大実ナツメの味と、一般的なナツメの育て方をこれから育ててみたい方の参考材料に紹介します。
大実ナツメに興味があり、皇帝という品種を育てています。
ナツメ(棗)はクロウメモドキ科の植物で、庭木として植えられる丈夫な落葉広葉樹です。
日本の一般的なナツメは2〜3cmの実がなり、ナツメの実の味と食感はリンゴに似た素朴な味の家庭果樹です。
性質が大変強健で、暑さ、寒さ、乾燥にも強く鉢植えでも育てやすい、という情報が一般的に言われています。
ナツメの実は漢方でも使われるくらい健康によいことでも知られています。
一本あればたくさんなりますのでベランダガーデニングにおすすめの家庭果樹です。
目次
ナツメについて
最近はあまりみかけなくなりましたが、以前は家の庭にナツメを植えている家が結構あり、近所の子供がナツメの実をとってはしゃりしゃりと食べていました。
近所にナツメの木が植えられている、なんて方はナツメの実の味を知っているかもしれませんが、ナツメは生食用としてはあまり流通していないので、生のなつめの味をご存知ない方の方がむしろ多いかもしれませんね。
ナツメは中国原産ですが、近年その健康効果から注目されており、福井県で国産のナツメの生産に力を入れている地域があります。
ナツメはクロウメモドキ科の落葉広葉樹、高木で樹勢も強いので放っておくと5m、10m、さらにもっと大きくなります。
夏になってようやく芽吹くことから夏芽→ナツメと呼ばれるようになったと言われています。
枝は細く実がなると枝垂れます。
ナツメの木にはトゲがありますので手入れをする時や実を収穫するときは注意が必要です。
中国ではの営利栽培が盛んで、日本のナツメよりも大きな実がなる品種が作られています。
ナツメの効能効果
ナツメの乾燥した果実は漢方では大棗(たいそう)という生薬名を持っています。
食品としてのナツメはあくまで食用であり、効能効果を謳うことはできませんが、大棗という生薬は葛根湯などにも配合されていて、体を温める、鎮静作用、心を落ちつかせる、むくみの予防改善などの効能効果があるとされています。
正確な効能効果については「大棗」で検索すると漢方薬のメーカーなどのホームページで詳細確認できますので、ご興味のある方はご自身で調べたりお近くの薬局の薬剤師や、医師に相談されてくださいね。
ちなみに日本薬局方を見るとナツメ が生薬「タイソウ」として様々な漢方エキスに配合されていることがわかります。
上記リンクをクリックしてPDFが開いたら「タイソウ」で検索してみてください。
2000ページ以上の大きな資料ですので、PCでの閲覧がお勧めになります。
スマホなどでもう少し簡単に情報を確認したい方はこちらも参考にされてみてください。
「薬用植物総合情報データベース(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)」
タイソウ(大棗)のページ:
ナツメには糖類や有機酸、鉄分、亜鉛、マグネシウム、カリウムやカルシウムなどのミネラルのほか、体を作る葉酸などが含まれています。
乾燥したナツメの実にはプルーンの1.5倍の鉄分が含まれています。
食品としても栄養価が高く優れた健康食品です。
ナツメの食べ方
ナツメは生食や乾燥したものをドライフルーツとして食べるほか、砂糖煮にして蜜ナツメにしたり、ジャムやお菓子の材料として使います。
乾燥なつめを生姜と煎じたなつめ茶はほんのり甘い香りが素晴らしく、味もよく体がぽかぽかと温まります。
生のナツメの実の味はりんごに似ていて食感はりんごよりも水分が少ないのですが、シャリシャリした歯触りで美味しいです。
生のナツメの糖度は20度前後で、乾燥するとその分水分がなくなるので糖度が高くなります。
乾燥ナツメはドライフルーツ専門店や韓国、中国食材のお店などでも売られているので、ネットショップなどで入手することができます。
中国や韓国では干したナツメは薬膳料理に用いられます。
有名なところでは韓国料理の参鶏湯(サムゲタン)に干しなつめが入っています。
参鶏湯に入っているナツメの実は柔らかく煮えていてほんのり甘くて美味しいです。
これは中国大実ナツメ、皇帝の実を干して作った自家製干しナツメ入り参鶏湯です。
ほんのりピンクなのは餅米と雑穀を合わせて作っているから。
参鶏湯を食べると体がぽかぽかと温まります。
またなつめの実は中国のお菓子、月餅のあんにも練りこまれていたりします。
そのほか、乾燥したナツメを煮出してお茶に利用します。
乾燥したナツメなら日本でも入手しやすいですが、生のナツメはあまり販売されることがありません。
ナツメは育てているからこそ味わえる果実、素朴でどこか懐かしい味がします。
ナツメのおすすめ品種は大実品種
日本に従来からあるナツメも元は中国から伝わったものですが、果実の大きさが2〜3cmとそれほど大きくありません。
また種の周りの果肉が薄く、食べるところがすくない、というのが実際のところです。
ただし丈夫でたくさんなりますので、1本植えて木が育てば従来種でも十分にナツメの実を楽しむことができます。
ナツメ栽培の本場はやはり中国です。
中国のナツメは大実がなる品種がいくつもあって、営利栽培品種としては和田棗が実も大きく高級品とされています。
そのほか、日本でも手に入る果樹品種として、中国の大実なつめ「皇帝」「新疆棗王」「スーパージャイアント(大雪棗)」、赤くならない淡い緑色の「インドナツメ 」などが人気です。
これらのナツメは果実の重さが50g〜100gのピンポン球やゴルフボールの様に大きな実がなります。
果樹を販売しているお店の紹介している育て方を見ると、どのナツメの品種も「暑さ寒さ乾燥に強く放任でよく育つ」と紹介されているのがほとんどで、それ以上のことはあまり情報がありません。
Balcofarmでは以前から気になっていた「皇帝」の苗を1本育てています。
皇帝は1果50gほどの品種で、「新疆棗王」「スーパージャイアント」など100g級の実がなる品種からすると少し小さめの実の品種になります。
鉢植えで育てるので、あまり欲張って大実の品種にするといくら強健なナツメの木でも、木の負担が大きいかな、と思い「皇帝」を選びました。
それでも日本ナツメからすれば5倍くらいの大きな実がなることになります。
上の写真は4年生の木になった大実ナツメ(棗)、皇帝の実です。
大実ナツメの味
大実ナツメ「皇帝」の品種説明の札には「大実で、ナツメ特有のパサパサ感がなくジューシーで甘い」と書かれていました。
それは想定外の嬉しい長所だったので本当ならいいなと思っていました。
実際に苗を購入した年の秋に鉢植えにした皇帝の実を早速いくつか収穫できたので食べてみました。
味は日本ナツメよりも確かに水分があり、収穫タイミングがベストの時期に採ったものはナツメの生食としてかなり美味しいものでした。
2年生の大実なつめ「皇帝」の苗を育て始めた最初の年はほんの数個、ナツメの実がなりました。
日本のナツメより大きいとはいえ、まだ皇帝としては小ぶりな実でした。
3年生になって、前年よりも少し大きな実がなり、甘味も酸味もしっかり乗ってきた感じです。
水分も確かに日本ナツメよりやや多くジューシーです。
大実なつめ、皇帝の実を毎日眺めていたら、久しぶりに見た日本なつめの実が小さく感じられました。
そして上の写真は4年生の木になった大実ナツメ、皇帝の実。
このナツメの実の味はかなりしっかり甘味が出てきて、3年目よりもさらに実が大きくなってきました。
まだ数はあまり多くありませんが、鉢植え4年目で15個くらいだったでしょうか。
ナツメの育て方
さて、ナツメの育て方ですが、ナツメは本当に丈夫なので基本的にはあまり手がかかりません。
樹勢が強く本来大きくなる木ですので、鉢は最低でも7号以上のものを用意します。
赤玉7、腐葉土2〜3の割合の土を用意して鉢に植えるか、地植えなら穴を掘って掘り上げた土と堆肥を混ぜて、苗を植え付けます。
植え付け適期は他の落葉果樹と同じく葉が落ちた後の晩秋から翌春にかけてです。
肥料は根付いてから、花の咲いた後と実の収穫後に肥料をやります。
肥料の与えすぎは樹勢を強め、実がなりにくくなるので控えめにします。
鉢植えの場合は水やりが必要ですが、地植えの場合はほとんど放任でも大丈夫です。
遅めの春から初夏にかけて新芽が育ち6〜8月ごろ花が咲き、9〜11月ごろ収穫します。
実の色は最初黄緑色をしていて、徐々に黄色味を帯びたあと赤くなります。それを過ぎると褐色になってきます。
収穫が遅くなると水分が抜けてしわが寄ってきます。
干しナツメが食べたい場合はその方が樹上完熟になり、むしろ糖分は凝縮されます。
生食のフレッシュなナツメの味を楽しみたい場合はもう少し手前で十分に黄色味が出たくらいの時期で収穫すると水分もありジューシーさを感じられるのでおすすめです。
鉢の大きさにもよりますが2〜3年に1回、根が回ってきたら、植え替えをします。
ナツメ栽培の本場である中国の新疆ウィグル地区はゴビ砂漠の中にあり、砂漠という過酷な環境の中でナツメの栽培をしています。
ナツメの木自体は乾燥気味の土を好み、暑さ寒さにも強く、ほとんどと言っていいほど病害虫も気にしなくて大丈夫です。
ただし日本の従来種のナツメではなく、中国系の大実ナツメを収穫したい場合は、少し条件がことなることが分かってきましたので、それについては別記事で詳しく紹介しています。
文末に記事のリンクを貼っておきます。
以前、地植えで日本ナツメを育てていましたが、間違えて草刈りの時に3年目の苗の主枝をざっくり切ってしまったことがありました。
葉の付いている部分も全部なくなって1本の短い棒になってしまったので、枯れてしまうだろうと諦めてその後放置していたのですが、翌年、気がついたら新しい枝が伸びて、何個か実もなっていて驚いたことがあります。
本当にナツメは樹勢も強く強健です。
ナツメはその樹勢の強さから、株元からひこばえがたくさん出るのでそれはすべてカットします。
特に接木苗の場合は、接木した場所より下から生えてくる枝やひこばえはカットしましょう。
枝があまりに混み合ったところは落葉期に透かし剪定すると風通し、日当たりを確保できます。
あとは放っておくと樹高がどんどん高くなるので、剪定して好みの高さに整えておけば収穫もしやすくて、樹形も整います。
ナツメには鋭いトゲがあるので、手入れをする時には怪我をしないよう気をつけてください。
特に収穫の時は夢中になりがちなので大きな木になっている場合は、手だけでなく顔とかにもトゲが当たらないように注意が必要です。
ナツメの育て方の注意点
とにかく丈夫なので、気にするようなことはほとんどと言っていいほどありません。
地植えの場合はひこばえがどんどん生えて周囲に伸びていくので塀際には植えないということ。
もう1つは、春先の寒暖の差が激しい時に新芽が寒の戻りで枯れてしまわないように気をつけること。
ナツメはその名の由来通り、芽吹くのが遅い、つまり暖かい気温が必要になります。
春先は暖かい日が続いても突然寒の戻りで冷え込んだりすることがありますが、そういう時には新芽が気温の低下に対応できず、ダメになってしまうこともあります。
春先に暖かい日が続いてあまり早くに芽吹いたときは注意して、鉢植えなら冷え込んだときは夜は室内に取り込むなどして保温に努めましょう。
それによってナツメの木自体が枯れてしまうことはありませんが、その年の新芽に花が咲き実がなりますので、寒さでナツメの新芽がダメになってしまうとその分収穫量が減ってしまいます。
ナツメの新芽は大切に育てましょう。
ナツメは放任でも実がなる、大実ナツメはもうちょっと手入れを
ナツメの大実の品種は植え付け後、3年生くらいから実が徐々に大きくなってくるようです。
在来種のナツメは地植えならほぼほぼ放任で実がなりますので、果樹初心者でも失敗なく、鉢植えでも育てやすいと思います。
大実ナツメの場合は実が大きい分、もう少し手をかけてやる必要があります。
鉢植えの場合は、大実なつめの実がついている時は、夏場の水切れをさせない様にしっかり水やりをします。
あと大実のナツメは1つの実が大きいのでたくさんなったときは少し摘果するとよいでしょう。
整理落下も結構あるので、ある程度それも見越して、それでもナツメの実の数が多ければ、摘果しましょう。
ナツメは育てやすく健康にもとてもよいので、ぜひ果樹として育ててみてはいかがでしょうか。
2019年9月17日の大実なつめ「皇帝」
Balcofarmでこの年の春に入手したナツメ 「皇帝」の苗は2年生。
6月から咲いた最初の花は一つも実がならなかったので今年は無理かな〜と思っていました。
ところが、8月になって咲いた花のあと小さな実がいくつもつき始めました。
しっかりした実がなっているので今年確実にいくつかは収穫を楽しめそうです。
どこまで大きくなるか、楽しみです。
2019年10月3日の大実なつめ「皇帝」:実が大きくなってきました。
大実なつめ「皇帝」の実です。
8月に咲いた花の実なので熟して収穫適期になるのは11月初め頃からでしょうか。
今の時点で既に日本なつめより少し大きいです。
少し涼しくなってきて、油断してしまい、ナツメの鉢土の水を切らしてしまったら、ナツメの実がシワシワになってしまいました。
ナツメの木は乾燥に強く、葉は全然ツヤツヤしていて元気だったのですが、実はシワシワになっていてびっくりしました。
慌てて水をやったら、1〜2日で実のシワが取れて、復活しました。
実が落ちてしまうだろうと思うくらいシワシワになっていたので、ナツメの丈夫さに改めて驚かされる結果となりました。
地植えなら心配ないのですが、ナツメを鉢植えで育てる場合は、乾燥には強くても、実がなり始めたら、水は切らさずたっぷりやったほうがよいようです。
水やりをしっかり管理してシャリシャリしてジューシーなナツメの味をたっぷり楽しみたいですね。
大実ナツメについては3年ちょっと鉢植えの皇帝を世話していてわかってきた育て方のポイントを関連記事で紹介しています。