梅干しの作り方を紹介します。
ここでは特に赤しそを一緒に漬け込む梅干しの作り方を紹介します。
しその香りのよい梅干しと、一緒に出来上がる赤梅酢や赤しそ漬けが活躍する場面も多く、ないと困るくらい重宝します。
梅干しの作り方自体は簡単で、その年ごとの出来不出来はあっても失敗することはほぼありませんので、初めての方も安心して作れると思います。
庭木の梅をお持ちの方は自前の梅で、そうではない方も時期になると梅干し用の完熟梅がお店に出回り簡単に手に入りますので梅干し作りを楽しんでみてください。
目次
梅干しの作り方①梅干し作りの時期
梅干し作りは6月中旬前後、梅の実が熟す頃に行います。
梅酒は青くて硬い梅を使いますが、梅干しの場合は熟して黄色からオレンジ色に色づいた梅を使います。
まず最初に店頭には青梅が並び始めます。
その後しばらくすると徐々に色づいた梅が出てくるので、それを待って梅干し作りのための梅を用意します。
梅干しの作り方②用意するもの
完熟梅 2Kg
枝付きの赤しそ 約300g入り 2袋〜4袋 ※お好みで調節
天日塩 梅と赤しその葉の総重量の18%〜20%
ホワイトリカー 35度のもの 100ml程度 消毒用に使います
梅を漬ける容器 3号の甕(5.4リットル)または同容量の密閉ガラス瓶
重石 梅の重さの2〜3倍の重量
落とし蓋 容器の内径にあうものを用意
大きなボウル ステンレスかホーロー製のなるべく大きなもの
大きなザル ステンレス製の大きくて平たいザル 洗った赤しその水切り用
竹ざる 梅干し2Kgを天日干しするザル、直径50cmの大きさは欲しいです
梅干しの作り方③完熟梅の準備
完熟梅は柔らかくなるので、お店で売っているものは完熟一歩手前でまだ少し青い部分が残っているものがほとんどだと思います。
傷のない、綺麗な梅を選んで購入します。
梅のサイズはお好みですが、4Lサイズだと果肉たっぷりの立派な惚れ惚れするような梅干しが作れます。
日常使いでちょっとお茶漬けや雑炊に1個乗せたい、疲労回復にパクッと一個口に入れたい、という時には2Lや3Lの大きさのものが使いやすいかもしれません。
購入した梅は、まだ青いところがある場合は袋から出してザルなどに入れて2〜3日、明るい直射日光の当たらない窓辺などで追熟します。
程なく梅のいい香りが立って、全体に色づいてきます。
梅干しの作り方④塩の種類と塩分量について
梅と赤しその総重量に対して何%の塩分を使うかを決めます。
家庭で作る梅干しの場合は18〜20%の塩分量がお勧めです。
それ以上塩分が多くなると塩辛い梅干しになり、少ない塩分量だと保存に気を使います。
天日塩も種類によって味が違います。
塩分量が少なくミネラル分が多い塩だと味がよりまろやかになります。
逆に精製塩のようにほとんど塩分だけ、という塩だと塩味がきつくなりますので、いくつかの塩を試してご自分の好みの味の塩を見つけてください。
Balcofarmでは天日塩18%の塩分量で作ります。
梅干しの作り方⑤赤梅酢の赤しその準備
梅1Kgに対して300gの枝付き赤しそ1〜2袋を目安にします。
今回は2Kgの梅で作りますので赤しそは4袋用意しました。
多いと思われる方は2袋に減らしても作れます。
赤しその色をしっかり梅につけたい場合や、赤梅酢、赤しそ漬けも利用したい場合はやはり梅1Kgに対して2袋の赤しそを使うと、梅干しの出来上がりの色がよくなり、赤梅酢も濃厚なものが取れます。
よい赤しそが手に入るときに、先に以下の下準備しておいてもいいですし、梅を塩でつけて白梅酢が上がってくる頃に赤しそを買って、準備してもよいです。
1.赤しその葉を枝から外す
買ってきた赤しそを袋から出し、そのまま洗わずに葉だけを摘み取ってザルなどに入れていきます。
たくさんあるので少し時間がかかるので、座ってのんびり好きな音楽を聞いたり、テレビでも見ながらやるのがお勧めです。
赤しその葉の軸はつけず、なるべく葉の部分だけを摘み取るようにします。
全て積み終わるとザルが3個も4個も必要になると思いますので事前に用意しておいてください。
葉だけになった赤しその総重量をこの時点で測っておきます。
2.赤しそを水で洗う
葉だけになった赤しそをボウルに水をたっぶり溜めて2〜3回水を変えながらゴミなどが落ちるようによく洗います。
洗ったらザルにあげて水を切ります。
たくさんあって山盛りになってしまうので、なるべく大きな平ザルを使って水切りします。
梅を干すための竹ザルを利用してもよいでしょう。
赤しその葉はしっかり水気を切るために、なるべく重ならないよう平らに広げて一晩そのままザルに乗せた状態で水切りします。
3.赤しそを塩で揉んでアクを出す(1回目)
測っておいた赤しその葉の重量に対して、18%の重量の塩を用意します。
300g入りの赤しその葉だけをとると、袋によって前後はあるものの大体目安としては1袋200gくらいの赤しその葉が取れます。
4袋使うので、800gとしたら18%は144gの塩を用意します。
毎年仕込んでいくときに味の比較ができるよう、計量は正確にすることをお勧めします。
この時赤しその葉がよく乾いていないとせっかく測った塩の分量に狂いが出てしまうので、赤しその葉の余分な水分をしっかり切ることが必要です。
一晩水気をしっかり切って乾かした赤しその葉を、2回に分けて塩揉みしていきます。
赤しその葉を大きなボウルに入れ、1回目は用意した塩の1/2量の塩を赤しその葉全体にまぶしてから手で揉み込んでいきます。
一度に全量は難しいと思うので、赤しその葉と塩をそれぞれ3〜4回分に重さを測ってわけてから潮はさらにその半両を揉みこむようにします。
赤しその葉に塩が馴染んで徐々に水気が出てくるまでは塩を全体に行き渡らせるように、優しく揉んでいきます。
水が出始めたら、徐々に力を入れてぎゅっぎゅっと塩を揉み込んでいきます。
赤しその葉から黒ずんだ水分がどんどん出てきて、アクで汁が泡立ってきますが構わずぎゅっぎゅっとしっかり体重をかけて揉んで、それ以上は汁がでなくなってきたら、赤しその葉をきつく絞って、出たアク汁を捨てます。
4.赤しそを塩で揉んでアクを出す(2回目)
絞った赤しその葉をボウルの中でほぐして広げて、そこに残りの半両の塩を振って、1回目と同様にさらに塩揉みします。
もう出ない、と思っても、塩を加えるとさらに赤しその葉からアク汁が出てくるのでしっかり揉み出して、2回目もこれ以上もうアクが出ない、というところまで揉んだら、赤しその葉をきつく絞ってアク汁を全部捨てます。
2回目に出るアクは1回目よりも綺麗な色になっているはずです。
しっかりアクが出たら、きつく絞ってアク汁を全て捨てて水分を切ります。
これで梅干し作り用の揉みしその出来上がりです。
出来上がった揉みしそは白梅酢がまだ準備できていない場合は、ジッパー付きのビニール袋などに入れて冷蔵庫に保存しておきます。
梅干しの作り方⑥完熟梅を洗ってヘタをとる
傷のない綺麗な完熟梅をボウル入れて、水洗いして表面のホコリやゴミを落とします。
完熟梅は長く水につけおくと梅の実が茶色くなりますので、時間をかけずに洗います。
完熟梅をさっと洗ってざるにあげたら、竹串を使って1つ1つヘタをとっていきます。
この時梅の実を傷つけないように気をつけます。
梅に傷があるとつけている間に実が崩れてしまいます。
梅の実が崩れると梅酢が濁ったものになります。
完熟梅のヘタをとったらキッチンペーパーでさっと水分をとり、ザルにおいて乾かします。
その間に容器の準備をします。
梅干しの作り方⑦梅干しを漬ける容器の消毒
梅干しを漬ける甕やガラス瓶などの容器を洗剤で入念に洗った後、熱湯を回しかけ、しっかり熱消毒します。
重石と落とし蓋も同様に消毒します。
綺麗な付近の上に容器はうつ伏せにおきます。
重石、落とし蓋も布巾の上において乾かしておきます。
この時、さらに用意しておいたホワイトリカーをキッチンペーパーに染み込ませて、容器の内側を拭いてアルコール消毒してもよいでしょう。
梅干しの作り方⑧ 完熟梅と塩を容器に入れて漬けこむ
容器の準備ができたらいよいよ完熟梅を塩漬けにしていきます。
まず完熟梅の重さに対して18%の塩を用意します。
今回は完熟梅2kgなので360gです。
この塩と完熟梅を交互に容器の中に詰めていきます。
まず容器の底に薄く塩をふり、完熟梅をひとならべします。
完熟梅にまた塩をパラパラと振って、その上にまた完熟梅を載せていきます。
そしてまた梅の上に塩を振って、を繰り返し、最後はやや多めの塩が一番上に来るようにします。
梅の隙間から塩が落ちていきますのでなるべく梅の上に塩が乗るようにします。
特に大きい梅の実を使う場合は隙間が大きくなりますので塩が下に落ちやすいので塩をそっと梅の実の上に乗せるように置いていきます。
ここに落とし蓋をおいてから、完熟梅の重量の2〜3倍の重さの重石を乗せて完熟梅から水分が上がってくるのを待ちます。
完熟梅がカビてしまわないように、塩と完熟梅がしっかり合わさっていることと、しっかり重石をかけることがポイントです。
完熟梅がかびたりすることなく、早く梅酢が上がるよう、完熟梅を容器に入れるときに一個ずつさっとホワイトリカーで洗ってそのまま容器に並べていくのもお勧めです。
ホワイトリカーの湿り気で塩と完熟梅がよくなじみ、梅酢の上がりが早くなりますしアルコール分がカビの防止にもなります。
完熟梅と塩を入れて、落とし蓋、重石も入れ終わったら、ほこりが入らないように蓋をしたり、重石の上からビニール袋などで容器の口全体を覆って紐で縛っておきます。
2〜3日から遅くとも1週間程度で完熟梅から水分が上がってきて、梅酢の中に完熟梅が沈んだ状態になります。
完熟梅が梅酢の中にもぐった状態にならないで空気に触れたままだとそこからカビが生えますので注意します。
なかなか梅酢が上がってこない場合は重石の量を増やして早く水分が上がるように調整します。
カビを防ぐためにも始めのうちは重しをしっかりかけて、早く梅から水分が出るようにするのがおすすめです。
完熟梅の実がしっかり梅酢に浸かったら、重石の重量を最初の半分に減らします。
この段階の白い梅酢を文字通り白梅酢といいます。
梅干しの作り方⑨梅干しの色付け、赤梅酢の作り方、塩揉みしておいた赤しそを加える
しっかりと梅酢が上がったら、塩揉みしておいた赤しそを容器の中に入れていきます。
赤しそを入れることで赤梅酢が作れますので、赤梅酢自体の作り方は難しくありません。
まず、上がってきた白梅酢を容器からお玉2杯くらいすくいとります。
塩揉みしてきつく絞っておいた赤しそに、その白梅酢をかけてほぐすようにして馴染ませます。
白梅酢を赤しそに加えると黒っぽかった赤しそが、梅酢の酸で鮮やかな赤色に発色します。
綺麗に発色させた赤しそを容器に入れていきます。
表面に赤しそを広げて、梅全体が隠れるようにします。
少し容器を傾けたりして、容器の中の白梅酢と赤しその赤い成分が混ざるようになじませてから、再び落とし蓋をして、重石を乗せて、赤しその色素が全体に馴染むまで、梅雨明けまで1ヶ月以上おいておきます。
梅干しの作り方⑩梅を天日干しする
7月後半になって梅雨が明ける頃が、ちょうど梅をつけて1ヶ月後くらいになります。
1ヶ月後に干さなければいけないわけではなく、梅雨が明けて以降、夏の間に晴天が3日以上続く時に、つけておいた梅の実を連続で3日間、天日干しします。
1.赤しそを先に取り出す
まず梅にかぶせるように入れてある赤しそを容器から取り出し、ザルとボウルを重ねて赤梅酢を切ります。
この時点でなるべく残りがないように綺麗に赤しそを取り出したら、赤しそを軽く絞ってからざるの上にほぐしておきます。
赤しそはすぐに干したりしない場合はジッパー付きのビニール袋に入れて、冷蔵庫に入れて保存します。
2.梅を取り出し竹さるに並べる
次に容器から梅の実を1個ずつ、赤梅酢を切りながら取り出して、竹ざるに並べていきます。
竹ざるにそのまま梅を並べてもよいのですが、干した時に梅がくっつき、梅を裏返す時に皮が破れてしまうことがあるので、竹ざるにクッキングシートをしいて、その上に梅の実を並べていくのがお勧めです。
竹ザルに直接梅を並べると、竹ざるに赤しその色がつきますが、梅を干した後、竹ざるはさっと水で洗ってから水気をよく拭き取り、風通しのいいところにカバーなどかけずに吊るしておくと、時間と共に梅酢の色が徐々に抜けてわからなくなっていきます。
梅の実は隣同士がくっつかないように隙間を開けて並べていきます。
梅干し用の竹ざるは年に1回しか使わないけれど一度に2kg分の梅を干したいのでやはり十分な大きさのものを用意した方が作業がはかどります。
3.赤梅酢を保存瓶に入れる
容器に残った赤梅酢を消毒した保存瓶に入れて密封します。
お酒の空き瓶で色の濃いものなどを使うと遮光できて、赤梅酢の色の劣化も防げるのでお勧めです。
1つだけ注意点があるのですが、瓶のキャップが金属でできているものは赤梅酢の酸で金属が腐食しますので、瓶の口にラップをかぶせてからキャップをするなどしてキャップに直接赤梅酢が触れないようにします。
キャップをしっかり閉めたら、赤梅酢も瓶ごと1日日光に当てるとよいと言われています。
赤梅酢はこれで出来上がりです。
4.梅を天日干しする
竹ざるに並べ終わった梅を3日間、午前中から午後3時頃まで、天日に当てて干していきます。
午後3時ごろになったら室内に取り込み、翌日の午前中、9時ごろから再び干します。
この時干す前に、梅干しの上下を返してまんべんなく天日に当たるようにします。
取り込んですぐに梅干しの上下を返そうとすると梅干しの皮が竹ざるにくっついていますが、一晩おくことで梅の実の中の水分が皮に戻って柔らかくなり、スムーズに剥がれるようになります。
この時クッキングシートを敷いていれば、あまり心配せずに梅干しの上下を返すことができます。
これを3日間繰り返します。
上の写真は2日目の状態です。
梅の皮が少し乾いてきているのが分かります。
もし3日連続で晴れなければ、1日室内においてまた晴れてから干すのでも大丈夫です。
梅の乾き具合を見て程よい乾き具合になるよう微調整してください。
梅干しの色をきれいにしたい場合は、2日目、3日目に朝干す前に梅を梅酢にさっとつけてからざるに乗せて干すとさらに赤しその色がよく出ます。
梅干しの作り方⑪出来上がった梅干しを保存瓶に入れる
3日間の天日干しが完了したら、出来上がった梅干しを密閉保存容器に入れて冷暗所で保存します。
写真の容器は梅干し作り、梅酒作りにも使えるガラス容器、容量は2リットルです。
この容器で2kgの梅で作った梅干しを入れるのにちょうどよいです。
出来上がった梅干しはすぐに食べてもよいですが、半年以上寝かせた方が、塩が馴染んで味がまろやかになり、美味しくなります。
梅干しの作り方⑫梅干し、梅酢、残った赤しその活用方法
梅干しが半年の熟成期間を終えるのはちょうど寒い時期にあたります。
梅干し入りの卵雑炊や、温かい鰹出汁のきいたシンプルなうどんに梅干しを一個乗せて食べるのがご馳走になります。
冬場にちょっと風邪気味の時などに食べると体も温まり、元気が出ます。
また夏場であれば、梅干しは夏バテや熱中症の予防に威力を発揮します。
汗で流れ出る塩分やカリウムなどのミネラル分の補給になりますし、梅干しに含まれる豊富なクエン酸が疲れた体をリフレッシュさせ、胃液の分泌を促し食欲を回復させてくれます。
残った赤しそは梅干しを干す時あるいはそれより後のタイミングでもよいので、かたまりを少しほぐしてから、カラカラになるまで天日干しして、ミルやフードプロセッサーで粉にすれば、自家製のゆかりを作る事ができます。
炊き立てのご飯にかけたり、混ぜ込んでおにぎりにしたり、塩を合わせて、天ぷらや揚げ物にパラパラと振っていただくのもおいしいです。
また干さずに、そのままお茶漬けにするのもおいしいです。
塩で下漬けしたきゅうりや生姜と赤しそ、赤梅酢を一緒に漬け込めば柴漬け作りにも使えます。
自家製の柴漬けはとても香りがよく、残った赤しそを干したりする手間もないので、赤しその利用方法として特におすすめです。
梅干しだけでなく、副産物である赤梅酢、赤しそは香り高い貴重な食材です。
この年は梅の作柄がよかったようで、立派な柔らかそうな梅の実が入手できたので多めに梅干しを作ったこともあり、柴漬けもたくさん作って楽しむことができました。
今後、別記事で柴漬けの作り方も紹介していきますので、ぜひ梅干し作りと一緒に楽しんでみてください。