よもぎは私たちのごく身近にある野草、薬草です。
よもぎの効能、効果を日常の中で活用したいなら、よもぎの天ぷらやよもぎ茶がおすすめです。
よもぎは古くからその薬効を知られており、艾葉(がいよう)という生薬名をもつ薬草です。
一方でよもぎは餅草とも呼ばれよもぎ団子や草餅に利用され、野山や街の中のちょっとした植え込みにも生えている私たちには入手しやすい親しみのある山菜でもあります。
目次
よもぎについて
よもぎはキク科の植物で北半球を中心に250種類ほどが存在するようですが、実際にその区別は難しく判別がつきにくいものも多いと言われています。
昔の人はよもぎの生の葉をよく揉んで傷口に当てることで血止めとして使ったり、よもぎ茶を飲んで体を温めて血液の循環をよくしたりしました。
お灸のもぐさはよもぎの葉に生える白い産毛を集めたものです。
このように私たち日本人が古くから薬草として利用してきたよもぎですが、食用としても親しまれており、食べ方は餅や団子につきこんだり、よもぎ茶、おひたし、天ぷら、汁の具、炒め物などにも利用されています。
そこいら辺に生えている雑草、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、よもぎを食用としていただくのはとても美味しく、特に天ぷらはおすすめです。
ここではよもぎの効果・効能や食べ方(レシピ)、よもぎ栽培について紹介します。
よもぎの効果・効能を得る方法①よもぎ蒸し
よもぎの効果効能を得る方法としては最近人気のよもぎ蒸しについても少し触れておきます。
近年では韓国から入ってきた「よもぎ蒸し」の効果に注目が集まっているのをご存知の方もいらっしゃると思います。
よもぎ蒸しは丸い穴の空いた椅子の下でヨモギの葉を小さな鍋で煮ながら、その椅子に下着をつけずに座り上から蒸気が逃げないように顔だけ出してシートをかぶって、ヨモギの有効成分を直接経皮吸収する民間療法です。
よもぎ蒸しは体が温まることや、肌の調子を整える効果が期待できることで日本でも人気があります。
韓国ではよもぎ蒸しは内臓を温め婦人科系の調子を整えるのにとてもよいとされ、特に妊娠中の女性が体調を整えるのによいとされてきました。
現在日本ではこのよもぎ蒸しはサロンで1回30分から1時間、2500円から4000円くらいでサービスを受けることができるようです。
よもぎは野山で簡単に入手できますし、よもぎ蒸しに必要な器具のセットも比較的安価に販売されているので、自分に合うと思った方の中にはホームケアとしてよもぎ蒸しを楽しんでいる人も多いようです。
こう言った自然の中で培われたさまざまな民間療法は、日本ではあくまで補完療法になりますので特に妊娠中の方や体調の悪い方は医師の同意のもと行うよう留意しましょう。
またよもぎはキク科の植物ですのでキク科の植物にアレルギーのある方はご注意ください。
よもぎの効果・効能を得る方法②よもぎ茶
よもぎの主な薬効成分はシネオールとボルネオールです。
ともぎの効能として知られているのは血行促進、循環をよくして体を温めてくれることですので、冷え性の方には嬉しいハーブです。
その他のよもぎの効能効果については、消化促進や止血にもよいとされています。
よもぎ茶として効能、効果を得たい場合は生の葉あるいは乾燥したよもぎの葉をヤカンや鍋でグツグツと煮出して濃いめのよもぎ茶にするのがお勧めです。
より手軽によもぎ茶の効能を取り入れたい、という方には、ハーブティーのように乾燥させたよもぎの茎葉をティーポットに入れて熱湯を注いで5分以上置いてから飲むのがよいでしょう。
熱湯を注ぐだけの場合は濃さも味も軽いよもぎ茶になります。
お好みではちみつを加えてもよもぎの甘いくて爽やかな香りと相性がよく、美味しくいただけます。
よもぎの食べ方、おすすめレシピ①よもぎの天ぷらがおすすめNo.1の理由
よもぎのおすすめレシピNo.1は何と言っても天ぷらです。
よもぎの天ぷらはよもぎの葉を全ていただくのでよもぎ茶よりもさらによもぎの効能や栄養をしっかり摂取することができます。
そしてよもぎの天ぷらはよもぎの苦味と油の相性がとてもいいので何より美味しいです。
天ぷらという調理法は春のほろ苦い野草、山菜のアクをうまみに変えて、より美味しくしてくれる方法です。
よもぎにはβカロチンが100gあたり6000μg含まれており、天ぷらの油により吸収率が高まりますのでよもぎのレシピとしてよもぎの天ぷらはとても理にかなった素晴らしいものです。
よもぎは他にもビタミンC、食物繊維と言った栄養が豊富です。
ビタミンCは水溶性で水に溶けるので、茹でると流失がありますが、ごく短時間、高温でさっと調理する天ぷらなら水への流失もなく、熱によるビタミンCの破壊も最小限に留められます。
こう言った点で、よもぎの天ぷらはとてもお勧めです。
よもぎの食べ方、おすすめレシピ②よもぎの天ぷらの作り方
用意するもの
・よもぎ
天ぷらにして美味しいのは春にのびたよもぎの新芽の茎先、7〜8cmの部分です。
なるべく太くて柔らかいよもぎを茎ごと摘み取って利用しましょう。
・小麦粉
・片栗粉
・揚げ油
・水
よもぎの天ぷらの作り方
小麦粉と片栗粉、水を重さではなく容量で測って1:1:1.5の割合でボウルに入れ箸でざっくり混ぜます。
よもぎの芽は表面積が大きいので割と多めに衣を用意しておくとよいです。
多少のダマがあっても大丈夫です。
衣の粘りが出てしまうとサクッと軽い食感にならないので練らないように気をつけます。
できた衣をよもぎの全体に薄くまぶして、余分な衣はボウルの端に沿わせて落とします。
150〜160℃の低めの温度の油にそのままそっと入れて揚げます。
油に入れて初めのうちは柔らかいのですが、箸で触らずにおくとよもぎが表面に浮いてきて、そこからさらにじっくり揚げていくとカリッと形が決まってきます。
そうなってから箸で上下を返して、程よく揚がったら油を切ってキッチンペーパーを敷いたお皿の上に取ります。
よもぎの天ぷらをすると、油がすぐによもぎのアクで消耗しますので、次に油を再利用する場合は新しい油を多めにつぎ足して使ってください。
さっと上がった揚げたてのよもぎの天ぷらは塩をパラパラとふりかけて、熱々のところを食べるのがおすすめです。
よもぎの苦味やアクが油と合わさることでコクのある旨味になります。
よもぎの食べ方、おすすめレシピ③よもぎの天ぷらPart2
実はよもぎの天ぷらには応用編の食べ方があります。
よもぎの葉の粉末を利用する食べ方で、これには2つの方法があります。
一つは天ぷらの衣を作るとき、最初に薄力粉とよもぎ粉末やよもぎの葉を細かく刻んだものを合わせ、よもぎ入りの天ぷら衣で他の材料を揚げる方法です。
乾燥粉末よもぎだと少しの量でも結構しっかりした量のよもぎを食べられます。
もう一つこのよもぎ粉末を使って天ぷらをいただく方法が、塩です。
揚げたての天ぷらは塩をぱらっとふって熱々のところをいただくのともとても美味しいですが、この塩によもぎの乾燥粉末を加えたよもぎ塩で天ぷらをいただく、という方法です。
抹茶塩のように淡い緑色の塩は見た目にも美しく、魚介の天ぷらの臭みも消してくれます。
このよもぎ天ぷらPart2でよもぎをいただくのもお勧めです。
よもぎの粉末は製菓材料やお茶として販売されているので入手するのも簡単です。
製菓材料のよもぎ粉末なら色も綺麗なよもぎ粉末が手に入ると思います。
よもぎの食べ方、おすすめレシピ④よもぎ入りソーキそば
沖縄料理のソーキそばにフーチバー(よもぎ)を入れると豚の脂とよもぎがよく合います。
ソーキそば以外にも、沖縄の汁物はダシが効いていて旨味があるので、中身汁(なかみじる)などの汁物にフーチバーを入れると美味しいです。
仕上げに生の葉の部分だけを加えて火を通して出来上がりになります。
よもぎの食べ方、おすすめレシピ⑤よもぎの草餅、草団子、白玉に混ぜても◎
餅や団子を作るときによもぎの葉の柔らかい部分を柔らかく茹でてから滑らかにすりつぶしたものを加えることで香りのよい自家製の草餅や草団子が出来上がります。
春の味覚ですのでぜひ生の葉で作りたいところです。
今はフードプロセッサーがあるのでよもぎの葉をすりつぶすのも手軽にできますし、おすすめです。
よもぎの葉は茹でるとしんなりとして量が減りますので、なるべく多めに摘みましょう。
余ったら
1. そのまま乾燥して保存
2. 茹でたものを冷凍保存
3. さっと茹でたものをザルに広げて乾燥して保存
いずれかの方法で保存もできます。
またよもぎは古くから和菓子に使われていますので、手軽によもぎの香りを楽しめるよもぎの粉末も割と安く入手可能です。
乾燥粉末は手軽で扱いやすいですが、香りはやはり春の生のよもぎがおすすめです。
つきたてのよもぎもちやよもぎ団子は格別です。
余談ですが、福岡の太宰府天満宮の梅ヶ枝餅は菅原道真の月命日である毎月25日になるとよもぎ入りの梅ヶ枝餅がお店に並びます。
できたてのよもぎ入り梅ヶ枝餅はとても美味しいです。
25日に太宰府天満宮を訪れる方におすすめです。
よもぎの摘み方の注意点とよもぎ栽培について
よもぎは鉢植えなどでも栽培することはできますが、自分で育てるというよりも、野山で太陽をいっぱいに浴びてゆったり育った滋養に溢れた元気のいいよもぎを春に摘み取ってその効能・効果、香りを楽しむ方がおすすめです。
餅草と呼ばれる通り春にはよもぎは新芽を摘んで餅につき込んだよもぎも餅やよもぎ団子はとても香りがよいものです。
よもぎは3月から5月にかけて、春の新芽の柔らかい部分を利用します。
乾燥してお茶にするならもう少しおおきくなった茎葉も利用できます。
よもぎはアクが強いので手で摘むと指先が黒くなってしまいます。
他にも、気をつけたいよもぎ摘みの注意点をいくつかまとめておきます。
- よもぎは地下茎で増えるのでむやみに掘り返さない。
- 除草剤がまかれていない場所のものを摘む
- 犬猫が用を足す場所のものは避ける
- 摘み取る時は鋭利な刃物で大きさを揃えて摘み取る
- 摘んだものは向きを揃えて綺麗にしまって持ち帰る
1〜3は主に環境に関することです。
食用にするものですので、清潔で安全なものを選んで丁寧に摘み取りましょう。
4、5は人の心理的なものです。
よもぎはどこにでも生えていて希少感が少ないために安易な気持ちで雑な摘み取り方、扱い方をしてしまいがちです。
そのためにあとで扱いにくくて困ってしまう、なんてことになりかねません。
ですからどこにでもあるよもぎだからこそしっかり丁寧に自分が実際に使いたい分だけ、後の処理のことも考えて扱いやすい大きさになるべく揃えて綺麗に摘み取り持ち帰りましょう。
そうすることで後の調理もスムーズに進みます。
「段取り八分」で自然の恵みを大切にいただきましょう。
よもぎについてのまとめ
日本だけでなく西洋でもよもぎは自生しており、ヨーロッパのニガヨモギ(ワームウッド)などのハーブや、料理の香りづけに使われるロシアのタラゴンもよもぎの仲間です。
沖縄のよもぎは少し繊維質が強いのですが、フーチバーと呼ばれて、汁物や炒め物に使われ長寿の命薬(ぬちぐすい)として大切にされています。
薬草としても、食用としても私たちにたくさんの恩恵をくれるよもぎですが、意外と草餅以外の方法では食べたことがない方も多いのではないかと思います。
天ぷらは本当におすすめですので、ぜひチャレンジしてみてください。