そら豆の育て方を紹介します。
そら豆は豊富な栄養価と独特の風味で知られており、自宅で育てることができる手頃な作物です。
この記事では、初心者の方向けにそら豆の育て方やそら豆栽培で失敗しないためのポイントを詳しく解説します。
そら豆の育て方のコツ、失敗しないためのポイントは種まきの仕方と、摘心、アブラムシ対策です。
この3つのポイントについて、そら豆の育て方全般とともに紹介します。
目次
そら豆の育て方①用土
マメ科の植物は根粒菌の働きで窒素を土中に固定しますので、初めて野菜を育てる場所などは肥料などがなくてもよく取れます。
初めて何か作物を栽培する土地ならそのまま耕すだけでもよほどの荒地でない限りそら豆はよく育ちます。
逆にそら豆は連作障害が出るため2年目、3年目の栽培の方が気を使います。
すでに何か育てている畑の場合は苦土石灰で酸度調整をしてから堆肥と控えめに元肥をまいてよく耕します。
プランターの場合は赤玉7、腐葉土などの堆肥3の割合の用土に元肥を通常の野菜に与える分の半量ほどを加えます。
そら豆栽培のプランターのサイズは65cm標準プランターに3株が目安です。
そら豆は大きくなるので深型プランターならなおよいです。
そら豆の育て方②種まきの時期
そら豆は一時期しか出回らない季節野菜で露地栽培の本来のそら豆の旬は5〜6月です。
そら豆の栽培は比較的簡単で、中間地で10月中下旬から11月中旬くらいまでに種まきをします。
最近は九州の暖かい地域のハウス栽培で収穫されたそら豆を1月ごろからお店で見かけることもあります。
そら豆は小苗の方が耐寒性があるため早まきは避け、本葉5〜6枚で冬越しをします。
そら豆の種まきがあまり早いと冬になる前に大きく育ち過ぎ、寒さに当たって枯れてしまうことがありますので、焦らず種まき適期に撒くよう注意します。
そら豆の育て方③種まき
そら豆は直まき、ポットまきどちらもできます。
一箇所2〜3粒まき、間引く方法もありますが、そら豆の種は値段も高いので自家採種でたくさん種があるような場合でない限り、もったいないです。
信頼できる種苗屋さんで種を入手すれば発芽率はいいので、よいタネを入手できる場合は一箇所1粒まきにします。
発芽がうまくいかず、そら豆の芽が出ないところが出たときのために予備の苗を畝の片隅やポットで育てておくと、後で苗の補充ができます。
そら豆の種はおはぐろを下に向けて豆を立てて差し込むように土に埋めます。
そら豆が土から少し顔を出すくらいでも構いません。
種まきをした後、水やりをします。
その後は土の表面が乾くまで水をやってはいけません。
水をやりすぎるとそら豆が腐ってしまい発芽しなくなります。
また路地植えの場合、発芽初期は鳥に豆を食べられてしまうことがあるので必要ならネットをかけたりします。
そら豆の育て方④冬越し
そら豆の苗は霜にあてると痛んでしまいますので、霜が降りるような場所では霜よけをします。
昔ながらのやり方だと笹竹の枝を株元の北側に立てて霜よけします。
敷き藁やマルチをしたり、夜間だけ寒冷紗や虫除けネットをベタがけして保温してもよいでしょう。
地上部は冬の間ほとんど成長しませんが、根は確実に土の中で広がっていて春を迎えるとぐんぐんと成長を始めます。
そら豆の育て方⑤摘心
そら豆は摘心せずに放っておくとそら豆の草丈が高くなります。
そら豆の草丈が高くなりすぎると風で倒れやすくなるのと、あまり上に伸ばすことでそら豆のさやに栄養が回らなくなるので4〜5段の花が咲いたら摘心して上の枝の成長を止めます。
摘心することで栄養がいきわたり、そら豆のさやが充実するだけでなく、株ががっしりして風による倒伏も防ぎます。
初めてそら豆を路地栽培した時、摘心せずに放任栽培していたら、本来摘心する位置より先の柔らかい芽の部分にびっしりアブラムシがついて真っ黒になり、打つ手なしな状態になったことがあります。
ところが、どこからともなく今度はテントウムシの幼虫が大量発生して物の見事にアブラムシを食べて綺麗に掃除してくれたのです。
もともと不要な芽先にアブラムシがついて、そこにテントウムシの幼虫がやってきて、気が付いてみたらテントウムシの孵化とともにアブラムシはほとんどいなくなっていて、自然のサイクルの仕組みはすごい、と感心したのを今でも覚えています。
ただ、アブラムシに吸われた分の養分は、そら豆を摘心していれば株を充実させそら豆が太る方に使われたのでしょうから、やはりそら豆は摘心した方がよいと思います。
そら豆の育て方⑥アブラムシに注意
そら豆栽培はアブラムシに注意が必要です。
春になってそら豆の新芽が伸び始めるとアブラムシがどこからともなくやってきます。
これはもうどうしようもないので、牛乳スプレーや除虫菊スプレーなど自然なもので駆除しましょう。
自然が豊かなところならテントウムシの幼虫もどこからともなくやってきて、アブラムシを綺麗に食べてくれますが、ベランダではそれはなかなか難しいと思います。
アブラムシが出す甘汁はベトベトしていてそれがアリを呼んだり、細菌感染、病気の元になりますので見つけたらすぐに対処します。
そら豆がアブラムシに吸汁されると、その辺りに赤茶色い斑点の跡が残ります。
アブラムシは繁殖力が強いので初期の防除が肝心です。
必要な高さまで伸びたそら豆の柔らかい芽先は摘心しますので、そら豆の柔らかい芽についたアブラムシを駆除することにもつながります。
そら豆の育て方⑦収穫
そら豆の花が咲いた後さやが実って徐々に大きくなり始めます。
そら豆の名前の由来はさやが最初のうちは天に向かっていることからその名がついたとも言われています。
収穫適期になるとさやが下を向くので、それが収穫の合図です。
そら豆は自分で育てていると若採りからしっかり熟成した豆まで時期を選んでそれぞれの風味を楽しむことができます。
若採りしたそら豆は茹でて中の薄皮ごと、みずみずしい食感を楽しむことができます。
熟成した豆はホクホクした味になります。
さやの状態を見ながら好みのタイミングで収穫できるのも自分で栽培しているからこそのお楽しみです。
そら豆の育て方⑧後片付け
そら豆栽培が終わったら、残渣を片付けるのですが、路地の場合は根を土の中に残して地上部だけを片付けるようにします。
そら豆の根には根粒菌がついているからです。
根粒菌は空気中の窒素を固定して土を肥やす働きがありますので、せっかくの根粒菌は土にそのまま残すようにしましょう。
プランターの場合も根を細かく切って土の中に混ぜ込んでおいたり、地上部と根を合わせて自家製の堆肥を作ってもよいでしょう。
ベランダで少量でも作れる堆肥の作り方を下記の記事で紹介しています。
そら豆の育て方⑨連作障害に注意
最後に、そら豆はマメ科の野菜で連作障害が出ますので、同じ土でマメ科の植物を栽培する場合はなるべく3〜4年間をあけてから栽培するようにします。
そら豆を毎年同じ場所で栽培すると収量が減ったり、病害虫が出てうまく育たないこともあります。
連作障害については以下の記事で詳しく紹介しています。
終わりに:そら豆は鮮度が大事!
そら豆は採りたてが命です。
鮮度が落ちやすく、採りたてのそら豆の味は育てているからこその格別なものです。
時々そら豆は臭い、匂いが苦手、という方もいらっしゃるのですが、確かに鮮度が落ちたそら豆はアンモニア臭のような独特の匂いがしてきます。
どうしてもの時はさやつきのまま冷蔵庫で保存すれば、1〜2日は新鮮な美味しさを維持できるかと思います。
そら豆をさやから出すと、生でも茹でた後でもどんどん薄皮の表面の色が茶色く変色してきますので、調理したらなるべくすぐに食べるのがおすすめです。
新鮮なそら豆には臭みはありません。
とれたてのそら豆は甘くて美味しい初夏の味覚です。
とれたてのそら豆を塩茹でして食べたり、そら豆ご飯、そら豆の天ぷら、ポタージュなど、色々な料理法でその美味しさを楽しむことができます。
そら豆はプランターでも育てられますのでぜひ栽培されてみてはいかがでしょう。