パクチーの室内プランター栽培のコツと基本の育て方について紹介します。
パクチーは独特の香りで好き嫌いがはっきり分かれることが多いですが、パクチーファンからは絶大な支持を受け、一度好きになるとたくさん食べたくなるハーブです。
いつでも好きな時にたっぷり食べられるようにパクチーを室内で栽培する育て方とその注意点について紹介します。
パクチーはプランターでもよく育ちますのでキッチンハーブとしておすすめです。
目次
パクチーについて
パクチーはセリ科のハーブ、野菜です。
見慣れてない方には見た目でイタリアンパセリとパクチーの見分けがつきにくいかもしれません。
ですが、パクチーとイタリアンパセリとでは香りが全く違いますのでパクチーの匂いを嗅げばすぐに区別はつけられます。
イタリアンパセリとパクチーの違いはこちらの記事にまとめています。
イタリアンパセリとパクチーの違い、見分け方や食べ方の違いはどこにある?
パクチーはタイ語の呼び名です。英語ではコリアンダー、中国では香菜(シャンツァイ)と呼ばれ、ヨーロッパやアメリカ、東南アジアなど世界中で栽培されています。
タイやベトナムなどでは葉を薬味の様にして食べます。
ヨーロッパやインドでは乾燥したコリアンダーの種子を砕いて粉末にしたものをスパイスとしてカレーなどに使います。
中国では野菜として扱われ、炒め物などに使われます。
もともと日本ではパクチーは栽培されていなくて、料理に使われることもありませんでしたが、エスニック料理が日本に入ってきた時にパクチーも広く知られる様になりました。
パクチーは優秀な青菜、どんな栄養素が含まれているの?
パクチーは緑黄色野菜として優秀で、ビタミン、ミネラルが豊富な野菜です。
パクチー100g中に、カリウム760mg、カルシウム100mg、マグネシウム30mgの他、鉄分3.4mgを含んでいます。
ベータカロテンは4000μgも含んでいますし、ビタミンCも100mgあります。
ハーブ、薬味として香りづけに使うだけでなく、青菜として炒め物に加えるととても美味しいので、ぜひ野菜としてたっぷりその栄養を取り入れたいところです。
パクチーの育て方、室内プランター栽培のコツと注意点とは?
パクチーは室内でのプランター栽培でもよく育ちます。
室内栽培でも屋外栽培でもパクチーの育て方は基本的には同じです。
ただしパクチーを室内で育てる場合は外で栽培するよりも葉や茎が柔らかくなり徒長しやすくなります。
長く伸びると倒れやすくなるので、早めに収穫するか倒れそうになったら周囲に支えを用意するなどするのがおすすめです。
パクチーの栽培の時期は屋外なら春と秋の種まきになります。
秋まきのパクチー栽培はほぼ病害虫知らずで旺盛に育ちますので、野菜としてもたっぷり利用できておすすめです。
春まきのパクチー栽培は気温が高いのでパクチーが柔らかく育ち、アブラムシなどの虫もつきやすいので、あっという間にやられてしまうことがあります。
アブラムシは繁殖力が強く、最初は2〜3匹だから大丈夫かな、と思っていてもあっという間に増えてしまいますので、見つけた時は、その周辺も含めて徹底的にチェックして物理的に取り除いたり、牛乳スプレーなどですぐに駆除しましょう。
ただし、パクチー栽培では春のアブラムシ対策はなかなか難しいので、やはり気温の低い秋まき栽培をお勧めしたいところです。
パクチーを室内で栽培する場合は、温度があれば冬でも育てることができます。
明るい窓辺でミニプランターなどにパクチーの種をまき、なるべく日光を当てて育てます。
パクチーの育て方、冬の屋外栽培
パクチーは冬場の寒い時期は、葉の端が赤く寒さやけを起こしたりします。
屋外での栽培で寒さで成長が止まったり株の元気がなくなる様であれば、プランターにビニールをかけてあげましょう。
ビニール栽培で、昼間日光が当たる時は蒸れない様にビニールを開けてやるか、両端だけ開けて、風が通る様にしておきます。
日中出かけてベランダの植物の世話ができない場合は、朝ビニールを開けて、夜はあまり遅くならないうちにまたビニールをしっかり閉じてやるとよいでしょう。
ビニール栽培にするとパクチーは冬でもよく葉が茂ります。
パクチー栽培のプランターのサイズと土の準備
プランターのサイズは屋外ならハーブだからと小さめのものを選ぶよりも、65cmの標準的なプランターを使うと栽培しやすいです。
プランターがこのサイズなら二列の条まきができます。
室内栽培の場合は窓辺で小さなポットにパラパラと種まきして、一つのポットで2〜3株を目安に育てます。
パクチーをはじめとするセリ科の植物は直根性で根は真っ直ぐに下に長く伸びます。
小さなポットの場合も深さのあるものを選んで栽培するのがおすすめです。
また移植を嫌いますのでなるべく植え替えをしないで育てましょう。
パクチーが大きくなってからでも土を崩さなければ移植できないことはありませんが、それでも根が活着するまで成長が止まったり、その後の成長が鈍くなったりします。
どうしても移植したい場合は、小さなポットにパクチーの種をまいて育苗してからプランターに定植するか、なるべくパクチーが小さな苗のうちに、根鉢を崩さずに移植しましょう。
小さな苗のうちならまだパクチーの根があまり張っていないので丁寧に移植すればよく活着します。
パクチーはあまり土を選びませんが有機質に富んだ土の方が良質の葉をたくさん収穫できます。
元肥は種まきの1週間前くらいまでにしっかり土に混ぜ込んで準備をしておきましょう。
パクチー栽培のポイント、種まきのコツ
パクチーは発芽率があまりよくない部類のハーブです。
パクチーの種は丸い殻に覆われていて、中に二粒の種が入っているのですが、この種を覆う殻が固いのです。
丸い殻付きの状態のまま種まきしても芽は出ますが、時間がかかったり少し発芽率が悪くなることがあります。
また一ヶ所から双葉が二つまとまって出ますので発芽後に間引きを丁寧にする必要があります。
可能ならパクチーの種の外側の殻をそっと割って、中の種を取り出し、一粒づつまくと芽が出るまでの日数も短くなり発芽も揃います。
種をまいたら上から土を薄くかけます。パクチーの種は好光性なので、土を厚くかけすぎない様にしましょう。
殻付きのままなら2週間前後、殻を割って種を蒔いた場合は1週間前後で芽が出ます。
パクチー栽培のもう一つのポイントは間引き
パクチーの双葉が出揃ったら混み合ったところをそっと間引いていきます。
双葉の時は根もまだ小さいのでそっと間引きすれば他のパクチーの株を痛めることもありません。
隣同士の葉が触れ合う程度に間引きします。
パクチーは密植させて育てるのもいいのですが、あまり密植すると風通しが悪くなり病害虫が発生しやすくなりますので注意が必要です。
最終的に株間が10cm以上になる様に、2〜3回、パクチーが大きくなって窮屈になってきたかな〜というタイミングごとに、間引きを行います。
パクチー栽培の肥料のやり方
パクチーはそれほど大きなハーブではありませんが、肥料はしっかりあげたほうが質の良い柔らかい葉が収穫できます。
元肥をしっかり土に混ぜてありますが、プランターや鉢は水やりのたびに底から養分が流れ出していきます。
ですので追肥をしっかりしましょう。タイミングとしては間引いた後や収穫した後には追肥する、が基本です。ペースでいうと2〜3週間に1回くらいが目安です。
直接株や根にかからない様に条間に肥料をパラパラとまき、表面の土と軽く上下を返して肥料を土となじませて水やりをしましょう。
1週間に1回は水やりの代わりに液肥をあげましょう。液肥は葉面からも吸収されます。
パクチーの収穫を春先まで楽しむために
パクチーの葉が8〜10枚ほどになったら外葉からかき取って収穫します。混み合っているところから、隣と葉が軽く触れ合う程度にパクチーの外葉を収穫していきます。
収穫したらお礼の追肥をして次の成長を促します。
こうするとまた中心の葉芽が育って繰り返し春先まで長くパクチーの収穫ができます。
収穫を繰り返すと少しずつ収量が減っていきます。葉の大きさや質も最初の方がよいものが収穫できます。
また、パクチーは葉や茎の地上部だけでなく、根もスープにしたり炒め物に刻んで加えたりすると香りがよくて、味もほんのり甘くてとても美味しいです。
葉の収穫を少し我慢して大株に育てて、根もしっかり太らせたところで一気に株ごと引き抜いて収穫する方法もあります。
パクチーは春に花が咲いて実がなります。
完熟してよく乾燥した種を次のシーズンのパクチーを育てるための種として使うこともできますし、ミルで砕いて粉にしたものをスパイスとしてスープやカレーの香りづけにすることもできます。
パクチーの種を取りたい場合は、暖かくなって花芽が上がってきたらよく育っている株の葉の収穫をやめて追肥して、よい実をならせましょう。
パクチーの株が枯れてきて、実も乾燥して茶色くなるまでそのままにしておきます。
その後パクチーの茎のごと種を収穫して天日干ししてから種だけをとって、空き缶などに入れて冷暗所で保存します。
パクチーの手入れ・収穫・種取り、そして料理
パクチーは葉茎、根、種、全草を利用することができて、全く捨てるところがありません。
利用価値の高い野菜でありハーブです。
独特の香りは苦手という人もいますが、好きになると本当に病みつきになる味と香りです。
ベトナムの生春巻きや、フォー、トムヤムクンの薬味にたっぷり盛って食べたり、豚肉やラム肉との相性がいいので、たっぷり刻んでニンニクやショウガと合わせて炒めるととても美味しいです。
体にもいいハーブですので、パクチーのプランター栽培、パクチー好きな方にはオススメです。