タイムの育て方、室内の鉢植えやプランターでのタイム栽培についての記事です。
タイムの育て方のお悩みでありがちなコモンタイムをひょろひょろにしない、枯らさないお手入れ方法を紹介します。
タイムはシソ科のハーブで抗菌、殺菌、咳を鎮める、利尿作用、収れん効果があり、喉の炎症にはタイムのハーブティーでうがいするとよいと言われています。
防腐効果があるため古くから肉や魚の料理に使われてきました。
甘くスパイシーな香りは肉や魚によく合います。
タイムはプランターや鉢植えでもよく育ちますし、とても香りがよく1鉢あると重宝します。
目次
タイムの種類
タイムは大きく分けて木立性のタイムと地を這って広がるクリーピングタイムがあります。
クリーピングタイムはグランドカバーとして植栽に使われます。
花の時期には一面ピンク色の花で覆われるので、遠目に見るとピンク色のカーペットのように見えます。
木立性のタイムは料理やお茶に使われる代表品種であるコモンタイムや、レモンの香りのするレモンタイム、コモンタイムの中でも特に香りのよいものを選抜して作られたフレンチタイムなどがあります。
この他、日本にも自生しているタイムの仲間でイブキジャコウソウという品種もあります。
コモンタイムの和名はタチジャコウソウですから近縁種であることはその名前からもわかります。
コモンタイムはひょろひょろとした姿になりやすいので、剪定で形を整えた方が、よく育ちます。
タイムの育て方①タイムの室内栽培の注意点
タイムの室内栽培や、鉢植え、プランター栽培には比較的コンパクトにまとまる木立性のタイムの方が向いています。
またお料理やお茶に使うのはコモンタイムやフレンチタイムなどの木立性タイムになります。
料理に使えるタイムは室内に小さなポットでも1つあると便利です。
タイムの栽培を室内で行う場合、土は清潔な用土の方がいいので、ハーブ用の培養土を購入して利用するのがお勧めです。
タイムを室内で育てる場合は大きなプランターを置くのは難しいと思いますので小さな鉢植えで育てます。
鉢のサイズは5〜6号鉢で1株のタイムを目安に植え付けます。
タイムを室内で育てると屋外で育てるよりも茎や葉が柔らかいものができますので料理に使いやすいです。
ポットの置き場所は日当たりのよい窓辺が向いています。
タイムは室内で乾燥するとハダニがつきやすくなるので、時々葉水をかけたり葉裏に霧吹きをします。
必要に応じて食品由来の成分の物理性殺虫剤でハダニを防除するのもお勧めです。
過湿には弱いので水のやりすぎに注意し、よく育って密生してきたら枝を透かして風通しよくしておくのもポイントです。
タイムは春から夏にかけてどんどん育ちます。
液肥や月1回程度の追肥をするとよい枝葉が育ちます。
ただし有機肥料はカビたり、場合によっては虫が発生したりすることがあるので、慣れない方は室内ではあまり使わない方が無難です。
タイムはそれほど肥料も必要ないので室内なら液肥でも十分育てられますし、固形肥料を使いたい場合はIBなどの化成肥料を少し使うのがお勧めです。
追肥しながら柔らかいよい茎葉を育てて必要な時にタイムの柔らかい茎をちょんと摘んで料理の香り付けに利用しましょう。
それ以外の基本的な育て方はベランダなどの屋外で育てる場合と同じですのでこの後のプランター栽培のタイムの育て方をご覧ください。
タイムの育て方②プランターサイズ
タイムは丈夫でよく育ちますので屋外でプランターで育てる場合、プランターの大きさはお好みで大丈夫です。
あまりプランターが小さいと水やりを頻繁にすることになりますので50〜60cmのプランターに2〜3株のタイムを植える目安で苗を植え付けます。
タイムは蒸れ、過湿に弱く、ひどいと下葉から茶色くなって枯れ込んでくるので、室内と同様、日当たりのよい場所、そして風通しのよい場所にプランターをおきます。
プランターだけでなく、もちろん鉢植えでも屋外でタイムを育てることはできます。
基本的な用土や育て方は一緒ですのでここからは、屋外でのタイムの育て方をメインに紹介します。
タイムの育て方③タイムは苗から育てるのがおすすめ
プランターや鉢植えで2〜3株を育てるなら苗を買って育てましょう。
タイムは乾燥した気候と日当たりを好み、生育適温は15〜20℃です。
植えつけの適期は春、4月〜5月にかけてです。
タイムは種まきからでも育てられますが、種が細かいのと、初期生育が遅いこと、そして発芽した株の香りには個体差があることから、苗を選んで購入するか、香りの良いタイムの株から挿し穂を取り挿し木して苗を育てるのがおすすめです。
生育適温を見るとわかるように、タイムは日本の蒸し暑い夏は苦手なので上手な夏越しの方法も合わせて紹介します。
タイムの育て方④栽培の用土
タイムは乾燥したやせ地でよく育つので、土も水はけのよい土を用意します。
赤玉7、腐葉土3を基本に、湿り気のある場所であればパーライトやバーミキュライト1を追加して通気性をよくします。
逆にすごく乾燥する場所の場合は赤玉6、腐葉土4にします。
タイムは酸性土を嫌いますので基本の用土には石灰を混ぜて少なくとも1週間は置いて酸度を調整してから苗を植えつけます。
やせ地でよく育ちますが、鉢植えの場合は水やりで土の養分が流れ出てしまいますので元肥を施し、春と秋は追肥も与えます。
タイムの育て方⑤肥料
タイムの葉が茂りすぎると徒長して蒸れやすくなるので、肥料は少しずつ控えめに追肥をこまめにやります。
夏は暑くて株が弱り根が肥料を吸収できなくなり、冬は寒さで活動が鈍くなりますので肥料は与えません。
春と秋、葉が伸びて成長する時期には3週間に1回程度のペースで追肥します。
ゆっくり効く緩行性の肥料や有機肥料がおすすめです。
タイムの育て方⑥水やり
タイムは過湿に弱いので、水やりは土の表面が乾いてからたっぷりやるようにします。
土が乾いていないときは水は必要ありません。
土が常に湿っていると根腐れしたり、土から上がる湿気で下葉が蒸れて黒くなり枯れこんできます。
タイムの育て方⑦タイムの葉の剪定と収穫の時期
春に苗を植え付けた年は収穫というよりも、葉が蒸れないように、込み合った枝をすかしたりする程度にとどめ、料理に使いたいときは緑色の柔らかい枝の先を少し摘んで料理に使う程度にします。
翌年の春前に新芽が少し動き始めた頃、新芽が出始めている部分を少し残して、地上部の伸びた枝の2/3を一斉に刈り取り剪定します。
新芽が全くないところまで枝を切り戻してしまうと新しい葉が育たなくなり枯れてしまう場合がありますので、必ず新芽をいくつか残して剪定します。
春になると新芽が育って柔らかい茎葉がたくさん伸びて育ちます。
春と秋には良質な茎葉を料理のたびに摘み取り収穫しましょう。
タイムの育て方⑧コモンタイムをひょろひょろにしない、夏越しのための剪定
タイムは日本の蒸し暑い夏が嫌いです。
春に新しい茎や葉が出て茂ると梅雨時期以降の夏はコモンタイムは葉が蒸れやすくなり、特に風通しの悪い部分の葉が黒くなり枯れ混んでしまうことがあります。
またコモンタイムは上に伸びるため、草丈が長くなるとひょろひょろとして茎が倒れやすくなるので、それで余計に茎葉が蒸れやすくなります。
コモンタイムはひょろひょろになる前に夏越しのために枝を適宜切り戻し剪定するのがおすすめです。
また夏前には、一度まとめて短く刈り戻す様に剪定しましょう。
やり方は簡単です。
コモンタイムなど、立性のタイムの地上部の、長く伸びた枝を全部軽くまとめて手で束ねて持ちます。
地上部の新芽をいくつか残す位置で横一文字にハサミでまとめた枝をバッサリとカットします。
冬越しした後に地上部を2/3カットしたのと同様のやり方です。
これでタイムはかなり小さくコンパクトに借り戻しされた形になります。
また込み合った枝がある場合には枝の付け根からカットして間引き剪定もします。
株の下の方の位置から生えて土の表面を這うように広がる枝は枝の付け根からカットして土の表面の風通しを確保するようにします。
梅雨入り前に枝を整理して風通しよい状態にして、夏越しさせます。
タイムの育て方⑨葉の保存
梅雨入り前はタイムの花が咲いている時期です。
タイミング的に、夏越しのための剪定でちょうど香りのよい枝をまとめてカットすることになります。
カットした枝は一度に料理で使い切れないと思いますので、たくさんカットした枝は乾燥して保存します。
タイムは乾燥しても香りをよく保持しますので、ドライハーブとしての保存ができて、おすすめです。
パリパリになるまでよく乾燥させたら、そのままガラスのビンやジップロックに入れて保存し、使う時に手でパリパリと細かくして利用してもよいでしょう。
タイムの葉の利用法
剪定を兼ねて収穫したタイムの葉はフレッシュでもドライでも料理に素晴らしい香りをつけてくれますし、ハーブティは抗菌作用があるので風邪の予防にもなります。
料理に使う場合は肉や魚の香りづけに最高に相性がよいです。
個人的には特に牛肉との相性が素晴らしいと思いますので、ビーフシチューなどのように肉を塊で煮込む時にタイムを加えて煮込んだり、肉を焼く時にタイムを細かく刻んで風味づけにフライパンに加えるのがおすすめです。
タイムは加熱しても香りが良く残りますから、肉を煮込む時には最初から加えます。
肉の臭み消しになり、爽やかで甘くスパイシーなタイムの香りを楽しむことができます。
よく知られている人気のハーブであるローズマリーは豚肉や特に鶏肉、セージは豚肉との相性が抜群ですが、タイムは特に牛肉や白身の魚との組み合わせが個人的に特に相性がよくて美味しいと感じます。
ローズマリーやセージについては別記事で紹介しています。
タイムはローズマリーやセージより少し優しめの繊細な香りですので柔らかめの香りがお好きな方、強い野性味のあるハーブの香りは苦手、という方におすすめです。