唐辛子の育て方を紹介します。
唐辛子は室内の鉢植えなら冬でも栽培できます。
もちろんベランダなどでの唐辛子栽培も簡単にできます。
日本では唐辛子はそのものをもりもり食べる野菜ではありませんが、食卓になくてはならない香辛料です。
以前ダメモトでハバネロという唐辛子を秋に種まきして室内で鉢植えで育ててみたところ、もりもりとよく育ってしっかり実がなり収穫もできました。
唐辛子はそのくらい丈夫で栽培は簡単にできますので、唐辛子の育て方を種まきから冬越しまで紹介します。
目次
唐辛子とは
唐辛子は辛味が強いものから、比較的マイルドなもの、辛くないものまで種類も様々。
実の色が美しいので観賞用の唐辛子もあります。
唐辛子はナス科の植物で、広く捉えると辛味のないピーマン、パプリカ、伏見甘長唐辛子、ししとうなども唐辛子の仲間です。
辛味のある唐辛子の中でもいわゆる赤唐辛子は当たり前に私たちの身近にある唐辛子です。
「鷹の爪」は赤唐辛子の総称のように使われることもありますが、唐辛子の中の一つの種類です。
青唐辛子は赤唐辛子が赤くなる前の未熟な果実を収穫したもの。
赤唐辛子とは違う爽やかな香りが特徴です。
そのほか、激辛ブームに乗って、ハラペーニョやハバネロ、ブートジョロキアといったとても辛い種類の唐辛子もよく知られています。
品種改良で世界一辛い唐辛子の座はここ数年でどんどん入れ替わっています。
唐辛子の辛さを比較するときはスコヴィル値で比較します。
このスコヴィル値はカプサイシンの含有量を示す値になります。
唐辛子の辛味は舌の痛覚によって感じられます。
痛みを味として捉えているところはちょっと面白いですね。
唐辛子の育て方①唐辛子の室内栽培と冬越し
唐辛子栽培は室内でも可能、また温度があれば冬でも栽培可能です。
日本の気候では冬の屋外では栽培は難しいですが、唐辛子を鉢植えにして室内の暖かい場所で栽培すれば意外とよく育ちます。
真冬に発芽させるのはなかなか大変だと思いますので秋のうちに種をまいて、暖かい室内の窓辺で日光を当てて鉢植えで育てていると、どんどん大きくなり、冬でも唐辛子の実を収穫することができます。
ハバネロの説明のところでも触れていますが、実際にダメもとで秋に種まきして、冬の室内栽培でハバネロを収穫したことがあります。
小さな卵の殻のようなポットにハーブを植えるミニ栽培セットのハバネロの種をまいて、室内の窓辺に置いておきました。
順調に大きくなるので、少しずつ鉢増ししながらなるべく陽のあたる窓辺で水を切らさないように育てたら、最初はヒョロヒョロの苗が、ある時期からどんどん大きくなりました。
ハバネロの苗を2〜3回鉢増しして最終的に8号鉢で室内の窓辺で日光を当てて育てました。
春の早い時期には実もしっかり収穫。
唐辛子栽培が室内でもここまで簡単にうまくできることに正直驚きました。
唐辛子の苗はあまり小さいよりも、少し大きくなってからの方が低温に対して強さが出てくる性質も関係あったのかもしれません。
秋、まだ気温があるうちに室内で唐辛子栽培を開始することで唐辛子の苗がある程度育ち、冬を迎える頃には室内の気温ほどなら問題なく過ごせるくらい耐寒性を持ったのだと思います。
唐辛子やピーマンなどは、屋外で栽培する際も春に苗を植え付ける時、最初はビニールで囲いをしたりして保温します。
ですから冬場に唐辛子栽培を室内でする場合も温度が重要です。
春から育てている唐辛子の株を冬になる前に室内に取り込み温度を確保すれば、そのまま引き続き収穫を続けることもできます。
唐辛子の育て方②唐辛子の室内栽培、用土の注意点
唐辛子は温度が十分暖かくなってからなら栽培が容易です。
ピーマンやししとうの栽培と同じ時期にタネをまいて育てれば、よく育ちます。
有機質がたっぷりの土壌の方が向いていますので、屋外の場合は苗を定植するときに腐葉土や堆肥をたっぷり用土に混ぜ込みましょう。
唐辛子を室内栽培する場合は、屋外と同じような有機質たっぷりの土だとカビが生えたり、虫がつきやすいので、有機質の量を少し控えめにして、水はけ、通気性を確保します。
有機質が少ない分は、水やりの時に液肥を与えるなどして補います。
唐辛子の仲間のししとうは養分が足りなかったり水切れしたりストレスがかかると苦味が強くなり、辛い実が多くなると言われています。
唐辛子の実はししとうより小さいですが、ししとうと同様に木がどんどん大きくなり1本でたくさんの実をつけますので、水切れ、肥料切れを起こさないように屋外なら元肥、追肥を必要な分だけしっかり与えます。
また室内で唐辛子を栽培する場合は、上記の理由で有機質を控えめにして、液肥や、IB化成など室内でも利用しやすい肥料を使って育てるのがおすすめです。
唐辛子の育て方③唐辛子は室内でポットに種まき
唐辛子は春、早めに苗を準備しようと思ったら室内ポットまきで苗を育てた方が暖かい環境を維持できるのでおすすめです。
5月ごろ苗を定植するのなら3月中旬ごろまでに種をまきます。
ポットに3〜5粒の種をまき、5mmほど土をかけます。
発芽適温は25〜30℃とかなり温度を必要とします。
温度が十分にあれば1週間程度で発芽します。
種は最初は買ってもいいですし、前年に自然乾燥させた唐辛子が手に入るならその種をまいてもよく発芽します。
写真の芽は、昨年収穫して干してあった唐辛子をおすそ分けでいただいたものを料理に使うときに種を取ってポットにまいたものです。
4月に種をまいて10日ほどの状態です。
唐辛子の育て方④間引き
そのまま室内に置いて本葉1〜2枚になったら1つのポットに1本ずつ、ポットに植えて育苗します。
実を収穫するために1本育てる他に、もう1本、柔らかい葉唐辛子を取るために予備の株を育ててもよいでしょう。
唐辛子の育て方⑤唐辛子の定植
唐辛子の苗の高さが15cm程度になったら定植します。
1株なら6〜8号鉢、2株育てるなら65cmプランター(できれば深型)に植え付けます。
用土は屋外なら有機質を多くしたいので赤玉6、腐葉土や堆肥4の割合で混ぜたものを苦土石灰で酸度調整してから元肥をしっかり混ぜ込み、苗を植え付けます。
室内の場合は有機質の割合を2割程度に減らします。
腐葉土の変わりにココピートを使うのも通気性がよくおすすめです。
唐辛子は過湿は嫌いますが乾燥もよくありませんので、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
地植えにする場合は20cmほど畝上げをして、株間50cmほどで植え付けます。
定植後は十分に温度を確保する必要があるため、地植えなら気温が上がる5月になってから以降がおすすめです。
地植えの場合は乾燥を防ぎ地温をあげる効果もある黒ビニールマルチをかけたり、支柱を立ててぐるりと苗をビニールで囲って保温するのもよいよいでしょう。
唐辛子の育て方⑥剪定
唐辛子の栽培で剪定はほとんど必要ないのですが、最初だけ、定植後1番最初に花が咲いたらよい枝を3本ほど残して支柱を立て、他の脇芽は摘み取ります。
花より下の位置からもどんどん脇芽が出るのですが、これらは全て摘み取ります。
唐辛子を室内栽培する場合は、なるべく風通しがよくなるよう、混み合ったところは枝を間引くようにします。
唐辛子の育て方⑦追肥
唐辛子の定植後、株が成長し始めたら2〜3週間に1回を目安に有機質肥料を追肥します。
1週間に1回は水やりの代わりに液肥を与えるのもよいです。
唐辛子の仲間は肥料をよく吸収しますので、肥料切れしないように追肥を定期的にします。
唐辛子の育て方⑧病害虫
唐辛子の新芽にアブラムシなどがついたら、早めに駆除します。
アブラムシはウイルスを媒介して他の病気を引き起こす可能性があるのと、繁殖力が強くあっという間に増えてしまうので見つけたらすぐに駆除しましょう。
粘着くんやアーリーセーフなど食品由来の成分で物理的にアブラムシの呼吸を阻害する殺虫剤や牛乳スプレーがおすすめです。
適量であれば農薬を使うことに抵抗がない方は植え付け時に浸透移行性の農薬を利用して最初にしっかり予防に努めるのも一つの方法です。
唐辛子の育て方⑨収穫
葉唐辛子は2〜3cmの実がつき始めたら株ごと引き抜いて収穫します。
実が入ることで料理に辛味が出ますので、実を取って葉だけを利用するか、辛味の強いものがよければたくさん実がついてから収穫するなど、好みで収穫時期を調節できます。
利用するときは株から葉をしごきとるようにすると柔らかい茎先は茎ごととれると思います。
花も実も茎も、利用することができます。
青唐辛子は緑色が明るく鮮やかで新鮮なうちに収穫します。
赤く熟す前には緑色が濃くなってきます。
赤唐辛子は実が赤くなり始めたら最初は一つづつ摘み取って使いますが、全体が赤くなったら株ごと引き抜いて収穫します。扱いやすい大きさに枝をカットして、風通しのよい場所に吊るすなどして乾燥させます。
赤唐辛子はしっかり乾燥させないとカビが生えますのでしっかり乾燥させるようにします。
実だけを一つずつ収穫するときは枝が折れやすいのでハサミを使います。
また実をたくさん触るときは軍手やビニール手袋をして唐辛子の成分が直接手に付着しないように気をつけましょう。
唐辛子の種類①赤唐辛子
さて、ここからは唐辛子の種類について紹介します。
唐辛子は世界中で食べられれていてたくさんの種類があります。
まずは日本でもよく知られていて料理に利用されている赤唐辛子を紹介します。
辛味を加えるために料理に用いられる他、防腐効果のためにぬかみそに入れます。また米びつに一緒に入れておくことで防虫になります。
一味唐辛子や七味唐辛子、熱したごま油に唐辛子をつけたラー油やイタリア料理ではオリーブオイルに赤唐辛子を漬け込んだ辛いオイルをピザに廻しかけたりします。
生でも使えますが多く使われるのは収穫して乾燥したもので、乾燥した唐辛子は1年中利用します。
日本の赤唐辛子のスコヴィル値は4万程度と言われています。
唐辛子の種類②青唐辛子
赤唐辛子と同じ唐辛子を未熟なうちに摘み取ったものです。
爽やかな香りと辛味が特徴で、青ゆずの皮と作られる柚子胡椒や、刻んで醤油に漬け込んだ調味料が料理に爽やかな辛味と香味を与えてくれます。
甘味噌に練りこんだ唐辛子味噌もとても美味しい季節の味です。
青唐辛子は乾燥ではなく生のものを使います。
赤唐辛子になる前のごく短い期間、お店に出回ります。
唐辛子の種類③葉唐辛子
唐辛子の木のやわらかい葉の部分を利用します。
青唐辛子が出始めのころにお店で見かけることもありますが流通量は多くありません。
佃煮にしたり、青唐辛子と一緒に甘味噌に練りこんだりします。
葉唐辛子には辛味はなく、ほんのりとした苦味と爽やかな香りを味わいます。
唐辛子の種類④島とうがらし
沖縄で栽培されている2〜3cmの小さな唐辛子です。
島とうがらしを泡盛に漬け込んだものをコーレーグスと呼んで、沖縄では料理の調味料として使います。
とても風味がよく、ソーキそばやゴーヤチャンプルーなどに加えるとその辛味と島とうがらし、泡盛が熟成した香りがなんとも言えず素晴らしいです。
コーレーグスは沖縄の土産物店や、そのほかの地域でも沖縄食材を売るお店で入手できます。
島唐辛子の実が手に入るようなら自分で小瓶に島唐辛子を入れて、泡盛を注いで何日か置けばコーレーグスの出来上がりです。
シンプルだけど、とても料理が美味しくなる調味料ですのでおすすめです。
唐辛子の種類⑤ハラペーニョ
日本の一般的な唐辛子よりもスコヴィル値は低く、3500〜1万と言われています。
よく見るのは酢漬けにした瓶詰めのもので、これを輪切りにしてメキシコ料理やホットドッグなどのトッピングにしたり、ピザに載せたりします。
またみじん切りにしたものはフレッシュトマトや玉ねぎのみじんぎりと混ぜ込んでサルサに利用されます。
日本でも瓶詰めのハラペーニョは比較的入手しやすく、辛味も比較的マイルドなので食べやすい唐辛子です。
唐辛子の種類⑥ハバネロ
3〜4cmの大きさのコロンとした唐辛子です。
スコヴィル値は30万で、以前は世界一辛い唐辛子として紹介されていましたが今ではその記録はどんどん塗り替えられています。
以前育てたハバネロは黄色からオレンジ色に熟して赤くはならない品種でした。
ハバネロは日本でも育てやすい品種のようで室内栽培なら越冬可能です。
実際秋にタネをまいて鉢植えで少しずつ鉢を大きくしながら、窓辺で日光に当てながら育てたら、年が明けた頃にはワサワサに大きくなって、ハバネロの実をしっかり収穫できました。
そこまで辛いものを食べたいとは思えなかったので、食べませんでしたが(笑)
唐辛子の辛さと香りは個人的に好きなのですが、日本の唐辛子でも十分に辛いので、それより辛いハバネロやブートジョロキアは、今のところ食べるのを辞退しています。
興味本位で激辛の品種を食べてお腹が痛くなったり、消化器系の粘膜を痛めたり、唐辛子を触った手で顔や目など肌のデリケートな部分に触れると危険ですからくれぐれも用心してください。
唐辛子栽培のまとめ
唐辛子はナス科なので連作は避ける必要があります。
トマトやナス、ピーマンもナス科ですのでよく年の唐辛子栽培には使わずに、他の作物を育てましょう。
九州の柚子胡椒はとても美味しい調味料ですが、青柚子胡椒だけでなく、九州では赤唐辛子の生のもので作った赤い柚子胡椒も見かけます。
個人的には青柚子胡椒が好きでよく利用します。
生の青唐辛子(赤もOK)を醤油とお酒を合わせたものに漬け込んだ調味料は、冷たい豆腐にかけて頂いたりすると夏場に食欲をそそります。
1本育てるとたくさん収穫できるので、乾燥した赤唐辛子があればよい、という場合はよほど大量に使うことがなければ、1年おきに1本育てるだけでも十分事足りると思います。
生の青唐辛子や葉唐辛子を味わいたい方は毎年種をまいて育ててみてください。
苗もホームセンターなどで簡単に入手できますので種蒔きが面倒なら、苗を定植するところから唐辛子栽培を気軽に楽しむことができます。