いちごの病害虫対策、有機栽培でも使える農薬などを活用してうどんこ病やハダニ対策をする方法を紹介します。
いちごの育て方については別記事で紹介していますので文末にリンクを貼っておきます。
いちごはハウス栽培されることを前提に品種改良された品種が多いです。
そのため、家庭菜園、特にプランター栽培ではうどんこ病やハダニなどの病害虫の影響を受けやすく少し栽培が難しい果菜ではないかと個人的には思っています。
プロのいちご農家ならハウスごと燻蒸して病害虫対策もできますが、ここでは家庭菜園でできるいちごの病害虫対策の方法を紹介します。
目次
いちごの病害虫①うどんこ病
いちご栽培で何と言っても悩ましいのはうどんこ病ではないでしょうか。
葉や茎に白い粉が吹いたようになり、放っておくとあっという間に広がり、葉に元気がなくなりやがては株が枯れてしまいます。
うどんこ病はカビの一種の菌が原因で、空気が乾燥するとかかりやすくなると言われています。
うどんこ病が厄介なのは風が吹いたりすることで菌糸が飛び散り他の植物にも移ってしまうため初期段階での発見が大切です。
いちごの品種によってはうどんこ病に対する耐病性が高い品種もありますので、そういった品種を選んで栽培するのもポイントです。
予防としては通気性日当たりを確保するために適度の株間を取り、葉が密植してきたら適宜葉かきをして、株全体に日光がまんべんなく当たるようにすることと、土を必要以上に乾かさないこと、時々は水をかけてやり、乾燥を防ぐことです。
どうしてもうどんこ病にかかってしまった時は、すぐにその部分を胞子が飛び散らないようにそっと切除してから、株全体、葉の表も裏も殺菌することです。
自然なものだと酢水や重曹を薄めたものをスプレーしたり、うどんこ病に使える農薬を散布する、あとはただの水をミストスプレーするのも空気の乾燥を防ぐことから予防につながります。
なるべく自然なもので酢水や重曹を薄めたものを使う場合は効き目も穏やかなので、ごく初期の段階のみにとどめ、それ以上に広がっている場合は農薬を使った方がしっかり再発を防ぐことができます。
無理にナチュラルなもので頑張っていると結局病気が広がって株全体が枯らしてしまうこともあります。
今は農薬の中にも有機栽培でも使えるものもありますのでそういったものを使うのがオススメです。
うどんこ病の対策についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
いちごの病害虫②灰色かび病
うどんこ病と同じ、カビ菌の一種が原因の病気です。
名前の通り葉や茎に最初は水がしみて茶色くなったようになり、それがひどくなると灰色のカビがついたような状態になります。
いちごの場合、まだ葉が柔らかいクラウンの中心部分の芽の部分などが茶色くなってしまっていたら要注意です。
うどんこ病は粉が真っ白なのですが、灰色かび病は茶色味を帯びた灰色なので色で見分けがつきます。
灰色かび病はやや涼しい気候で多湿になると発生しやすくなります。
いちごの花びらや枯れた葉が植物体についたまま、あるいは土の上に落ちたままになって水分を含むと細菌が繁殖しやすく、そこから病気が発症しやすいので、枯葉や落ちた花びらは取り除いて株を清潔な状態に保つようにします。
灰色カビ病はうどんこ病よりも対策が少し難しいと感じます。
見つけたらすぐにその部分は取り除くこと、また病巣が広がってしまっている場合はすぐに株全体を処分してください。
初期段階での薬剤での対策はうどんこ病に準じる形で対処します。
ただし、水を含んだ薬剤をまくことになります。
うどんこ病の場合は水を嫌うため酢水や重曹水などでも効果を見込める部分がありますが、灰色かび病の場合は水気がよくないため、灰色かび病に薬剤をまく場合は最初から農薬の部類の殺菌剤を使用します。
いちごの病害虫③丈夫に育てることで病気にかかりにくくする
植物の組織を丈夫にするカルシウムやカリ成分の補給になるのか、草木灰や石灰を植物にまくと植物が元気に育つと言われていて、作物を元気に育てるためにそのまま粉を株全体にはたきかけるのは古くからの知恵の部類に入るのでしょうか。
上の写真はランナーで増やしたいちごの子株の株の中心が茶色くなってしまっていたので、元気になってくれたらいいなと思い、試しに有機石灰をパタパタとまぶしてみたところです。
過湿にしたことで灰色かび病になってしまった疑いあり、でした。
まだ子株なので、元気に育ってくれるよう様子見の状態です。
いちごの実を収穫できるようになった株の場合は病気が広がると被害が大きいので、様子見などと言わずにすぐに殺菌剤を使うのがおすすめです。
子株の場合はいちごの実を収穫するまでだいぶ日にちがありますので、この段階でしっかり農薬を使ってみて、それでもダメなら諦めて株を処分するしかありません。
状態がひどい場合は他の植物に移ることを防ぐために、すぐに株を処分したほうがよい場合もあります。
いちごの病害虫③ハダニ
いちごで必ずと言っていいほど悩まされる害虫がハダニです。
ハダニはとても小さくてよく見ないと見落としてしまいがちな害虫です。
ハダニは葉の表面よりも裏面につくことが多く、表面にハダニがいるような時はかなり手遅れに近い状態のことが多いです。
上の写真はいちごの葉の裏についたハダニでまだ割と初期の状態ですが、ハダニは繁殖力が強くあっという間に広がりますので、見つけたらすぐに対処が必要です。
ハダニはいちごの葉裏につくのでなかなか気づきにくいのですが、普段から葉裏を時々ハダニがいないかチェックするのが早期発見の第一歩です。
上の写真の白い丸印をつけたいちごの葉を見てください。
いちごの葉の表面が部分的に白っぽくなっているのがわかるでしょうか。
こんな風に部分的に葉色が薄くなったり、黄色くなったりしているものを見つけたらいちごの場合、かなりの確率で葉の裏側にハダニがついています。
ハダニは見つけたらすぐに手やブラシを使って擦り取ってから、葉裏にスプレーなどで水をかけてよく洗い流します。
たくさんハダニがついてしまったいちごの葉は葉かきして取り除きます。
ハダニは乾燥するとつきやすいので、普段から葉裏に葉水をかけて洗ってやると予防になります。
ハダニが多くなると葉の汁を吸われて株の成長の勢いが弱まり、放っておくといちごの株が枯れてしまいます。
少し手間ですが毎日は裏に水をスプレーしてやるとかなりハダニの被害を軽減できると思います。
ハダニの被害がひどい時はやはりスプレータイプの農薬を使って駆除します。
いちごの病害虫④アザミウマ(スリップス)
いちごだけでなくブルーベリーや他の果樹でも見られる害虫です。
体が小さくて針のように細く、いちごの花についたり、果実とへたの間の隙間に潜んでいて見つけにくい害虫です。
吸汁性の害虫でいちごの花が開花する前にしぼんでしまったり、果実を吸汁されると肥大しなくなったり、十分に着色しないままいちごが褐色になってしまう厄介な害虫です。
上の写真の一番右のいちごはおそらくアザミウマに吸汁されたいちごです。
いちごの実の表皮に傷がつくので、見た目も悪く、皮を剥いたりせずそのまま食べるいちごの場合はアザミウマは大敵です。
これもおそらくアザミウマの仕業です。
駆除が厄介な害虫の一つですので、見つけたら早めに防除が必要です。
アザミウマの場合はハダニと違って株元や葉の付け根の隙間などに隠れていたりして見つけにくい特性があります。
ついてしまったアザミウマはなるべく早く駆除して、いちごの花や果実を吸汁されないように守りましょう。
吸汁されると植物はどんどん元気がなくなり成長が止まり枯れてしまいますので、しっかり防除する必要があります。
市販の殺虫剤を使う場合は収穫何日前まで使えるか、説明書をよく読んで利用するようにします。
予防としては、いちごの葉が必要以上に密植しないように普段から葉かきをして風通しよくしておくことが一つ。
またいちごの花が咲いた後の花びらを綺麗に片付ける、小さくていちごの収穫を期待できない不要な花は、その後の花芽の成長を促すためにも早くに摘花してアザミウマの餌にならないようにします。
少し手間がかかりますが、防虫ネットを張るのはアザミウマだけではなく他の害虫、アブラムシやハダニなどの飛来の防除にもなります。
いちごの病害虫:有機栽培で使える農薬も活用して
いちごでよく悩まされる病害虫について紹介しましたが、今は病気と害虫どちらにも使える成分が配合されたスプレータイプの農薬、しかも有機栽培でも使えるようなものが販売されています。
なるべくなら自然なものがいいですが、そこで無理をしてせっかく育てているいちごの株を枯らしてしまっては意味がありません。
病気でも害虫でもごく初期のうちに、農薬の中でも有機栽培で使える安全な農薬を使って、ピンポイントにしっかり効かせて病気の菌の殺菌や害虫の駆除をするのがおすすめです。
ただしポイントは、病気の菌、害虫ともに同じ農薬を使っていると耐性ができてしまうので、いくつかの薬剤をローテーションさせて使っていくことも、しっかり防除するポイントになります。
最近人気の物理的に害虫の呼吸を阻害して駆除する食物由来成分で作られた気門封鎖型の殺虫剤スプレーは、使用回数制限もなく、アブラムシやハダニ、うどんこ病に使えるのでおすすめです。
うどんこ病の対策やいちごの育て方に関する記事は別記事で紹介しています。
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