セントポーリアの増やし方は主に葉挿しや株分けになります。
ちょうど株分けで取り除いた葉を葉挿ししておいたものの芽が出てきたので少しだけ写真と共にセントポーリアの葉挿しについて紹介します。
目次
セントポーリアの葉挿し①用土
セントポーリアの葉挿しをするときの用土は、パーライトの細粒や、挿し芽や種まき用の目の細かい専用土などの土を用意します。
セントポーリアは根が繊細なので、軽めで無菌の用土を用意します。
上の写真は左がパーライト、右が挿し芽種まきの土、これはメーカーが花ごころのものです。
この専用の用土にはピートモス、パーライト、鹿沼土、バーミキュライトがブレンドされています。
セントポーリアは軽い土がいいので、この挿し芽種まき専用土にパーライトやバーミキュライトを少し混ぜて使うのもおすすめです。
その他、挿し芽種まき用の用土だと根腐れ防止にゼオライトが入っているものなどもあります。
セントポーリアはゼオライト、商品名で言うとミリオンAなどを用土に入れてやると根草れ防止になるのでおすすめです。
セントポーリアの葉挿し②挿し穂の選び方
セントポーリアの葉挿しに使う挿し穂を用意します。
セントポーリアは放っておくとどんどん育ってくるので、時々外葉を付け根からかき取って整理します。
上の写真はピクシーペパーミントというセミミニ、キメラ種のセントポーリアです。
生育旺盛で、脇芽がいくつも大きくなってしまったので、夏の終わりに株分けし、かなりの枚数の外葉も取ったのに、あっという間にまた大きくなってきました。
コンパクトに育てたいので、この感じだと外葉2周分くらい取って植え直してももいい感じです。
セントポーリアはこの様に外葉かきで取った葉を挿し穂にすることができます。
一番外側の葉で古く堅くなっているものや傷みがあるものは使わず、なるべく綺麗でみずみずしい葉を選んで挿し穂にします。
セントポーリアの葉挿し③キメラ種の注意点
セントポーリアのキメラ種は葉挿しに向かないので注意が必要です。
もちろん葉挿しすれば、新芽は育ちますが、キメラの特徴である縞模様の花が咲く性質が継承されません。
一般に斑入り植物を挿し木、挿し芽すると班が消えてしまったりすることが多いのと同じ理屈なんでしょうかね。
冒頭の写真のロブズラッキーナンバーは葉っぱがキメラだという種類で、葉挿しで出てきた新芽には今のところ斑模様がありません。
この後どうなるか様子を見てみたいと思います。
この様に性質が不安定なものは株分けで増やすのがセントポーリアに限らずおすすめです。
またセントポーリアのキメラ種については親株と同じ花を咲かせるためにストーク刺しと言って花茎を挿して増やす方法もあります。
今回画像で紹介しているセントポーリアはいずれも花か葉がキメラなので実は葉挿しに向かない種類なのですが、葉挿しのやり方の画像としてご参照いただければと思います。
ストーク挿しについてはまた別記事で紹介できればと思います。
セントポーリアの葉挿し④挿し穂の調整
かきとったセントポーリアの葉を挿し穂として調整します。
茎を1cmほど残して切り口が斜めになるように切れ味の鋭いカッターでスパッとカットします。
葉の表面を上にして挿した時に切り口が上になるように斜めにカットする、その逆に、挿した時に切り口が下を向き、水平になるようにカットする、あるいは普通にまっすぐカットする。
切り方はそれぞれあるようですが、どの切り方でもは葉挿しはできます。
実際に切り口が上、下、茎をまっすぐカットする3パターンを比較してみましたが、セントポーリアの発根については発根までの日数や根の伸び方にそれほど違いはありませんでした。
ただ、その後のセントポーリアの芽の出方にはっきりと違いが出ました。
切り口から出る芽はそのまま上に向かって育つので、切り口が下を向いているよりも切り口が上向きのさし穂の方が、セントポーリアの新芽がバランスよく育ちやすいようです。
セントポーリアの葉挿しで最も大事なことは、挿し穂を切る時は「切れ味の鋭い刃物でスパッと切る」です。
セントポーリアは多肉で水分も多く茎が柔らかいので、葉挿しの成功率を上げるのなら、この一言につきます。
セントポーリアの葉挿し⑤セントポーリアの挿し穂を用土に挿す
セントポーリアの葉挿しで挿し穂を用土に挿すときは、深挿しはしません。
1cm残した茎の部分が土に埋まるくらいで十分です。
上の写真、左側の葉は先ほどの挿し穂を土に挿したところです。
土に挿す時には、セントポーリアの挿し穂の切り口が傷づかないように、先に竹串などで穴を開けて置いてそこにそっと挿します。
挿した後は周囲を軽く竹串でさして用土と切り口がしっかり接地するようにしてからそっと水やりして用土を湿らせます。
右側の2つはロブズラッキーナンバーというミニ種です。
株分けと、葉挿しした株です。
前述の通り葉挿しの方は新芽に斑入り模様が今のところ見られません。
株分けした方の株は、脇芽がかなり大きく育ってから株分けしていますし、このまま間違いなく親株と同じ性質を持った株になります。
セントポーリアの葉挿し⑥挿し穂の水やり
セントポーリアの挿し穂を用土に挿して水やりした後は、用土の表面が乾いてきたら、霧吹きなどで水分を補います。
水をやりすぎると切り口から腐ってきますので、水のやりすぎには注意が必要です。
セントポーリアは多肉で水分を葉の中にたくさん持っていますので、やや乾燥気味、ただし用土が完全に乾燥しないタイミングで水やりをして置いておきます。
春や秋の時期なら3週間程度で芽が出てきます。
芽が出た後は通常より薄めの液肥から少しずつ様子を見て与えていきます。
セントポーリアの葉挿し⑥鉢上げのタイミング
セントポーリアを葉挿しして、新しい芽が育ち始めたら次に気になるのは鉢上げのタイミングです。
記事冒頭の写真から約2ヶ月後の状態です。
株分けしたロブズラッキーナンバーは、もともと大きいのですでに鉢上げ済みです。
葉挿しの方のロブズも葉の枚数が増えたので挿し穂を外して鉢上げできる大きさになりました。
しかし、やはり斑入り模様は出てきません。
ロブズラッキーナンバーは美しい模様の品種のセントポーリアなので、この品種はやはり株分けで増やす方がよいようです。
セントポーリアの葉挿しの場合、出てきた新芽の本葉が5〜6枚になった頃、用土を渇き気味にしてからセントポーリアの株を抜き取り、挿し穂をそっと取り外しで、小さな子株だけを新しい用土に植えつけます。
用土が湿っていると重みがありセントポーリアの根を傷めやすいので、必ず土が乾き気味で軽い状態の時に鉢上げします。
親葉の挿し穂を外すためにはある程度新しい株の大きさがないとやりにくいので、それができるくらいの大きさが目安です。
挿し穂を外しにくい時は、切れ味の鋭いカッターなどで、なるべく繊維を傷つけないよう静かに切り離します。
外しにくい時は無理をして負荷をかけるよりも刃物で切り離したほうがセントポーリアのダメージがありません。
その後の施肥は植え付けて1週間以上経ってから開始します。
窓辺の直射日光が当たらない明るい場所でゆっくりじっくり育てていくと葉の枚数が増えて、そのうち花芽が上がってきます。
セントポーリアの葉挿し⑦斑入りセントポーリアの葉挿し
斑入り模様が綺麗なセントポーリア、ロブズラッキーナンバーをまとめて5枚ほど葉挿しにしてみました。
やはり葉挿しでは、出てくる新芽に模様が出ません。
この品種は葉の模様がキメラと言われているので、葉挿しではその性質が受け継がれないようです。
ランブリン・ファイヤーダンスという普通の斑入りのトレイル種は実験的に葉挿しをしてみたところ、出てきた新芽に葉の模様は受け継がれているようでした。
ただ斑入り模様の同じ品種のセントポーリアを増やしたい方は、遠回りするくらいなら最初から株分けやわき芽挿しをしたほうが確実だと思います。
セントポーリアの葉挿し⑧斑入りセントポーリアのわき芽挿し
こちらはロブズラッキーナンバーのわき芽を挿したものです。
セントポーリアのわき芽挿しは、斑入り模様がちゃんと引き継がれるだけではなく、葉挿しよりも成長が早いというメリットもあります。
セントポーリアの親株の植え替えのタイミングなどで、葉が4枚以上になったわき芽を丁寧に親株からカッターやアートナイフで切り取ればさし穂になります。
セントポーリアのわき芽をさし穂用に取るのは葉挿しのさし穂を取るより神経を使いますが、わき芽挿しは葉挿しより早く大きくなり、初花を早く迎えられます。
セントポーリアの葉挿し⑧セントポーリアの株分け
セントポーリアの株分はわき芽を親株から外すよりはやりやすいです。
セントポーリアのわき芽がさらに大きくなって、根をつけた状態で株を分割する感じで切り離せるものになります。
最初から根がついていますので、移植後の活着も失敗が少なく、早い成長が見込めます。
当然花が咲くまでの期間も短縮できます。
鉢の大きさに余裕があるなら、少しじっくりわき芽を大きく育ててから株分してみるのもお勧めです。
葉挿しして出てくる新芽はとても小さいので、大きくなるまで時間がかかりますし、丁寧にそっと管理する必要があります。
ただし数はたくさんとれますので、増やしたい数を考えて、お好みの方法をお試しいただければと思います。
自分で新たに育てた株のセントポーリアの初花を楽しみに待つのも、セントポーリアの葉挿しやわき芽ざし、株分けの楽しみの1つです。
親株を綺麗に更新していくために、わき芽や枚数が増えた葉は取り除いて行った方がよいですし、そういった余剰の葉やわき芽を使って、セントポーリアの葉挿しやわき芽ざしに挑戦してみてはいかがでしょう。