いちじくの育て方、夏果と秋果の違いについて

いちじくの育て方で知っておきたい、いちじくの夏果と秋果の違いについて紹介します。

いちじくはその年に伸びた枝に秋に実がなるものを秋果、前年に伸びた枝に翌年の夏、実がなるものを夏果、と呼びます。

上の写真はノアールシュクレという黒いちじくの夏果です。

いちじくの品種には秋果専用品種、夏果専用品種、夏秋兼用品種があります。

このいちじくの秋果と夏果の違いはどこにあるのでしょう。

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目次

いちじくの秋果

いちじくの秋果と夏果にははっきりとした違いがあります。

日本ではいちじくの秋果の方が一般的なように思います。

これはいちじくの木を手入れする剪定方法にも影響を受けています。

いちじくの秋果はその年の春から伸びた新しい枝に実がなります。

上の写真はアルマの秋果が大きくなり始めたところです。

新しく伸びた緑色をしている部分の枝についてる実が秋果になります。

春から伸び始めた枝に実がついて、6月ごろから膨らみ始めるので、熟す時期が必然的に遅くなります。

いちじくの秋果は同じ木になる夏果と比べると、実はやや小ぶりですが水分が少なめで糖度も高く味も濃厚です。

秋遅くなって気温が下がり初めると、果肉がねっとりとした食感でまるでジャムのようになってきます。

夏果も秋果もなる兼用品種では収量は夏果より秋果の方が多いです。

黒い宝石と言われているビオレソリエスは秋果専用品種です。

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いちじくの夏果

いちじくの夏果は昨年伸びた枝、前年枝に実がつきます。

前年枝なので、上の写真のように茶色くなった部分の枝に実がつきます。

上の写真はロングドゥート (バナーネ )の若い夏果です。

夏果はいちじくの兼用品種での比較で言うと、秋果よりも大きくその分なのでしょうか、水分が多くあっさりとした味になります。

夏果専用品種は数が少なく、キングという品種が知られています。

夏秋兼用品種では、ロングドゥート (バナーネ )は夏果がとても大きくて、よく実がなりますし味もよいいちじくなので人気があります。

ロングドゥートは枝があまり横に広がらず上にすっと伸びて、葉も細葉なので、場所をとらず、鉢植えやベランダでも栽培しやすい品種です。

ロングドゥートの夏果は大きいものは300gにもなるそうですが、ここでは鉢植えでコンパクトに育てているため、そこまで大きなものはまだ見たことがありません。

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いちじくの夏果を収穫したい場合にやってはいけないこと

ご紹介した通りいちじくの夏果は前年の枝に実がつきます。

ですから、夏果を収穫したい場合にはいちじくの木が収穫を終え、秋に落葉した後に強い剪定をしてはいけません。

もしどうしても剪定するのなら、枝先を少しだけ芯を止める程度にしておきましょう。

上の写真はブランシュ・ダルジャンティユという品種のいちじくでこれもよく実がなる夏秋兼用品種です。

この年は夏果を収穫しないつもりで、とても強く切り戻して樹形を作ることにしたのですが、春になって写真のように夏果がついています。

こんなに強く切り詰めても実が膨らんでくるので、ブランシュ・ダルジャンティユは夏果もかなりよくなる品種のようです。

いちじくの枝のどのあたりから夏果がつくか、またどのくらい夏果がつきやすいかは品種によっても違いがあるので、実際に育てて確かめてみてください。

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いちじくの夏果を収穫するための剪定方法

この写真はアルマという夏秋兼用品種のいちじくで、まだ小さい苗ですが、前年に1枝剪定せずに夏果収穫のために残しました。

いちじくは秋果の収穫を終えたその年に伸びた新しい枝を秋の落葉後に下から2芽くらい残して大きく切り詰めて、翌年また新しい枝が勢いよく伸びるように剪定します。

夏果を収穫したい場合は何本かの枝は剪定せずそのまま残して、翌年夏果を収穫します。

半分ずつ、剪定する枝と残す枝を毎年決めて、手入れをするとよいでしょう。

それから、これはあまり確率は高くないので、お勧めはしませんが、実はこのアルマの3つの実のうち、下の2つ、少し黄色がかっているものは、昨年の秋についていた実が熟さなかったものです。

ある程度の大きさになっていたので、そのまま冬越しさせました。

うまくいくと、夏果としてこれも熟して美味しく食べられます。

ビオレソリエスでも年越しした秋果を翌年の早い時期に食べたことがあります。

どのくらいの大きさで冬越しするかと、その冬の気温がどのくらいまで下がるかによっても翌年熟して美味しく食べられるかどうかが変わるのであまりお勧めはしませんが、暖かい地域、気候だと結構いけるのではないかと思います。

数は多くないですし、家庭で楽しむからこそ、試してみることができるいちじくの実の冬越しかと思います。

いちじくにとって気温が低すぎると実が萎んで落ちてしまったり、翌年に残っても、中がカスカスだったりします。

ちなみに、上の写真は右側に2つついている実のうち、上の緑色が濃い方は今年に入って実がついたれっきとした夏果です。

日本に古くからある蓬莱柿といういちじくも数は少ないですが夏果がなります。

蓬莱柿は実が熟し始めるとすぐに割れてしまうのでベストのタイミングでの収穫がなかなか大変ですが、さっぱりしていてとても美味しいいちじくです。

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いちじくの夏果と秋果では全く違う味を楽しめる

上の写真はレディー・グレイ(コル・デ・ダム・グリース)の実を秋に収穫したものです。

同じ品種のいちじくの夏果と秋果の味を比べると、いちじくの夏果は水分を多く含みあっさりしたフレッシュな味わいです。

秋果になると水分はグッと少なくなり、サイズもやや小ぶりになりますが、その分果肉がねっとりとして、味も凝縮され、そのまま食べてもジャムのような濃厚な味わいになります。

まるで別物のようで驚くこともあるくらいです。

アルマなど他のいちじくの実もそうですが、秋が深まるにつれていちじくの果肉の色も濃くなります。

でもだからこそ、どちらも季節季節で2つの味を楽しむことができるいちじくの夏果と秋果、楽しんでみてくださいね。

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