ハイゴショウ(這胡椒)という東南アジアのハーブについて紹介します。
ハイゴショウはタイやベトナムでは定番のハーブで様々な料理に使われています。
名前の通りコショウのような辛味があり、胡椒が世界に流通するようになる前はハイゴショウが使われていたと言われています。
東南アジアでは薬草としても用いられるくらいですので食用ハーブとしてはとても優秀ですが、写真のように幅広の葉にツヤと照りがあり綺麗なので栽培を兼ねて観葉植物として楽しむこともできます。
目次
ハイゴショウはタイ料理、ベトナム料理の定番ハーブ、中国では生薬として用いられる
ハイゴショウはタイではチャプルー、ベトナムではロロットと呼ばれています。
葉にはコショウのような辛味があり、さまざまな料理にハーブとして使われます。
干しエビやから煎りした細切りココナッツ、ピーナツ、玉ねぎ、レモングラス、生の唐辛子などを刻んだものに甘辛いタレをかけたものを、ハイゴショウの葉で包んで食べるミアンカムがタイ料理では特によく知られています。
そのほか、ひき肉にスパイスや薬味を混ぜ込んだものをハイゴショウの葉で一口サイズに包んで油で焼いたり、生でサラダ、汁物、炒め物など様々な料理にハイゴショウが使われています。
中国では假蒟(カク)という生薬としてリウマチ性の骨の痛みや打ち身、歯痛、風邪の咳止めや食欲不振などにハイゴショウの葉や茎、根、果実の穂などを用いるようです。
ハイゴショウについて
ハイゴショウは日本ではあまり馴染みがないハーブですが、先日ホームセンターの園芸コーナーのハーブ売り場でハイゴショウの苗を売っているのを見かけました。
その時、スパイスのコショウの苗も野菜コーナーに置いてあり、どちらもなかなか珍しいなあと思いました。
その時はハイゴショウもコショウも熱帯植物なので冬場の温度管理が必要だし、と思い購入を控えたのですが、後日やはり育ててみたくなり苗を入手しました。
ハイゴショウはスパイスのコショウと同じコショウ科の植物で、ハート型の葉をしているところも似ています。
ハイゴショウは漢字では這胡椒と書きますが、文字通り這うようにして横に広がり増えていき、立ち上がった茎丈は50cmくらいになります。
ハイゴショウの葉にはとても綺麗な照りのあるツヤがあり、茎の節から発根するので、気温の高い時期に挿し木で増やすことができます。
花はごく小さく穂状になって咲き、花の後には実がなり熟すと赤くなります。
上の写真にはまだ小さいですがハイゴショウの花穂がついています。
ハイゴショウは熱帯植物なので耐寒性がなく、生育適温の最低気温が15℃くらい、枯れずに冬を越せればよい、という場合でも10℃くらいの温度が必要です。
耐陰性もあるので、沖縄などの暖かい地域でない限り、ポット植えにして室内の暖かい場所で冬越しさせるのがよいです。
また湿度も必要で、日本で一番よく成長するのは高温多湿の梅雨時から夏にかけてです。
ただし、夏の直射日光は葉が焼けてしまいますので、特に夏場は遮光したり、半日陰あるいは明るい日陰で育てます。
ハイゴショウの苗の植え付け
ハイゴショウの栽培には水はけがよく養分に富んだふかふかの土を用意します。
園芸用のブレンドされた土ならそのまま使うことができると思います。
また、自分で用土を混ぜて作る場合は赤玉に腐葉土を少し多めに入れたり、ココピートなどフカフカで通気性よく、かつ水もちのよい有機資材を追加するのがおすすめです。
大きめの鉢に2〜3株まとめて植えてもいいですし、1株ずつなら5〜6号鉢を目安にハイゴショウの苗を植えます。
ハイゴショウは節からも発根しますので植える深さは少し深めに植えても大丈夫です。
植え付けてすぐは風の当たらない日陰や室内で管理し、2〜3日様子を見てから、夏以外の時期には少しずつ日光に慣らしていきます。
あまり強い日光だとハイゴショウが葉焼けしますので半日陰から明るい日陰で育てます。
植え付ける土には元肥を混ぜておき、その後は春から秋の間に液肥を定期的に与えたり、成長具合を見ながら置き肥の追肥をします。
ハイゴショウの水やり
夏場は水切れすると葉が焼けて株が弱ってしまうので、土が完全に乾いてしまわないように、土の表面がかわき始めたらたっぷり水やりします。
ただし過湿にならないよう、水はけのよい状態かどうかは見ておきましょう。
また地上部の葉や茎は湿度を好みますので夏場は1日に2回くらい水をスプレーします。
冬になると成長が止まるか、とてもゆっくりになりますので土の水やりは控えめに、やや乾かし気味にします。
ただし、空気が乾燥するので湿度を保てるようにスプレーしたり、葉の様子を見てビニールがけしてやるとよいです。
特に冬場、室内に取り込む場合、置き場所は暖房の風が直接あたる場所を避けるようにします。
ハイゴショウの花
ハイゴショウに花が咲きました。
このハイゴショウは秋に入手したので温度確保のために室内で栽培しています。
気温が下がってきたので蕾はついても花が咲くまではいかないと思ったのですが、咲いてくれました。
すぐ左上にも次の蕾がついているのがわかります。
この後、コショウによく似た丸い実がなります。
ハイゴショウは主に葉を食用にするのですが、実にも胡椒のような辛味があるとのことなので、ちょっと楽しみです。
ちなみに茎に白っぽい透明な粒や黒い粒がついているのは病気ではありません。
ハイゴショウにはこの小さな水滴のような粒がたくさんつくのが特徴的です。
普通は透明な粒がつくのですが、鉄分入りの活力剤を撒いたら黒いつぶつぶになりました。
なんだか黒いつぶつぶがハダニやアブラムシのように見えてしまうので、次からは葉面散布はやめて土にまくことにします。
ハイゴショウの収穫
ハイゴショウの葉は春以降、暖かくなって生育が旺盛になってきたら、どんどん伸びる新芽や茎、育った葉を順次摘み取って利用します。
根っこから引き抜くのではなく、上部をカットして収穫すると残った節からまたわき芽が育ちます。
ハイゴショウはコショウのような味のする葉、として紹介されています。
生の葉を食べてみるとさほどクセはなく、ピリリとしたさわやかな辛味があり、色々な料理に合わせやすいです。
観葉植物としても楽しめる綺麗な葉ですので、ハイゴショウのポット植えをお部屋で楽しんでみてはいかがでしょうか。