二価鉄入りの植物発根・成長促進剤とタンニン鉄を自分で作る方法

植物の発根・成長促進剤として二価鉄がとても効果的であることはよく知られています。

二価鉄を利用した植物の発根・成長促進剤には有名でロングセラーの商品がありますが、全く同等ではないにせよ、身近な材料で手軽に自作する、手作りすることができます。

この記事では二種類、二価鉄とタンニン鉄の溶液の作り方を紹介します。

1つはシンプルな二価鉄液(写真右)、もう1つはタンニン鉄(写真左)という真っ黒いものになります。

この2つの作り方の鉄分入りの溶液の作り方がわかると、なぜ料理の時に鉄鍋を使うと鉄分補給ができるのか、とか鉄鍋や鉄瓶が錆びた時のお手入れ方法も非常に実感を持って納得できると言うおまけがついてきます(笑)

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目次

二価鉄溶液の作り方①二価鉄液

二価鉄液を作るのはとても簡単です。

クエン酸と鉄(使い捨てカイロの中身や鉄クギ、スチールウール)、水があれば作る作業自体はものの数分でできてしまいます。

よく知られているのは材料の鉄に使い捨てカイロの中の粉を使う方法ですが、粉末は後で上澄みだけを漉したりするのが面倒なので、釘やスチールウールを使うと便利です。

特にスチールウールは鉄の表面積が非常に多いので短い時間で二価鉄が溶け出します。

スチールウールやクエン酸は100均で簡単に手に入ります。

分量もあまり厳密じゃなくても大丈夫だと思います。

・水 500ml

・スチールウール 1個

・クエン酸 0.5g 〜 5gまで(これで大雑把ですがphが2の範囲内のクエン酸水ができます)

これを広口のガラス瓶などに入れクエン酸が溶けて均一になるように軽く混ぜて15〜30分ほど置いておきます。

初めのうちはスチールウールの周りから少しだけ気泡が出ますので容器は気持ち大きめのものにします。

気泡が落ち着くまで時々瓶をゆすって、反応を促します。

30分後、スチールウールを取り出して完成です。

最初はほぼ無色透明ですが徐々に黄色からわずかに緑色を帯びた色に変化してきます。

これが二価鉄液の色です。

クエン酸がなければお酢をそのままでも作ることが出来ます。

お酢はアミノ酸を含んでいるので養分も含んだ二価鉄液になります。

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二価鉄溶液の作り方②出来上がった二価鉄液の注意点

二価鉄液は鉄が溶け出すので反応している時には少し鉄臭い匂いがします。

人によっては硫黄のような匂いに感じるようです。

出来上がった二価鉄液は光が当たらないように保管します。

二価鉄液は時間が経つと酸化して三価鉄に変化し、植物に吸収されにくい形になります。

酸化すると鉄錆のように赤みを帯びた色になってきますので、それが目印です。

そうなったらその液は処分して新しいものを作りましょう。

食品から鉄分をとる場合にビタミンCを一緒に摂るとçを二価鉄に還元してくれるので吸収率が高まる、と言われていますので、ビタミンCの粉末を入れると徐々に色が濃くなってくる二価鉄液が出来立ての時のように色が薄まるか、実験的にビタミンCをパラパラと入れてみました。

その結果、二価鉄液は最初ビタミンCが沈澱した付近は錆色のようになり、瓶をゆすって均一にして満遍なく反応するようにしたら徐々に茶色っぽい錆色から赤黒い透明色になりました。

これは思っていたのと違う結果でした。

どう言うことなのかは時間のある時に調べられたら、と思います。

ちなみにそのあとクエン酸を追加しても色は変わらず、アルカリ性のセスキ炭酸ソーダを加えたら泡がシュワ〜っとたくさん出て、元のわずかに緑色を帯びた黄色に戻りました。

流石にこれはもう使えませんので、残った液体は処分しました。

二価鉄液は安価にすぐ作れますので、早めに使い切れる量を少しずつ作ることをお勧めします。

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二価鉄溶液の作り方③二価鉄液の使い方

二価鉄液を使う時は薄めて使います。

作り方のところで水とクエン酸の量を紹介しましたが、その範囲で作るとおおよそph2の範囲の二価鉄液ができると思います。

この原液をそのまま使うとphが低すぎて植物に影響がありますので、ph5くらいまで薄めたいところです。

phを1あげるためには10倍希釈すればよいので、ph5まで上げるなら1000倍希釈すればOKです。

ブルーベリーなどは酸性を好みますのでphだけのことなら100倍くらいでもよいかな、と思いますが、鉄分も濃ければよいと言うわけではないので、まずは500倍くらいで様子見をしてから濃淡の調整をするのが一番安心かと思います。

1週間に1回水やりの代わりに土にやってもいいですし、葉面散布でも利用できます。

※使用についてはあくまで自己責任の範囲でお願いします。

植物の様子を見ながらちょうどよい濃度や頻度を見つけられたらいいですね。

室内栽培しているポット植えの三つ葉と細ネギにこの二価鉄の希釈500倍液をやってみたら、その後目に見えて成長がよくなったように思います。

特に三つ葉は何度も収穫して株の勢いがなくなってきたのでポット植えだし、もうおしまいにしようと思い、新しく別のポットに種を蒔き直したのですが、またとても若々しい葉がもりもりと生えてきて、再び収穫できるようになりました。

手間も費用もあまりかからないので、以来、時々水やりの代わりに二価鉄液を薄めてやっています。

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二価鉄溶液の作り方④タンニン鉄

もう1つの鉄の成分が入った溶液、タンニン鉄の作り方です。

こちらも少量を短時間でできる方法を紹介します。

・水 500ml

・スチールウール 1個

・紅茶、お茶のティーバッグ2〜3個

材料はこれだけです。

コンロか電子レンジで用意したティーバッグを500mlの水でしっかり濃いめに煮出します。

耐熱容器にスチールウールを入れ、熱々のお茶をティーバッグごと注ぎ入れます。

お茶のタンニンとスチールウールの鉄が反応して、その瞬間から墨汁のように真っ黒な液体になります。

そのまま冷めるまで置いておき、一晩寝かせておいてからスチールウールを取り出せば完成です。

タンニン鉄は「現代農業」と言う農業雑誌でも紹介されています。

使うときはクエン酸の二価鉄液とは違い、原液から10倍程度までの希釈で使うのが一般的です。

あまりに真っ黒いので気持ちの上では100倍くらいに薄めたくなるくらい真っ黒い液体です。

タンニン鉄は長くおいておくと腐敗してくるので、作ったら2〜3日で使いきりましょう。

たくさん作る時は大きなタンクに水と鉄資材、茶葉やその他のタンニンを含むものを入れて1週間以上おいておくと黒くなります。

少量なら熱々のお茶を使うことで、タンニンと鉄が結合する時間を短縮することができ、瞬間的に真っ黒なタンニン液ができ、冷めればすぐに使えます。

500mlを10倍にすれば5Lになります。

鉄が酸素ではなくタンニンと結びつくことで出来上がる黒い液体です。

余談ですが、南部鉄瓶が錆びた時、茶葉を入れてぐつぐつ煮込んで手入れするのですが、赤錆とお茶のタンニンが結びついてタンニン鉄になるので、錆を落ち着かせることができます。

 

参考:

タンニン素材と鉄のよもやま話(『現代農業』2020年10月号)

 

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鉄鍋や鉄フライパンで人が鉄分補給できる理由、二価鉄の話

さて、冒頭でも紹介したなぜ料理の時に鉄鍋を使うと鉄分補給ができるのかと言うお話です。

人間にとっても鉄分は非常に重要なミネラルで、鉄分が不足すると貧血になりますが、貧血って眩暈でクラっと来るだけではないんですよね。

抑うつ状態で気持ちが塞ぎやすくなったり、疲れやすい、爪が割れやすくなる、髪の毛が細くなったり抜けやすくなる、など血液が行き届かないことでさまざまな不調につながります。

それで鉄分を補給するにはどうしたらいいか、と言う話になるのですが、ひじきやレバー、大豆などの鉄分豊富な食品はあれど、食べ物、特にレバーには好き嫌いがありますし、食品で1日に必要な鉄分量を取るのは案外簡単ではないのです。

そこで鉄鍋や鉄フライパン、鉄瓶が登場するわけです。

鉄は酸により二価鉄が溶け出すことがわかっています。

それを利用して今回はクエン酸を使った二価鉄液の作り方を紹介しました。

鉄鍋で料理する時、酸性の食材や調味料を使うことで鉄が二価鉄の状態で溶け出します。

酢はもちろんのこと、醤油も味噌もケチャップもマヨネーズも、酸性です。

トマトは完熟した生のものでph4.6程度、缶詰になると保存のためにph調整剤としてクエン酸が加えられておりphはもう少し低くなります。

熱を加えることで反応は促進されますので、二価鉄液を作る時と同じように、料理をするときに鉄鍋を使い酸性の調味料を加えると、加熱調理時間が長くなるにつれてより多くの吸収されやすい二価鉄が料理の中に溶け出します。

このことは以前別記事でも紹介しているのですが、二価鉄溶液を自分で作ってみると実際に鉄鍋を使った料理で人間にとって吸収されやすい二価鉄が溶け出すことをより実感できますので、改めて紹介しました。

以下の資料では、料理に酢を使うと鉄分の溶出量は他の調味料よりずっと多く、また溶け出した鉄分のうち二価鉄の割合が90%以上を占め、しかも安定していることまで紹介されています。

酢豚とか酸辣湯、トマトソースやトマト缶入りのシチューやスープとか、鉄分補給に鉄鍋で作りたいところです。

1点だけ注意点があるとしたら、鉄鍋で酸度の高いものを調理すると、鉄鍋は錆が出やすくなる、ということでしょうか。

調理を終えたら食材をすぐに器に取って、鉄鍋をすぐに洗い、その後の手入れを丁寧にすることをおすすめします。

ちなみに鉄瓶は残念ながらお湯を沸かすだけなので、普通に湯を沸かす程度では二価鉄の溶出はゼロではないですが、量的には少ない数値の実験結果も紹介されています。

昔のように鉄瓶を囲炉裏で水を継ぎ足しながら置いておくような使い方は理にかなっていたのかもしれません。

 

調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化

 

最初は鉄分補給のために鉄瓶を入手したので、この実験結果はちょっと残念ではありましたが、鉄瓶には伝統工芸品としての美しさがあることに加え、鉄瓶でお湯を沸かすととてもお湯が柔らかくなり白湯として飲んでもまろやかでとても美味しくて、すっかり鉄瓶を手放せなくなっています。

 

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