ラズベリーのおすすめ品種、一季なり、二季なり、トゲなしのラズベリーやラズベリーの耐暑性について紹介します。
ラズベリーは鮮やかな赤色で酸味がしっかりあるベリーでラズベリージャムや、ラズベリーを使ったケーキが人気です。
ラズベリーの果肉は柔らかく日持ちしないためフレッシュのラズベリーは日本では流通量が少なく、生のラズベリーを食べたいと思ったら自分で育ててみるのも1つの選択肢かもしれません。
ラズベリー は鉢植えでも簡単に育てることができ、苗の状態にもよりますが、大抵は植えた翌年から少しずつ収穫出来ますので、家庭菜園で楽しむのに向いています。
目次
ラズベリーについて
ラズベリーは木苺のことで、その名の通り苺と同じバラ科の植物で、草丈は1.5〜2m程になります。
冷涼な気候を好むため、日本の夏の暑さと湿度にはやや弱い側面があります。
またラズベリーの多くの品種はその茎に細かいトゲがあります。
ラズベリーには春から夏にかけて前年枝に実がなる一季なりと、春から夏に前年枝、秋にその年に伸びた枝に実がなる二季なりの品種があります。
この1年目の枝と前年枝(2年目の枝)をどのように育てて収穫するかについてはいくつか選択肢があるのでラズベリーの育て方について紹介している別記事をご覧ください。
記事の最後に別記事のリンクを貼っておきます。
ラズベリーのおすすめ品種①インディアンサマー
古くからある品種ですが未だに定番品種として日本では価格も安く、一番手に入りやすいラズベリーです。
トゲのある二季なり品種ですが、丈夫で育てやすいのが一番です。
ホームセンターなどでラズベリー、としか表記がないものはほとんどと言っていいほどインディアンサマーである可能性が高いです。
大粒の品種ではありませんが、とにかく樹勢が強く、丈夫で安定して実がなるので初めてラズベリーを育てる人にはおすすめかと思います。
受粉の状況によって果実の形がいびつになることがあるのが欠点といえば欠点かもしれませんが、丈夫でよく実がなることの長所の方が上回ります。
ラズベリー、インディアンサマーは耐暑性もかなりあるので、暑くても成長を続けますし、気温の高い時期にかなりハダニ類がついてしまってからでも、気づいて手入れをすれば枯れずに、夏場に脇芽も出てくるくらい強いです。
ラズベリーのおすすめ品種②サマーフェスティバル
ラズベリーのサマーフェスティバルもインディアンサマーに次ぐトゲあり二季なりの定番品種です。
インディアンサマーほどの強い勢いはなく、トゲも比較すると控えめではあります。
サマーフェスティバルも古くからある二季なりラズベリーで育てやすい定番品種です。
インディアンサマーよりも茎は少し細めで、優しい草姿です。
ラズベリーのおすすめ品種③イエローラズベリー 、ファールゴールド
ラズベリーの中には黄色い実がなる品種がいくつかあります。
その1つのファールゴールドも古くからあり、よく実がなる品種として入手しやすいラズベリーです。
赤実のラズベリーと比べると黄色いラズベリーの実の味はややマイルドです。
他にも黄色味のラズベリーの品種はいくつかあり、○○ゴールド、○○イエローというように黄色を意味する”ゴールド”とか”イエロー”が品種名についているものが多いです。
ここまでは入手しやすく安定感のある定番の品種を紹介しましたが、この後は、優れた特徴を持っていると思われるラズベリーのおすすめ品種をいくつか紹介していきます。
ラズベリーのおすすめ品種④スタンザ
ラズベリー、スタンザはタキイ種苗で販売されているラズベリーです。
スタンザはラズベリーの正式な品種名ではなくタキイ種苗の商品名のようで、ラズベリーとしての品種名が調べてもよくわかりません。
二季なりを超えて、春から秋まで休みなく実がなる品種、という説明とともに販売されています。
ある年の秋に苗を購入して育ててみましたが、草勢もある印象で、翌春5月から6月にかけてよく実がなりました。
トゲがあるラズベリーですが、そのトゲはインディアンサマーほど強くはありません。
初めて育てたラズベリーだったこともあり、残念ながら夏の暑さと長雨の高湿度で枯らしてしまいました。
あまり対暑性が高くないラズベリー品種なのかもしれませんが、春によく実がついて、種もあまり気にならず、個人的には味も美味しい品種だと思いましたので、暑さ対策をしっかりして、もう一度育ててみたいと思う品種です。
ラズベリーのおすすめ品種⑤Joan Squire(ジョン・スクワイア)
ラズベリー、Joan Squire(発音はジョン・スクワイア、あるいはジョーン・スクワイアになるでしょうか)はトゲなし、二季なりのラズベリーです。
完全にトゲがないラズベリーで二季なり、というラズベリー品種はあまりなく、とても魅力的なラズベリーです。
日本ではタキイ種苗が「ジョン・スクエア」という商品名で販売しているものがどうやらこの Joan Squire と同じ品種、あるいは Joan Squire から選抜した品種?として入手できるようですが、苗が非常に高価です。
Joan Squire自体は海外では他のラズベリーと変わらず、ごく安価に入手できる品種です。
Joan Squireは耐暑性がどちらかというと低い、というより暑さには弱いラズベリー品種なので、夏場は直射日光に当てず、できる限り涼しい場所で管理します。
茎は細め、葉も薄く繊細な感じの草姿で栽培には支柱が必要ですが、トゲがないので手入れも楽で、とても美味しいラズベリー品種です。
Balcofarmで育て始めて1年目は小さな苗が暑さに耐えられず枯れてしまうのではないかと、かなり日々の管理に気を使いました。
1年目は幼苗のせいか、ハダニやスリップスも油断するとあっという間についてしまい、元気な葉を少しでも多く維持するのが大変でした。
日本の気候で育てるには関東以西だと暑さ対策をかなりしっかりしないと難しいのではないかと思います。
茎が細いので支柱を立てて誘引するのに直立性の品種より少し手がかかります。
ただし棘がないので、ストレスなく枝に触ることができるのがよいです。
2枚のラズベリーの実の写真はなんとか夏越し後、翌春からはもりもりと育って、本格的に収穫できるようになった晩秋の結実と、収穫後の写真です。
秋遅くのラズベリーは夏よりも味はソフトですが、色味の赤が深く、高温で実が萎んでしまうこともないので、安心してじっくり熟していくのを待つことができます。
二季なりラズベリーと言っても日本では夏の暑さでダメージを受けると、秋果を期待するのは難しいかもしれない、と思っていましたが、無事夏越しして秋に結実、収穫ができました。
この年は、春に1回目の収穫。夏に2回目、晩秋に3回目の結実がありました。
うまく育ってくれれば完全にトゲがないラズベリー は扱いが楽ですし、ラズベリーの果肉は少しとろみがあり、種が小さいので食感もよく、味も美味しいです。
二季なりラズベリー品種なのですが、かなり長く収穫が続いているので、大変魅力的なおすすめ品種です。
ただし耐暑性は明らかに弱い品種で、関東以西の夏越しはなかなか条件が厳しい品種です。
夏は遮光して、7月以降は暑さが落ち着くまで、実がなっていても摘み取るか思い切って切り戻して株の養生に勤めた方がよいと思います。
北関東以北の涼しい地域ならもっと育てやすいと思いますので、涼しい地域の方には特におすすめしたい品種です。
ラズベリーのおすすめ品種⑥Cascade Delight(カスケード・デライト)/WSU 1090
一季なりで、かなり大粒の実がなる品種のラズベリーです。
アメリカのパテントのデータベースの情報によると最大果が8.4g、シーズンの平均で5gほどの実がなったことが記載されています。
夏から秋遅くまで実がなる収穫期の長い品種で、根腐れ病にも抵抗性があります。
ラズベリーは日本では夏の高温多湿で根腐れしやすいので、根腐れに抵抗性があるのは大きな魅力です。
果肉もラズベリーとしては硬さがあり、日持ちがよい点も長所です。
小さなトゲがありますが、成長とともに目立たなくなる品種と紹介されています。
実際に入手した苗を見てみたところ確かにその年に伸びた枝には棘がありますが、2年目の枝になるとだいぶ棘が目立たなくなっています。
その後の成長過程を見ていますが、1年目の枝はやはりしっかりトゲがあります。
次の春に出る側枝のトゲは確かにプリモケーン(1年目の枝)よりも控えめです。
耐暑性は割とあるようで、夏場でも直射日光を避けていたら成長を続けていました。
ラズベリーは涼しい地域の植物ですので、昨今の暑い夏をやり過ごすために耐暑性があるかどうかは重要なポイントです。
この後に紹介するチュラミーンと収穫期が同じ時期ですが、情報を見る限りではチュラミーンよりもカスケード・デライトの方が大きなラズベリーがなるようです。
上の写真のラズベリーの実はここで育てているカスケード・デライトに初めてなった実です。
まだ本領発揮とはなっていないと思いますが、大きい実がなる風情はしっかりあります。
花後に実がなり始めてからここまで膨らみ始めるまでがだいぶゆっくり目だと思ってみています。
2014年の春は天候が今ひとつなこともあり、ラズベリー全般、あまり成長がよくない中で、割としっかり成長してくれている感じです。
ラズベリーのおすすめ品種⑦Tulameen(チュラミーン)
一季なりでほぼトゲなしのラズベリー品種、海外では営利栽培などでもかなり普及している標準品種と言ってもよいラズベリーです。
収穫量も多く実が大きく香りもよい、美味しいラズベリーの実がなります。
夏の間の1ヶ月くらいが収穫期間になります。
鉢植えやコンテナでの栽培にも向いている育てやすいラズベリーとして評価が高いです。
日本では入手しにくい品種です。
ラズベリーのおすすめ品種⑧グレン・アンプル
こちらは完全トゲなし、一季なりのラズベリーです。
グレン・シリーズのラズベリーはたくさんの品種がありますが、グレン・アンプルはその中でも最高峰の部類の品種です。
葉にやや厚みがあり、樹勢もしっかり目です。
暑さに強い品種で、実際、ここでの夏もあまり気を使わず元気に夏越しできましたので日本の暑さについてもあまり気にしなくてよいようです。
夏場、あまり直射日光が当たらないようにベランダの軒下で育てていましたが、7月、8月に熱風が吹いてもグレン・アンプルは新葉がしっかり展開して成長を続けていました。
夏の暑さに弱い、対処性が弱いラズベリー品種とは非常に対照的で頼もしい品種です。
一季なりで収穫は初夏の間の1ヶ月程度なのですが、ラズベリーの実も大きく甘味もあり美味しい品種です。
アメリカのパテントデーターベースの情報によると果実の大きさは通常4g程度で、6gくらいのものもよく見られるようです。
ここでも果実サイズは安定してしっかりしたサイズのものが収穫できています。
完全トゲなし、直立性で草姿も乱れにくくお手入れもストレスがない、そして暑さにも耐えられる、病気にも強いといいことずくめの品種です。
トゲなしラズベリーという点でも、初めてラズベリーを育てる人には特にお勧めできる、育てやすいラズベリーだと思います。
またラズベリー、グレンアンプルは日本でも比較的入手しやすい品種です。
上の写真は小さな苗を育て始めて翌年の初めて実がなった時の写真です。
大きいもので17〜18mm程度の大きさのラズベリーでした。
こちらはその翌年のものです。
木が大きく成長して、ラズベリーの実、大きいもので長さが25mm程度の実がなっています。
完熟してから収穫して重さを測ってみたらこの年の最大果は 6g のものが何個かありました。
前年のサイズでも十分満足感があったのですが、これは木になっている姿を見るだけで迫力があります。
その他の平均的なサイズのもので 4〜5g 程度といったところでした。
ベランダであまり日照条件がよくないですし鉢植えですが、それでもパテントの情報通りのサイズの実が収穫できるので、品種としての信頼性があります。
日当たりと風通しをよく育てれば、多少ハダニがついても一気に広がる感じもありませんし、収穫量も一季なりとしては多い品種とのことなので、総合的に見て日本で入手できるラズベリーとしては一番おすすめの品種かもしれません。
ラズベリーのおすすめ品種⑨グレン・ディー
グレンシリーズの完全トゲなし一季なり品種のラズベリーです。
グレン・ディーはグレン・アンプルよりも後に開発された最近の新しい品種で、グレン・アンプルよりも収量が多く、アメリカのパテントのデータベース情報によると、果実の直径25mm、長さが27mm、平均果重が5.8gとなっています。
これは数値だけ見るとカスケード・デライトよりも大きいです。
気候や栽培技術の違いもありますのでなかなかカタログ通りにはいかないとしても、同じシリーズであるグレン・アンプルよりも大きな実がなるラズベリー品種であると思ってよさそうですね。
グレン・アンプル同様直立性で支柱を必要とせず、病害虫への耐性も高い丈夫な品種です。
日本では入手しづらい品種です。
ラズベリーのおすすめ品種⑩ポルカ
ラズベリー、ポルカはポーランドの二季なりラズベリーです。
トゲあり二季なりで、とにかく丈夫な品種です。
品種の特徴を調べてみると実質トゲなし、という説明があります。
今のところ、1年目の新枝にはトゲがかなりあるのですが、その後に伸びる側枝、つまり結果枝のトゲは少なめで比較的穏やかなトゲです。
欧州の情報だと秋果の方が収量が多い品種として紹介されています。
日本だと春も早くから暖かいのでどうも「1年目のプリモケーンに秋になってラズベリーの実がなり、そのまま年を越して前年枝となったその枝(フロリケーン)に春から夏にラズベリーがなる、というサイクルは全く当てはまっていないようです。
上の写真は初めて前年枝に実ったラズベリー、夏果の写真です。
甘味がしっかり感じられ、香りもよくて美味しかったです。
そしてこの写真は春から伸びてきた新枝、プリモケーンについたラズベリー。
本来なら秋果となるのでしょうが、7月の終わりの猛暑の時期に実がなっています。
この暑さの中でもしっかり実が膨らんできていますし、葉も青々として元気です。
こちらはプリモケーンに夏以降に脇枝がでて10月に熟したラズベリーポルカの秋果です。
本来ならフロリケーンと呼ばれるはずの枝に年を越さずに年内についたラズベリーの実です。
日本の春が暖かいせいかこのまま二季なりが1年で完結してしまうような気がします。
側枝はたくさん出て次々に赤くて甘いラズベリーの実がなっています。
これは12月に熟したラズベリー、ポルカの実です。
10月以降、次々にラズベリーの実が熟しています。
この後この主幹であるプリモケーンや側枝は冬に枯れるのか、それとも来年もフロリケーンとして2年目のラズベリーが実るのか、様子を見てみたいと思います。
いずれにせよラズベリー、ポルカは夏の間も成長を続け、強健で暑さにも耐える、心強い品種です。
ラズベリー、ポルカは甘くて果肉の食感もなめらかで美味しく、二季なり、豊産、トゲはあっても比較的穏やか、かつ暑さに強いです。
またラズベリー、ポルカは少し早採りしてもしっかり甘味を感じられるところも優れています。
ジョン・スクワイアほど栽培に気を使わなくてもよく、味も非常によいのでここでの主力品種になりそうです。
ポルカは日本では入手しにくい品種です。
ラズベリーの品種はまだまだある
他にも魅力的なラズベリーの品種がまだまだたくさんあるので、今後も追記してければと思います。
ラズベリーは葉が薄いのであまり強い直射日光と強風は避けること、日本の夏の高温多湿は大敵であること、土が過湿になると根腐れしやすいことを注意しつつ育てるのがポイントかな、と思います。
ラズベリーの栽培説明に日当たりを好む、と書かれていたりしますが、夏の強い直射日光は葉焼けしますので様子を見て遮光したり、鉢植えなら半日陰や軒下の直射日光が当たらない場所に置くなど工夫が必要です。
ラズベリーの育て方については以下の記事で紹介しています。