず、立派な夏果がついていたホワイトゼノアを枯らしてしまいました。

しばらくショックで立ち直れなかったのですが、やっぱり自分で育てたいちじくの味は最高ですので、気を取り直してロングドゥートをはじめとするいくつかの品種を選んで挿し木して育てています。

ホワイトゼノアも十分甘くて美味しい品種(種類)なのですが、まだまだいちじくには魅力的な品種がいっぱいあるので、現在は糖度も高く美味しくて、かつベランダでも育てやすいと思われるいいちじく品種を最終的に3種類程度に絞り込もうと、8品種のいちじくを育てて比較しています。

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一口に甘い、といってもいちじくは品種ごとに味も食感も見た目も違うので楽しいです。

いちじくは他の果樹に比べて苗木が結実するまでの時間が短く、挿し木からでもしっかり育ってくれることがほとんどで、早ければ2年目の夏にはロング・ドゥートなどの二季なりの品種なら夏果を、秋果専用のビオレソリエスは秋に収穫できることになります。

2年目に収穫できなくても3年目になるとほぼ間違いなく美味しいいちじくの実を収穫できるようになります。

いちじくの挿し木のやり方については別記事で詳しく紹介しています。

いちじくの挿し木は初めての人でも成功率が非常に高く、慣れている人ならほぼ失敗なしでできます。

挿し木に自信がない方は、秋から冬にかけての休眠期が苗木購入の一番の適期になります。

2年生か3年生の苗木を秋に買えば、翌年にはいちじくを味わうことができますのでそれもお勧めです。

以下の記事ではいちじくの挿し木の方法を紹介しています。

ご興味のある方は、いちじくを育てて完熟いちじくを堪能してみてはいかがでしょうか。

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