食用アロエの育て方と食べ方、アロエ栽培について、食べるアロエ、栄養、効果の他、キダチアロエとの違いや、食用アロエを食べる時の注意点を紹介します。
アロエが食用になり体にいいことは古くからよく知られており、民間薬としてアロエをすりおろして食べることで胃腸の調子を整えたり、怪我や火傷の塗り薬として用いられてきました。
食用アロエとして人気の高いアロエベラは市販のヨーグルトなどにも使われたり、近年ではたまにスーパーの野菜売り場でも生の状態のアロエの葉を見かけることもあり、食用アロエは今ではとても身近な存在です。
食用のアロエであるアロエベラはさっぱりとしていて美味しく体にもよいので、その食べ方や栄養、一般に知られている健康によいとされる効能・効果、アロエベラとキダチアロエとの違いなどについて紹介します。
目次
食用アロエ、アロエベラはどんな植物?その効果は?
食用のアロエベラは暖かい地域でよく育つキジカクシ科アロエ属の多肉植物で、細長く尖った葉の両端に小さなトゲがあります。
かつてはユリ科の植物とされていましたが近年の植物分類体系はより細分化されていて、分類体系の変遷とともにアロエの科名や属名も移り変わっています。
日本で食用や薬用に使われるアロエは3種類あります。
アロエの種類①ケープアロエ(学名:Aloe ferox Mill)
ケープアロエは日本薬局方で医薬品として用いられるアロエです。
ケープアロエの葉の液汁を乾燥して粉末にしたものが医薬品として扱われます。
医薬品ですから一般の人は医師や薬剤師の指示のもとで利用するものになります。
ケープアロエの葉肉や根は医薬品としては扱われません。
アロエの種類②キダチアロエ(学名:Aloe arborescense Mill)
キダチアロエは日本でも古くから民間薬や観賞用の鉢植えとして親しまれてきたアロエです。
こちらのアロエは医薬品の扱いではなく、民間薬として用いられてきました。
健胃や下剤としてキダチアロエの生の葉をすりおろして食べたり、すり傷や火傷に新鮮な生の葉のゼリー部分を薄く切って貼り付けたりして使われてきました。
健胃や下剤としての利用については妊娠中や授乳中、12歳以下の子どもには禁忌とされていますので、民間薬といえど利用には注意が必要です。
アロエの種類③アロエベラ(学名:Aloe vera (L.) Burm.f. )
食用アロエといえばアロエベラ、食べるアロエ、食用アロエとして人気があります。
大きく育ったアロエベラの葉の表面の皮をむくと、中に透明なゼリー質があり、この部分を食用アロエとして用います。
アロエベラのゼリー質の部分の食べ方は生のままスライスして刺身のようにして食べたり、ヨーグルトに混ぜていただきます。
アロエベラのゼリー質の部分は、食べるとほとんど味はなく、つるりとした食感と透明感のある見た目の清涼感を楽しみます。
アロエベラの葉肉のゼリー質にはほとんど薬効はありませんので、誰でもが気軽に食用としてアロエの爽やかな食感を楽しむことができます。
アロエベラとキダチアロエとの違いと見分け方
アロエの種類で紹介しましたが、キダチアロエとアロエベラはまず大きさが違います。
アロエベラは大きくなると1mほどの高さになり、一枚一枚の葉も幅が10cm以上になるものもありかなり大きく成長します。
葉に小さな白い斑が入っている品種が鉢植えとしてはよく出回っており、葉の表面に透明感のある艶があります。
キダチアロエの葉は淡い緑色一色をしていて、茎が伸びて草丈が高くなったとしても葉がアロエベラのように大きくなることはありません。
キダチアロエの葉の幅は、根元の一番太い部分でも3〜4cmくらいでしょうか。
葉の大きさと斑点、艶でキダチアロエとアロエベラははっきり違いがわかります。
また食品としての用途でも、葉肉のゼリー質はアロエベラの方が葉が大きく量を確保しやすいので、食用アロエとして市販のヨーグルトなどに用いられているのはほとんどアロエベラになります。
食用アロエ、アロエベラの栄養
アロエベラは体にいい、と言われ様々な健康食品も存在しますが、下記の文部科学省の食品成分データベースでアロエを検索してみると、野菜として食べるアロエの生の葉の可食部、つまりゼリー質の部分については100gあたり3kcal、カリウムが43mg,、カルシウムが56mg、となっていて、その他のミネラル成分はわずかに含まれる程度で食物繊維の総量も0.4gとなっています。
低カロリーのヘルシーな食品であることには間違いはないですが、アロエの様々な薬効は皮の部分にありますので、必要以上に健康効果を期待するものではない、ということなのかもしれません。
日本では上記で紹介したようにケープアロエのみが医薬品として扱われますが、キダチアロエもアロエベラも皮の部分には薬効のある成分は含まれており、国によってはアロエベラが医薬品として扱われている国もあるようです。
私たちが安全に食用としてアロエを楽しむことができるのは苦味のある皮の部分を取り除いた、ゼリー質の葉肉の部分であることは覚えておいた方がよさそうです。
食用アロエ、アロエベラの食べ方
アロエの種類や薬効についてわかったところで、食べるアロエ、アロエベラの食べ方について紹介します。
最初からゼリー質の部分だけを一口大にカットしてあるものならそのまますぐに食べられますが、生の葉を自分で皮をむいたものは、カットされている加工品のアロエベラよりももう少しツルツルした食感があります。
生でないと楽しめない食感ですので、もし生の食用アロエベラの葉をスーパーなどで見かけたらぜひ試してみてくださいね。
1枚の葉が結構大きいですが皮を剥くとゼリー質の部分は少ししか取れませんので、なるべく厚みのある大きな葉を選んで入手します。
1枚の葉は大きいので、買ってきたら、根元の方から1回に食べる分だけの長さを最初に切り分けて、残りは切り口にラップをして冷蔵保存します。
カットしたアロエベラの葉の両端のトゲの部分をまずカットします。
次に葉の表裏の皮をちょうど魚を3枚に下すようなやり方でそぎ取り、中の綺麗なゼリー質の部分だけにします。
ゼリー質の部分だけになったアロエベラを好みの大きさ、厚さにスライスして器に盛り、冷やしていただきます。
生姜醤油などで刺身にしてもよいですし、サラダのトッピングにしてもいいでしょう。
デザートとしてはちみつをかけたり、バニラアイスをのせていただくのも美味しいです。
アロエの栽培、育て方
アロエは暖かい地域でよく育ちます。
アロエの育て方は簡単で鉢植えでも地植えでもあまり手入れも必要ありません。
多肉植物になりますので水はけのよい土で乾燥気味に育てればよいので、放任栽培に近い状態でも育てることができます。
地植えの場合はほとんど水やりも必要ありません。
アロエの植え付け
鉢植えの場合は6号鉢以上の大きさの鉢に赤玉土を主体に腐葉土を2割ほど混ぜた土にアロエの苗を植え付けます。
乾燥気味に育てたいこともあり、腐葉土の割合は控えめにします。
市販の多肉植物用の土を使うのもおすすめです。
植え付けて一月ほどは肥料などをやるのは控えて根が落ち着くのを待ちます。
アロエの施肥
春から秋にかけての成長が盛んな時期に2〜4週間に一度液肥を与えたり、置き肥をします。
肥料の量はそれぞれの説明が気にある規定量を施肥しますが、やや控えめの量で十分です。
アロエの増やし方
アロエ栽培をしていて増やしたい時は、株分けか葉挿しで増やすことができます。
株分けも葉挿しも春から夏前の暖かい時期が適しています。
アロエの株分け
株が育ってくると脇に子株ができてきます。
子株の葉が4〜5枚以上の大きさになったら親株から根をつけて切り分けます。
切り口を乾かすために2〜3日そのまま乾燥させてから、子株を小さな鉢に植え付けます。
植え付けたらすぐに1回水やりをします。
次の水やり以降は土の表面がしっかり乾いてからやるようにします。
葉挿しは少し難易度が高いです。
特にアロエベラは水分が多いので切り口から傷みやすいので雑菌が入らないように注意します。
アロエの葉挿し
アロエの葉挿しの適期は5〜6月ごろ、親株の葉を付け根から綺麗に外して使います。
葉を切り取ったら、切り口の表面が乾くまで2〜3日そのまま乾燥させます。
切り口が乾いてきたら、挿し芽用の土や赤玉土の小粒など肥料分のない土に葉の1/3くらいを土に挿します。
挿したら葉が土の中で動かないように注意します。
新芽が育つまでは乾燥気味に管理します。
水やりは霧吹きなどですると、土が動かないのでおすすめです。
株分けも葉挿しも新芽が育ちはじめれば成功ですが、株分けは初めから根がついているので活着も早くやりやすいのでオススメです。
アロエべラは葉の艶が美しい
木立アロエもアロエベラも観葉植物として楽しむことができます。
またアロエを食用として楽しむアロエベラは味は淡白でほとんど味がないので、食感を楽しみながら色々なアロエの食べ方を楽しむことができます。
アロエベラは種類にもよりますがよく見る種類のものは、葉の表面に艶があって斑入りなので観賞価値も高くオススメです。
ぜひご自分で育てて、時々アロエヨーグルトやアロエのお刺身を食べるのを楽しまれてはいかがでしょうか。