いちじくの病気、モザイク病についての備忘録

 

いちじくのモザイク病について備忘録的にまとめます。

イチジクモザイク病はウィルス性の病気で、一度かかるとウィルスを完全に取り除くことはできない病気と言われています。

育てているいちじくの1本の苗にモザイク状の模様が現れたので、モザイク病ではないかと思い、いろいろ調べてみた内容を書きます。

最後に紹介している参考文献にはいちじくの病気の写真の掲載もありますのでとても参考になりました。

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目次

イチジクモザイク病について

モザイク病は野菜や果樹全般に発生するウイルスによる病気で、アブラムシなどの吸汁害虫によって伝播します。

モザイク病にかかった野菜や果樹の葉にはモザイク上の黄色い斑紋が現れたり、葉が縮れて奇形になったりして、ひどくなると生育不良で枯れてしまいます。

いちじくのモザイク病は現在は特に「イチジクモザイク病」という固有の病名がついています。

日本では50年以上前から原因不明の病気として知られており、その後ウィルス病であることが東京大学の研究チームの研究によりわかりました。

 

イチジクモザイク病の病原体fig mosaic virus(フィグモザイクウイルス)の国内における発見 | 東京大学大学院農学生命科学研究科

 

イチジクモザイク病はイチジクモンサビダニというダニの一種がウィルスを媒介し、伝播します。

このイチジクモンサビダニは小さくて目に見えないのと、冬にはいちじくの茎の中に潜って越冬するため防除が難しい害虫です。

イチジクモザイク病のウィルスは Fig Mosaic Virus という名前で、略してFMVと呼ばれることもあるようです。

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イチジクモザイク病の症状

 

イチジクモザイク病はいちじくの木全体に出ることもあれば、1つの枝だけに出ることもあります。

またいちじくの葉に斑紋が出たからといって必ずイチジクモザイク病というわけではなく、ハダニ類の被害を受けた場合や栄養不足、日照不足、急に気温が下がった、根詰まりや根腐れなどによっても葉にまだらな黄変が出ることもあります。

ただいちじくの葉のモザイク状の黄変に加えて葉に縮れが見られるような場合はイチジクモザイク病である可能性が濃厚だと考えられます。

イチジクモザイク病にかかると、いちじくの実の表面にも斑紋が見られることがあります。

こうなると、収穫したいちじくの実の見た目も悪く、価値は著しく下がります。

プロの農業者が使うようなイチジクモザイク病を判定するための試薬などもあることはある(素人にはかなり敷居が高い感じのものでした)ようです。

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イチジクモザイク病だと思われる時の対処

育てているいちじくの木にイチジクモザイク病が疑われる時には、感染が疑われる株についたハダ二などが他の株に病気を広げる可能性もあり、そのリスクを下げるために、まずそのいちじくの木の害虫を徹底的に駆除しておくことが1つのポイントになります。

また人間が使うハサミなどの道具も、罹患が疑われるいちじくの木のために使ったあとは消毒しておきましょう。

イチジクモザイク病は今のところ、土壌感染や単純な接触感染で他のいちじくの木に感染することはないと考えられています。

また、感染したからといって、木が必ず枯れてしまうわけではなく、樹勢が弱まったり、実が付きにくくなったりすることがある反面、いちじくの木に樹勢がついてくると、葉のモザイク状の斑紋も消えて寛解したように見えることもあるようです。

病害虫に負けないよう日頃からいちじくの木が元気に育つよう、手入れをしていくことが大切ですね。

ただし先にも書きましたが一度感染したらウィルスを完全に除去することはできないので、そのいちじくの木からとった挿し穂で挿し木をすれば、出来た小苗もイチジクモザイク病を持っていることになります。

いちじくの挿し木は健康な親木の枝を使って挿し木をする必要があることは覚えておきましょう。

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意外と目にするイチジクモザイク病らしき葉

海外のいちじくの苗や挿し穂を販売しているショップなどの画像を見ると、イチジクモザイク病にかかっていると思われる葉の写真をわざわざ載せているショップもありました。

一説によると海外のいちじくはその多くがイチジクモザイク病にかかっていて、愛好家も含め、あまりそのことを気にしていない、という情報も見かけます。

今まであまり気にかけたことがなかったのですが、意識して見てみると日本国内のインターネット上の画像などでも結構いちじくの葉にモザイク状の黄変が出ているものがあることに改めて気づかされます。

日本でも50年以上前からあった、ということですからあまり神経質になる必要はないのかもしれませんが、FMVを持っている疑いのある木の挿し木増殖は控えたいところですね。

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イチジクモザイク病? その後

 

春先に感染が疑われたいちじくの木、黄変した葉を全部とって、あとは普通に手入れして様子を見ることにしました。

黄変した葉がでた枝はその後も成長があまり芳しくなかったのですが、気温が上がり、いちじくの木の成長が旺盛な季節になったら、それとは別の新しい枝が勢いよく伸びてきました。

新しい枝の方は葉が黄変することもなく、元気に育ち、新しい枝に実もたくさんついて、とても元気に育っています。

他のいちじくの木とは隔離するために少し離れた場所で育てていたのですが、黄変した葉には縮れなどの奇形も見られませんでしたし、どうやら大丈夫そうです。

新しい枝についた実は順調に熟して、美味しくいただくことができました。

モザイク状の模様のでた葉がついた枝は結局そのまま成長が止まっていましたが、冬になって来年のための芽が準備出来てきているように見えました。

イチジクモンサビダニは茎の中に潜って越冬するようなので、念のため冬の間にこの枝はしっかり剪定して処分しました。

その翌年以降は葉のモザイク状の黄変が見られることもなく元気に育ち、問題なさそうだったので現在は他のいちじくの木と同じ場所で管理しています。

 

参考文献:

愛媛県病害虫防除所の資料(PDFファイル)

この資料にはいちじくに病気がでた写真があります。

https://www.pref.ehime.jp/h35118/2406/byocyubojo/htm/documents/26tokushuhou2-ichijiku-ichijikumozaiku.pdf

 

島根県病害虫防除所の資料のWebページ

このページではイチジクモザイク病の他にも灰色かび病やサビ病などのいちじくの病気の写真と情報が紹介されています。

島根県:灰色かび病・疫病・モザイク病・さび病(トップ / しごと・産業 / 農林業 / 技術情報 / 農業技術情報 / 病害虫防除所 / 病害虫データベース 目次 / イチジク)
島根県

 

東京大学 農学生命科学研究科 プレスリリース

イチジクモザイク病についての詳しい情報が掲載されています。

イチジクモザイク病の病原体fig mosaic virus(フィグモザイクウイルス)の国内における発見 | 東京大学大学院農学生命科学研究科

 

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