月桂樹の育て方:挿し木の成功ポイントから剪定、鉢植え・地植えの注意点まで

 

月桂樹(ローリエ)の育て方や挿し木について、成功のポイントを紹介します。

月桂樹の挿し木は、他の植物と比べて時間がかかり、難易度が高い場合があります。

月桂樹は地中海沿岸原産のクスノキ科の高木です。生育は旺盛で枝葉が過密に茂りやすい特性を持っています。

料理に使用される月桂樹の葉は、ローリエやベイリーフとして知られ、洋風のシチューやスープなどには欠かせない香辛料です。

観賞用としても人気の月桂樹の鉢植えは、シンボルツリーや料理に必要な素材として広く愛されています。

この記事では、月桂樹の挿し木の難しさについて解説し、成功率を高めるためのポイントをご紹介します。

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目次

月桂樹(ローリエ)について

月桂樹(ローリエ、ベイリーフ)は日本ではお酒の銘柄にもなっている月桂冠という言葉でも知られるように、古代ギリシャ時代から優秀な者に送られる冠に若い枝が使われていましt。

月桂樹には薬効があり葉と実はそれぞれ月桂葉(げっけいよう)、月桂実(げっけいじつ)という生薬名を持ちます。

実は食用にすることはなく、乾燥させた実を薬用にしたり、実から取れるオイルを化粧品などに利用します。

月桂樹の葉は生薬として煎じて用いられ、消化促進やリウマチ、神経痛などによいとされてきました。

月桂樹は雌雄異株のため雌株にしか実はなりません。

日本では雄株に比べて雌株は少ないため、あまり月桂樹の実を目にすることはないかもしれません。

そのため月桂樹は挿し木で増やすのが一般的です。

月桂樹を育てるなら最初は苗木や鉢植えを購入するのがおすすめで、その後増やしたい時に挿し木で増やします。

雄花、雌花共に5月ごろに黄色がかった白い花を咲かせます。

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月桂樹の育て方①挿し木と鉢植え、どちらを育てるか

 

月桂樹は育て方も簡単で丈夫である程度大きくなると生育旺盛でどんどん木が大きくなるのですが、月桂樹を挿し木で増やす時や、月桂樹がまだ小さな苗のうちは成長に時間がかかるので、いくつか注意が必要です。

ですから、月桂樹を育てるなら最初は苗や鉢植えを買うのがおすすめです。

月桂樹の挿し木は他の植物の挿し木に比べて、発根に時間がかかることもあり、なかなか難しく根気が必要です。

すぐに月桂樹の葉をとって料理に使いたい、という場合には挿し木では間に合いません。

また、月桂樹の雌株が日本には少ないこともあり月桂樹の種はあまり入手しやすいものではありませんので、園芸店などで小苗や鉢植えを買って育てるのが一番のおすすめになります。

急がない、のんびり成長を楽しみたい、という方は挿し木から試してみてください。

少し時間がかかりますが、7月から8月が月桂樹の挿し木の適期になります。

月桂樹は剪定枝がたくさん出るので、育てている人から枝を譲ってもらえるチャンスもあるので、挿し木を試してみること自体は簡単に出来ると思います。

小さな苗はホームセンターなどでも入手できます。

月桂樹は生育旺盛なだけに育てる際の注意点がありますのでそのポイントを紹介します。

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月桂樹の育て方②月桂樹の挿し木

 

月桂樹の挿し木は7月から8月にかけてが適期です。

剪定した月桂樹の枝を挿し木の用の挿し穂として利用するとよいでしょう。

上の写真のように明るい緑色の、伸び始めたばかりの柔らかい枝は挿し木には向きません。

月桂樹の挿し木の枝はある程度しっかりした太さのあるもので、完全に木質化する前の若い緑色の枝を選びます。

挿し穂は長さ15cmほどに調整します。

挿し穂を土に挿す側の切り口は斜めにカットして、挿し穂の下、半分から2/3の葉は取り除き、それでも残る大きな葉があれば葉の先半分をカットするなどして形を整えます。

月桂樹の葉は2〜3枚程度残して他は全てとります。

こうすることで挿し木用の挿し穂の水分の蒸散を抑えます。

月桂樹の挿し穂はコップの水にさして最低でも1時間以上吸水させてから赤玉土の小粒やバーミキュライトなどの清潔な土に挿して、乾かさないように風のない室内で管理します。

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月桂樹の育て方③月桂樹の挿し木に成功!

月桂樹の挿し木は発根するまでかなり時間がかかることもあり、難しいです。

上の写真左はようやく新芽がでた月桂樹の挿し木です。

右はまだ新芽が出ていませんが、脇芽が膨らんできたのでもう少しで新芽が出ると思います。

いずれも昨年の8月ごろに月桂樹の鉢植えの枝を剪定したときに挿し木したものです。

丸1年、とにかく我慢比べのようにひたすら待って、ようやく新芽が動き始めました。

ここですぐに植え替えはせず、まだしばらくはこのポットで育てます。

月桂樹は移植を嫌うので、まだ根が十分回っていない状態で植え替えると根鉢が崩れてしまい、せっかく芽が出た月桂樹の挿し穂が枯れてしまうか、枯れなくてもその後の成長が悪くなってしまいます。

ですので、もうしばらくこのままじっと我慢、月桂樹の挿し木の成功のコツはじっと待つこと、忍耐です。

ただこのあとは新芽の動きが目で確認できるので、気持ちの上でだいぶ違いますね。

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月桂樹の育て方④月桂樹の挿し木、発根促進剤について

ここで大切な注意すべきポイントがあります。

挿し木が難しいからと、発根促進剤を使う場合は、まず自分が月桂樹の挿し木を育てた後、料理に使いたいかを考えてください。

料理に使うつもりで月桂樹を挿し木する場合は、利用する発根促進剤が食用の植物に使えるものであることをしっかり確認してください。

発根促進剤のルートンはよく知られている薬剤ですが、食用植物には使わないように、とはっきり注意書きがあります。

果樹の挿し木にルートンを使って挿し木する説明をしている情報を数は少ないですがネット上で目にしたことがあります。

月桂樹の挿し木した苗をその後、料理に利用したい場合は食用になるものにも使える発根促進剤を利用してください。

よく知られていて手に入りやすく安価なものとしてはメネデールがおすすめです。

もうちょっとお値段は高いけど完全にナチュラルなものでできているHB-101、こちらは植物活力剤なのですが、挿し穂に水を吸わせる時に使うのがおすすめです。

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月桂樹の挿し木⑤月桂樹の挿し木、成功のポイント

月桂樹の挿し木を成功させるためには他にも守るべき注意点があります。

発根するまで土を乾かさないこと、そして挿し穂が土の中で動かない様にすることが重要です。

月桂樹の挿し木をしても新芽がなかなか育たず、半年から1年ほど、地上部に全く変化が見られないことがあります。

それで枯れてしまったのではないかと諦めてしまったり掘り返してしまうと月桂樹の挿し木はうまくいきません。

見た目に変化がなかったとしても翌年の春まではじっと我慢して動かさずに管理していると、春になって以降、ようやく月桂樹の挿し木の新芽が動き出します。

月桂樹の挿し木の枝の部分にシワが寄ってきたり、色が褐色になってきたら、それは月桂樹の挿し木が枯れてきた、つまり失敗、ということです。

月桂樹の挿し木の枝も葉も緑色で見た目が変わらない、ということは挿し木自体が生きている、ということですから下手に動かさずにじっと我慢して見守ります。

時間がかかっても枯れていない限りいつかは新芽が動き始めますので、十分に発根して根が回っていることが鉢底から見て確認できるようになったものを鉢上げします。

月桂樹は移植を嫌いますので鉢上げの際、根は丁寧に行います。

根が傷つくとその後の生育が悪くなりますので、月桂樹の鉢上げの際は根を痛めないよう丁寧に扱ってください。

鉢上げ後の新しい鉢土に根が伸びて新芽が育ち始めると、ようやく月桂樹本来の生育が始まりますので見た目にもはっきりとした月桂樹の成長が見て取れるようになります。

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月桂樹の育て方⑥地植えの注意点

月桂樹は生育が大変旺盛な樹木で高さは10m以上になります。

庭植えにする場合は大きくなるので植え場所のスペースを十分に取ることと、木が大きくなった時に影になる部分の影響についてもよく事前に考えて計画を練りましょう。

必要以上に大きくならないように、枝が込み合いすぎないように、剪定も必須です。

暑さと乾燥には強く寒さも−8℃くらいまでは耐えます。

また日当たりでよく育ちますが、半日陰や明るい日陰でも育てることができます。

月桂樹は、挿し木のところでも書きましたが移植を嫌います。

地植えの場合は一度植えたら簡単には動かせませんので、これらのことを考慮して植える場所を決めるようにします。

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月桂樹の育て方⑦鉢植えの注意点

月桂樹は木が充実してくると成長が早く上に上にと伸びるため、鉢が小さいと高さが出て倒れやすくなります。

根も鉢の中でどんどんいっぱいになるので、余裕を持ってやや大きめの鉢で育てることで後の管理が楽になります。

また根が回るのが早いので植え替えは定期的にしっかり行いましょう。

植え替えの方法についてはこの後紹介します。

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月桂樹の育て方⑧月桂樹の用土

月桂樹は水はけがよく有機質がしっかり含まれている土に植えます。

地植えの場合は腐葉土や堆肥をたっぷり土にすき込みます。

鉢植えの場合は赤玉6に腐葉土4を加え混ぜたものに元肥を加えて植え付けます。

鉢植えでもよく育って鉢の中で根がすぐにいっぱいになるので、苗の植え替つけをする時は一回り大きな鉢に苗木を植え替えるようにしましょう。

月桂樹は半日陰でも育ちますがなるべくなら日当たりのよい場所に鉢を置いて育てます。

乾燥には強いですが枝葉がよく茂りますので水は鉢土が乾いてきたらたっぶりとやりましょう。

春と秋には有機質の緩効性肥料 、固形の油粕などをやります。

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月桂樹の育て方⑨剪定の時期

月桂樹は春から夏にかけて新しい枝葉がどんどん出ます。

放任にしておくと茂りすぎるので2つの選定方法で樹形を整えていきます。

剪定の一番の適期は3月〜4月ですが真冬を除けばいつでも剪定することができます。

大きく樹形を整えるメインの剪定を3月〜4月に行って、その他の季節は伸びてくる不要な枝や伸びすぎる枝を随時剪定しましょう。

月桂樹の新枝は主に6月から8月に大きく伸びます。

この時期にびゅうっと上に強く伸びる枝は、どんどん上に伸びて樹勢が強すぎるために樹高が高くなります。

月桂樹の木の高さを出したくない、鉢植えなどコンパクトに育てたい場合はこういう強い枝は枝元から切って枝抜きします。

生育は旺盛ですので強い剪定をしても大丈夫です。

株元から生えてくるひこばえや、主幹の下の方から伸びる脇芽も付け根からカットして栄養がしっかり主幹の枝に届くようにしましょう。

鉢植えの場合、高さが出ると風で倒れやすくなるので小さな鉢で育てたい場合はしっかり高さを押さえてコンパクトに仕立てることをお勧めします。

大きく分けて2つの剪定方法がありますので目的に応じて使い分けて下さい。

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月桂樹の育て方⑩間引き剪定

 

月桂樹は枝葉がよく茂り放っておくと過密になるので、混み合ったところは枝を透かして風通しをよくします。

風通しをよくするために剪定するときは間引き剪定をします。

枝葉が混み合っているところの枝を選んで枝の付け根から切り落とします。

こうすることで以降はその枝ごとなくなり脇芽が増えてまた混み合ってくることもありません。

内向きの枝や他の枝と交差している枝、同じ向きに重なって伸びている枝のどちらか一方、枯れ枝、ひ弱な細枝などを間引き剪定します。

心配だったら初めは枝先の小枝から間引き剪定してみて下さい。

繰り返すうちにコツがつかめると思います。

先ほど紹介した強すぎる枝を枝元から抜くのもこの間引き剪定にあたります。

間引いた月桂樹の枝は、挿し木の挿し穂として使ったり、枝ごと乾燥させるか、一枚ずつ葉を枝から外して乾燥させて、ローリエとして利用できます。

その場合はある程度枝が成熟して、葉も硬さが出てから枝を切るとよいでしょう。

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月桂樹の育て方⑪切り戻し剪定

春には若くて勢いのある新梢がぐんぐん伸びてきます。

月桂樹は高木ですので地植えでは放っておくと軽く10m以上になります。

庭植えや鉢植えで高さをおさえてコンパクトに育てたいときは、上に長く真っ直ぐに伸びる強い枝を間引き剪定することは先ほど紹介しました。

逆にもう少し高い位置で葉をこんもりと茂らせたい、とか小枝が古くなって元気がないので、もうちょっと元気のある小枝を増やしたい、というような場合は、強く上に伸びる新梢を切り戻し剪定します。

月桂樹の新枝がある程度伸びて、枝がしっかりしてきたら、枝元から抜くのではなく、枝の途中で必要に応じて切りつめます。

上の写真、切り戻した月桂樹の枝の切り口の下から新しい脇芽がどんどん出てきているのが分かります。

この切り戻し剪定をする場合は、枝を切る位置が大切ですので以下の手順を参考にして下さい。

  • 切り詰める枝を決める
  • 切りつめたい高さのあたりで枝を伸ばしたい方向に付いている脇芽(通常は外芽)を探す
  • その脇芽の少し上で枝を切る

頂芽優勢で上にある芽の方からしっかりした芽が出ます。

それより下の内向きの芽は不要なら取ってしまえば新しい枝が外側に伸びるので樹形も綺麗に整い、内側が混み合いにくくなります。

切り戻し剪定は樹高と樹形を整えたいときに行います。

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月桂樹の育て方⑫月桂樹の植え替え

月桂樹は鉢植えで育てる場合、成長に応じて鉢のサイズを大きくするか、古い根土を定期的に整理して同じ大きさの鉢に土を足して植え替えをしながら育てます。

根鉢が回り過ぎると根が鉢がパンパンになって鉢から抜きにくくなりますので様子を見ながら早めに植え替えましょう。

月桂樹の育ち具合にもよりますが、10号鉢以上の大鉢の場合で2〜3年に1回、小さな鉢で育てている場合は1年に1回を目安に植え替えをするつもりで根の張り具合を見ていきます。

月桂樹は根を痛めるとその後の成長が悪くなりますので、丁寧に植え替えるようにします。

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月桂樹の育て方⑬月桂樹を好む害虫、カイガラムシ

月桂樹はカイガラムシ類がつきやすいので注意しましょう。

カイガラムシの出す分泌物で葉がベタベタに汚れ、すす病を発症しやすくなります。

白い粉がついたようなコナカイガラムシは色が白いのですぐにわかります。

ヒラタカタカイガラムシは月桂樹の葉や枝に薄く張り付く上に色が茶色くて、

よく見ないと特に枝についたものは見落としがちなので注意が必要です。

見つけたのが初期で数が少ないなら擦り落とすだけでも大丈夫です。

数が多い場合は擦り落とした後に、カイガラムシに効果のある薬剤をスプレーして、一度徹底的に駆除しておいた方がよいでしょう。

一度ついてしまうと駆除しても、すぐまたいつの間にか増えていたりする厄介な害虫です。

カイガラムシがついてしまった時はしばらくの間、数日に1回のペースで、根気よく月桂樹の苗についているカイガラムシを探して、その特に見つけられる全てのカイガラムシを物理的に取り除くことを繰り返していくことで、完全に駆除できることもあります。

ただし大きな木になってしまうととてもその作業が追いつきませんので、ある程度大きさのあるものは薬剤をスプレーするのがおすすめです。

その際も、その農薬の用法をしっかり守って、料理ように葉を使いたい場合は、その農薬が収穫何日前まで使えるかを確認しましょう。

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月桂樹の葉の利用

月桂樹は常緑なのでいつでも葉を摘むことができますが、苗が小さいうちは葉を摘むよりも木を育てることに注力してください。

株が十分に育つ前に収穫してしまうと木が弱ってしまいます。

剪定などで落とした枝についている葉を乾燥させて利用するのがおすすめです。

柔らかい若葉よりもある程度成長してしっかりと硬さが出てきた葉の方が乾燥させて利用するのにおすすめです。

上の写真、真ん中の2枚だけ、葉の色が濃いのですが、このようにしっかり濃い緑色になって葉がしっかり硬く成熟した月桂樹の葉を収穫します。

写真の周囲のまだ少し柔らかい葉も使えますが、香りがしっかりしているのはやはり濃い緑色の葉の方です。

月桂樹は生の葉もそのまま料理に使えますが、生よりも乾燥させた方が風味がよいです。

乾燥した葉には防虫効果もあるので米びつや洋服をしまう引き出しなどに入れておくと虫除けになります。

常緑の鉢植え、シンボルツリーとして、あるいは洋風の煮込み料理の香りづけやハーブティーとして、利用価値の高い月桂樹の鉢植え。

月桂樹はある程度の大きさになると樹勢がついて成長が早いのでトピアリー仕立ての樹形にしてみるのも楽しそうです。

 

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