除虫菊(ピレスラム)の育て方、殺虫効果、除虫菊スプレー殺虫剤の作り方とは?

除虫菊、ピレスラムの育て方とその殺虫効果について、殺虫剤として使える除虫菊スプレーの作り方を紹介します。

除虫菊は別名ピレスラムと呼ばれるキク科の植物です。

キク科の植物は薬用の効果があるものが多いのですが、この除虫菊(ピレスラム)は名前の通り虫に対する殺虫効果を持っています。

除虫菊は殺虫成分を含んでいるだけでなく、マーガレットのような花が咲き、見た目も可愛いいので家庭での栽培におすすめの花です。

植物を育てることを楽しむ人には除虫菊(ピレスラム)の殺虫効果が助けになることもありますので、育て方や除虫菊スプレー殺虫剤の作り方を紹介します。

 

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目次

除虫菊(ピレスラム)の殺虫効果の成分はピレトリン

除虫菊(ピレスラム)、というと知らない人も多いかもしれませんが、蚊取り線香は誰もが知っているような虫除け剤ですよね。

この蚊取り線香の原料が除虫菊(ピレスラム)です。

除虫菊(ピレスラム)にはピレトリンという殺虫成分が含まれています。

これは虫には効果があっても動物にはほとんど毒性がないことで知られ、私たちが長く蚊取り線香として日常で使ってきた成分です。

除虫菊の花の滲出液でスプレーを作れば天然の殺虫剤になります。

現在はこの天然のピレトリンと構造がよく似た合成ピレスロイドという成分が開発され、殺虫剤にはピレスロイドが使われることが多くなりましたが、現在でも除虫菊(ピレスラム)を使った天然の蚊取り線香は販売されています。

蚊取り線香で有名なキンチョーの会社名は大日本除虫菊株式会社です。

キンチョーが社名だと思っていた、という方も多く、除虫菊が社名になっている、という話をすると「へえ〜」という反応が返ってくることも結構多いのではないでしょうか。

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除虫菊(ピレスラム)の殺虫成分ピレトリンは人や動物への毒性が低い

除虫菊の殺虫成分であるピレトリン、ピレスロイドは昆虫に対しては殺虫効果がありますが人や動物に対しては毒性がほとんどないことで知られています。

一つだけ、魚に対しては強い毒性を発揮する場合があるので、近くに魚がいる、という場合にはその水に薬剤がかからないよう使用に注意が必要です。

 

除虫菊(ピレスラム)を栽培すれば殺虫効果を得られるのか?

多くの人が疑問に思うのは、除虫菊栽培したらそれだけで虫除けの効果があるのか、ということです。

これについては答えはノーで、残念ながら除虫菊を植えるだけでは殺虫効果はありません。

除虫菊(ピレスラム)の中でも殺虫効果が一番高いのは花の部分です。

そしてこの花を乾燥して粉末にしたものを燃やすと殺虫成分のピレトリンが気化して殺虫効果を発揮します。

除虫菊の殺虫効果を得るもう一つの方法は除虫菊スプレーを作って噴霧する方法です。

栽培しているだけでは除虫菊(ピレスラム)の殺虫効果は期待できませんので注意しましょう。

実際の除虫菊(ピレスラム)は日本で育てるには日本の夏の蒸し暑さ、気温の高さがマイナス要因になるので、夏場には涼しい日陰などの場所で過密にならないように育てる必要があります。

過密に育てると蒸れたり、アブラムシなど害虫がつきやすくなります。

除虫菊(ピレスラム)であっても、害虫はつきますので油断しないでくださいね。

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除虫菊(ピレスラム)の育て方①赤花除虫菊とタネや苗の入手について

除虫菊(ピレスラム)の栽培は苗を園芸店で入手するか、種から蒔いて育てる方法があります。

いずれにせよ花が咲くのは種まきした翌年になります。

サカタのタネでロビンソンミックスという少し珍しい赤花除虫菊の種を販売しています。

赤花と言っても濃いピンク、薄いピンク、白のミックスの種で観賞価値が高い品種です。

除虫菊(ピレスラム)の殺虫成分が一番多いのは白い花でシロバナムシヨケギクとも呼ばれています。

赤花除虫菊でも白い除虫菊よりやや効果は弱くなるものの、ピレスロイドは含まれているので除虫菊スプレーの殺虫剤を作れば殺虫効果は得られます。

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除虫菊(ピレスラム)の育て方②種まきと育苗

除虫菊栽培する時は、春に種まきして育苗したのち定植して、夏場は日陰の涼しい場所で株を育てていきます。

除虫菊の種まきの適期は4月から5月にかけてです。

濡らしたティッシュなどに除虫菊の種を包んで乾かないようにラップで包み、1週間ほど冷蔵庫などでタネに水分を含ませてから育苗トレーなどに種まきします。

本葉2〜3枚になったら小さなポットに苗を植えて育苗し、しっかり根鉢が回ってから定植します。

地植え、鉢植えどちらも栽培可能です。

除虫菊は多年草で株が大きくなりますので定植の時には元肥をしっかり施した土で栽培します。

草丈は地植えなら1mくらいになります。

鉢植えで除虫菊を育てる場合は一株を最低でも6号鉢に植えるぐらいの方がよいでしょう。

苗の間は成長はとてもゆっくりです。

焦らず翌年を楽しみに栽培しましょう。

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除虫菊(ピレスラム)の育て方③風通しが悪いと病害虫が出る

除虫菊栽培はあまり密植して風通しが悪くなるとアブラムシはじめ病害虫も出やすくなります。

株間は十分にとって、風通しよく育てます。

夏場の高温多湿は苦手で、根腐れしたり葉が蒸れてしまう場合もありますので、夏は日陰になるような風通しのよい場所で育てます。

 

除虫菊(ピレスラム)の育て方④冬の手入れ

除虫菊は耐寒性があるので冬場も葉が枯れません。

地植え栽培の場合は1年目の冬だけは敷き藁などで霜よけをしてやります。

鉢植え栽培の場合は日当たりのよい暖かい場所に除虫菊の鉢を移動するなどしておきましょう。

そのまま地上部の葉がある状態で、越冬します。

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除虫菊(ピレスラム)の育て方⑤開花は2年目の春以降

2年目の春に株が成長を始める3月頃に少し追肥をしてやりましょう。

5月〜7月には花を咲かせます。

花後に再び追肥をしてその後の株が充実するようにします。

除虫菊の花は水揚げがよいので切り花としても利用できます。

刈り取って乾燥させて除虫菊スプレーを作るために利用することもできます。

株が大きくなったら2〜3年に1回株分けして増やすことができます。

あまり大株になって密植状態になると夏場に蒸れて枯れてしまいますので適宜株分けをします。

 

除虫菊スプレー殺虫剤の作り方

天然の殺虫成分を含む除虫菊スプレーを作っておくと自家製の殺虫剤としてベランダガーデニングに重宝します。

除虫菊スプレーの作り方は簡単です。

乾燥した除虫菊(ピレスラム)の花の部分をホワイトリカーに漬け込みます。

200ccのホワイトリカーに10gの乾燥した除虫菊(ピレスラム)の花を入れるくらいが目安だと思います。

自分で除虫菊(ピレスラム)を栽培している場合は除虫菊(ピレスラム)の花を摘み取ってすぐにホワイトリカーに漬け込んでも除虫菊スプレーを作ることができます。

にんにく3かけ、唐辛子5本も一緒に漬け込みます。

分量はあまり厳密でなくても大丈夫です。

ガラス瓶に入れて、明るい日の当たる場所に置いて3週間以上おいたものが除虫菊スプレーの原液になります。

これを使う分だけ水で500倍程度に薄めれば除虫菊スプレーの完成です。

除虫菊スプレーを水を弾くような植物に使う場合には、原液を薄めるとき、展着材の代わりに石鹸水や食器用洗剤をわずかに加えてスプレーするとよいでしょう。

また虫除け効果のある木酢液、竹酢液などを加えてもいいです。

除虫菊(ピレスラム)の育った環境によっても出来上がったスプレーの殺虫効果は違ってくると思いますので上記は参考になりますが、よかったら試してみてください。

天然の除虫菊パウダーも販売されているので、そういったものを購入して、ホワイトリカーで漬け込んで、除虫菊スプレーを作れば品質も安定していてよいと思います。

ホワイトリカーに漬け混む時には、だしパックなどに除虫菊パウダーを入れて作るとよいでしょう。

スプレー容器は水に溶けない粒子が混入していると詰まってしまいます。

だしパックなどに除虫菊パウダーを入れて作ったとしても出来上がったものはしっかり不織布や天ぷら油用の濾過紙などで濾してからしばらく静置しておいて上澄みをとって薄めたものをスプレー容器で使うようにしましょう。

薄いピンク色の除虫菊(ピレスラム)の生花でこの除虫菊スプレーを作ってみたことがありますがアブラムシには確かに効果がありました。

除虫菊(ピレスラム)を育てるところから除虫菊スプレーを作るとなると少し気が長い話になりますが、植物と戯れる楽しみの一つと思えば結構楽しめます。

ロビンソンミックスのピンクの除虫菊(ピレスラム)は花も綺麗でしたし葉の形も美しいので、少し手間はかかると思いますが、花もきれいなので観賞用に育ててみてはいかがでしょうか。

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除虫菊(ピレスラム)以外の自然な害虫駆除方法|アブラムシと天敵、てんとう虫の幼虫の話

余談になりますが、てんとう虫の幼虫はアブラムシの天敵と言われています。

てんとう虫の幼虫はアブラムシを食べます。

以前路地の家庭菜園をやっていた時、初めて植えたそら豆の茎の一番てっぺんにアブラムシがおびただしい数発生したことがあります。

そら豆は50粒くらい種をまいて育てていたのですが、そのほぼ全部のそら豆のまっすぐ伸びた先っぽ10cmから15cmにアブラムシがびっしりついて真っ黒になってしまいました。

それでも薬剤は使わず、そのまま自然に任せておいたのですが、アブラムシが大発生した後、今度はてんとう虫の幼虫がたくさんやってきて、2〜3週間の間にアブラムシをどんどん食べてくれて、気がついたらアブラムシはほとんど気にならなくなっていました。

中には2〜3本先っぽが病気になってしまったものもあったのですが、大量のアブラムシが発生したのにもかかわらずほとんど被害はなく、てんとう虫の幼虫がアブラムシを綺麗に掃除してくれたのです。

後から農家の方に聞いたら、そら豆の花が4〜5段咲いたら、だいたい高さが70cmくらいだと思いますが、先っぽの茎10〜15cm程度は切り取って摘心してしまうのだそうです。

こうして成長を止めることでさやに栄養を回すのだそうです。

不思議なことにアブラムシはそのいらない先っぽの10〜15cmのところにだけびっしりついて、しかもそこにてんとう虫の幼虫が大量に現れて綺麗にアブラムシを食べてくれて、後には平和が戻ってきたのです。

自然のサイクルは本当に上手くできているなあ、と心底感心したのを今でも覚えています。

いつもこんな風にうまく自然のサイクルが回ってくれればいいのですが、ベランダで植物を育てる場合はなかなかそううまくはいかず、乾燥がちだったり風通しが悪かったりで、ハダニやアブラムシ、その他の害虫や病気が出ることもあります。

自然な方法で駆除できるものもありますが、どうしても大量発生してしまったり、植物の元気がなくなってしまっている時は、無理をせず薬剤を使うことも選択肢に入れておくとよいと思います。

そんな時、自分で作った除虫菊スプレー殺虫剤があれば手軽ですし、安心して使えます。

 

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