セントポーリアの種類や育て方を紹介します。
セントポーリアは室内園芸の花として古くから親しまれていて、とても人気のある花です。
イワタバコ科の多肉性の多年性植物で和名はアフリカスミレ。
熱帯アフリカの高地が原産と言われています。
原産地では石灰岩の合間にたまったわずかな土壌などにも生息していたりする性質であることもあり、少ない土でも育てることができます。
また花を咲かせるために強い日光が必要ないことから、室内で育てられるのも人気の理由です。
多湿の気候を好むわりに根腐れしやすく、水やりで失敗しやすい繊細な花ですので、花をたくさん咲かせるための育て方のポイントを紹介します。
目次
セントポーリアの種類
セントポーリアは以前は花色は単色の紫や白がメインで、他の花色はあまりありませんでした。
今では淡いピンクや鮮やかなピンク、斑入り模様の花、縞模様の花、花びらに縁どりのあるもの、花びらに縮れのあるもの、一重咲き、八重咲きなど非常にたくさんの品種があり、どれもとても美しいので驚かされます。
セントポーリアの種類は大きさや、形、花の咲き方や色で自分に合ったものを選びます。
どんな種類のセントポーリアがあるのか、その形状からみていくと、まず大きさについて以下のようなサイズの違う種類のセントポーリアがあります。
スタンダード(普通種):基本のセントポーリアになります。
セミミニ:やや小さめのサイズのセントポーリア
ミニ:とても小さなセントポーリア、手のひらサイズです。
次に花の咲き方でみるセントポーリアの種類です。
一重咲き:アフリカスミレという和名の通り、一重だとスミレによく似た形の花もあります。
八重咲き:丸い花びらや、先の尖った形の花びらの八重咲きは花にボリューム感があります。
フリル咲き:一重咲きでも八重咲きでも花びらのフチにフリル状の縮れがあり華やかな印象。
花色の出方にもいろいろなものがあります。
セントポーリアは1970年代頃から一度ブームになっています。
今のようにインターネットもない時期で、専門的な愛好家を除いては、一般的に入手しやすかったのは白や紫系の単色の花がメインだったようです。
今では白、紫、ピンク、赤色系、青色系の他、花びらの縁などに淡い緑色が出る品種もあります。
また、単色ではなく、緑色以外でも縁どりの色との2色咲きだったり、グラデーション、スプラッシュと呼ばれる斑点状に別色が出るもの、縞状にさし色が入るキメラ種と呼ばれるものなどなど、その色の組み合わせと模様のでかたで千差万別のバリエーションがあり、八重咲きやフリル咲の組み合わせも加わり大変華やかな花としてその人気が再燃しています。
セントポーリアの葉の形も、シンプルな丸い葉のもの、葉にフリルが出るもの、また葉が斑入りになるものがあります。
草姿については通常はロゼット状に葉が展開しますが、そのほかにトレイル種といって這性で横に広がるタイプもあります。
これらのバリエーションでセントポーリアは本当に多種多様の選択肢の中から楽しむことができます。
セントポーリアの育て方の注意点
セントポーリアも品種改良が進んでいるのでだいぶ育てやすくなっているのだと思いますが、土と水やり、光、温度、湿度に気をつけないと、せっかくのセントポーリアを枯らしてしまうことになりますので、この5つの要素について紹介します。
上の写真はミニセントポーリア、Texas Space Dustです。
成熟して開花している株ですがこの状態で株の直径が現在12cmとコンパクト、小さなスペースで育てられます。
この大きさでも外葉が多い感じですので少し葉かきして植え替えます。
植え替え後は株の直径10cm以下になりそうです。
セトポーリアの植替えについては別記事で紹介していきたいと思います。
セントポーリアの育て方①用土
セントポーリアは根腐れしやすいため、一般的によく使われる赤玉土と腐葉土の組み合わせではなく、セントポーリア用に特別に用意する必要があります。
土の目が細かく、軽く、水もち、水はけがよい土でなければいけません。
そのためセントポーリア専用の用土が売られていますのでそういったものを使うか、自分で配合して土を作る場合には、以下の材料をブレンドして軽くて水はけのよい土を作ります。
・パーライト小粒
・バーミキュライト
・酸度調整済みピートモス
・ゼオライト
・牡蠣殻や鉢底石用パーライト
基本用土はパーライト、バーミキュライト、酸度調整済みピートモスで、それに根腐れ防止のためにゼオライトや牡蠣殻を鉢底に敷いたり、土に合わせてブレンドして軽くてふわふわの用土を作ります。
ピートモスは未調整のものはphが低く酸性なのでそのままではセントポーリアには使えません。
酸度調整済みのピートモスが手に入らない場合は先にピートモスに苦土石灰を少量混ぜて湿らせて1週間以上そのまま置いておき、酸度を調整してから利用します。
ただ、苦土石灰を入れすぎると今度はアルカリ性が強くなりすぎますので、心配な方はセントポーリア専用の用土を使うのが手軽ですし安心でしょう。
セントポーリアの育て方②水やりの失敗は枯れる原因No.1かも
セントポーリアが枯れる原因として一番最初にあげられるのが水やりの失敗ではないかと思います。
セントポーリアは根腐れしやすいので水のやり過ぎは厳禁です。
春と秋はセントポーリアの鉢土の表面が乾いたらたっぷりとあげて、水やりの後は鉢皿には水をためないようにします。
夏と冬は成長が止まる時期ですので水やりを控えめにします。
ただし冬、室内が暖かくてセントポーリアが成長を続け、花も咲かせているようでしたら通常通り水やりをします。
セントポーリアの種類によって水をよく吸い上げる品種とそうでもない種類がありますので、土の渇き具合をよく観察してセントポーリアの種類ごとの違いを見ながら水やりの量を加減します。
セントポーリアに水やりをする時には2つほど、大切な注意点があります。
1つはいきなり冷たい水をあげることは厳禁で、人肌程度の温度、室温に近い温度の水をあげることです。
室温と水の温度差がありすぎるとセントポーリアの根や、水がかかった部分を痛めてしまいます。
2つ目は、水やりの時にセントポーリアの葉や花に水がかからないようにすること。
もし水がかかってしまった場合はセントポーリアの葉などに水滴が残らないよう、柔らかいティッシュペーパーなどで全てそっと吸い取っておきます。
これをしないと、その後セントポーリアが光に当たったり、水との温度差が大きい場合に、水がたまったところが茶色く傷んでしまいます。
セントポーリアの育て方③光について
セントポーリアは光を好みます。
ただし強い直射日光に当たると地上部が茶色くなり傷んで枯れることになってしまいますので、レース越しの日光が当たる場所におきます。
十分な光に当たると花芽がよく上がってきます。
光が強すぎたり、それほどではなくても急にそれまでより強い光に当てるとセントポーリアは葉焼けします。
明るい場所に移動するときは少しずつ日光に慣らしていきます。
品種や個体差もあると思いますが、以前そうやって少しずつ光に慣らした普通サイズのセントポーリアの鉢植えは、冬場はレースカーテンなしのガラス越しの光でもよく育って花をたくさん咲かせてくれました。
上の写真はミニセントポーリアを冬の窓辺で網戸越しの光に当てて育てているところです。
少し光が強すぎてセントポーリアが葉焼けを起こし始めているかな?という状態です。
ここに来る前は植物用の蛍光灯の光で大切に育てられていた小さな苗を、少しずつ大切に環境に慣らしたつもりだったのですが、水の管理の仕方を失敗してしまったこともあり一株は枯らしてしまいました。
このあと少し遮光してもう少しセントポーリアにとって優しい環境に調整しました。
セントポーリアの育て方④温度
セントポーリアは耐寒性も耐暑性もあまりないので、なるべく室内の穏やかな気温の場所に鉢を置きます。
冬は最低でも10℃を下回らないのが好ましく、室内で花を咲かせたい場合は15℃〜25℃くらいの温度で管理します。
冬の窓辺は夜は冷えるので、特に寒い夜などは窓から離れた場所に移動した方が無難です。
また夏の暑さも苦手ですので、夏はクーラーのきいた涼しい場所で管理します。
セントポーリアの育て方⑤湿度
セントポーリアは湿度を好みます。
夏場や冬の寒い時期にセントポーリアにエアコンの風が直接風が当たると乾燥しますので、湿度を好むセントポーリアにはエアコンの風が直接当たらないよう、注意が必要です。
また乾燥すると植物にはハダニが付きやすくなります。
セントポーリアも例外ではなく、葉の表面が細かい毛で覆われているセントポーリアはハダニがつくと流水や手でとるのが難しいので、湿度を高める工夫をしましょう。
小さな鉢ならペットボトルなどでカバーをかけてもよいですし、鉢皿などにパーライトをしいて、ひたひたより少し下になるくらいに水を貯めておき、その上にセントポーリアの鉢を置いておくのも助けになります。
乾燥が続くときは時々ぬるま湯を直接葉にたっぷりかけてセントポーリアの葉の表面を洗ってやると葉が元気になります。
ただし、必ず室温との温度差が少ない人肌のぬるま湯を使うこと、たっぷり葉水をかけた後は、葉の表面に残った水滴をティッシュなどで綺麗に吸い取り、葉の上に残さないことがポイントです。
葉の表面に水滴が残った状態で光に当てるとセントポーリアの葉が痛んでしまいます。
念のため、葉水をした後は水分を拭き取ってもすぐに光に当てず、葉の表面が十分に乾くまで待ちましょう。
セントポーリアの育て方⑥セントポーリアの増やし方
セントポーリアは葉挿しや脇芽挿し、株分けで増やすことができます。
セントポーリアの挿し穂を親株から取るときは折れた茎が親株側に残らないよう綺麗にかきとるようにします。
折れた茎が親株側に残っていると、そこから雑菌が入って病気になったり、腐ったりします。
セントポーリアを株分けする時も鋭利な刃物でなるべく組織を傷つけないように、切り分ける株にも根をつけて親株から切り離します。
切り取った挿し穂や子株はパーライトやバーミキュライトなどの清潔な無菌の用土に挿して発根、発芽を待ちます。
葉挿しの場合は葉の茎を1cmほど残して斜めにカットしてから、葉の1/3程度まで用土に埋め込みます。
脇芽挿しの場合は親株の脇芽を葉が4〜5枚程度育った頃に親株から切り離し、用土に挿します。
どちらの場合も挿したら、セントポーリアがしっかり発根するまで動かさない、水を切らさない。
そして空気中の湿度を保つために必要があればペットボトルの再利用などで構いませんのでカバーをかぶせて発根発芽まで管理します。
発芽して子株が育ってきたら葉挿しの場合は挿し穂をそっと切り離し、子株だけを植え付け用の用土を使って小さな鉢に鉢上げします。
株分けの場合は最初から根があるので、セントポーリアが活着して成長を始めるのが根のない葉挿しや脇芽挿しより早く、割と失敗なくうまく増やすことができます。
上の写真のセントポーリアはもともと1株ずつだったものを株分けで増やしたものです。
葉挿しよりもずっと早く親株と同じくらいの大きさになりました。
いずれの増やし方の場合も、鉢上げ後は親株のセントポーリアと同じように明るい場所で花芽が上がるのを待ちましょう。
セントポーリアの花を愛でる
ここにきた当初は環境の変化のために元気がなく枯れてしまうかと思ったミニセントポーリアたちの初開花の時の写真です。
写真右側のピンクの花はアップル・オーチャードという種類のミニセントポーリアです。
小さなうちから花を咲かせるとは聞いていましたが、とにかく多花性で八重咲きなのもあり、まるでブーケのようです。
1つの花が開花してからずっと咲き続けているので後から咲いた花がどんどん加わって、こんもりと花束のようになっていってます。
左のミニセントポーリアはロブズ・ラッキーナンバー。
セントポーリアらしい紫色の花、花びらの色のグラデーションと斑入り葉でとても軽やかな感じです。
以前、セントポーリアを日の当たらない北向きの部屋の窓辺で育てていたことがあります。
直射日光は必要なく、室内でも花が咲く、という言葉に期待感いっぱいだったのですが、ちっとも花が咲かなくて、徐々に元気がなくなりやがて枯れてしまいました。
子供の頃のことでしたので、せっかくの鉢植えを枯らしてしまった罪悪感はなかなかのインパクトがありました。
その後、大人になってから南向きの窓辺で少しだけ遮光した日光をたっぷり浴びたセントポーリアは素晴らしくよく育ち、花もたくさん見せてくれました。
特別なことはしていなかったのですが、環境があっていたのでしょう、セントポーリアがとてもよく咲いてくれて、毎日その花を飽きずに眺めて楽しむことができました。
セントポーリアにとってちょうどよい、強すぎないけれど十分な光と、湿度、温度があれば室内でも本当によく育つ素敵な花です。
花色も花姿も種類が豊富なセントポーリア、特にミニ種は小さなスペースでも花を育ててみたい方におすすめです。