カモミールの育て方、種まきの注意点、発芽などについて紹介します。
カモミールは一度種をまくとこぼれ種でよく育ち、翌年も自然に地面に落ちた種から発芽します。
甘いりんごの香りのする人気のハーブです。
観賞用としてもお茶などに用いるハーブとしても、よく知られています。
カモミールは薬用植物としての歴史が深く、ジャーマンカモミールとローマンカモミールという種類があることは別記事で紹介しています。
ジャーマンカモミールもローマンカモミールも、両方丈夫に育ちますのでどちらのカモミールにも共通する一般的な育て方と、ジャーマンカモミール、ローマンカモミールで異なる育て方のポイントを紹介します。
目次
カモミールの育て方①カモミールの種まきの注意点
カモミールのタネはとても細かいので直播よりも少し砂質の目の細かいまき床を作ってそこに種まきして発芽したら育苗し、小さな苗の間はしっかり管理した方がよい苗になります。
種まきした後から水やりをするとカモミールの種が流れてしまうので、用土は先に十分に湿らせておいてから種をまきます。
種は細かいので重ならないように注意深くまいて、土はわずかにパラパラとかける程度で大丈夫です。
用土が乾いてきたら霧吹きでそっと水やりします。
ローマンカモミールは通常のものは開花結実するので種まきから育てられます。
ただしローマンカモミールの種類の中でも八重咲きのダブルフラワーカモミールと花が咲かないノンフラワーカモミールは結実しないのでこの2つのカモミールは種まきして育てることができません。
この二つのローマンカモミールについては種まきではなく株分けで増やします。
カモミールの育て方②発芽したら
カモミールは芽が出たばかりの頃の苗は特に葉が細くて針のようで繊細です。
芽が出て本葉が育ち始めたらポット植えにして、ある程度の大きさになるまで苗を育ててから定植した方がしっかりしたよい株が育ちます。
種まき後と同じように、芽が出たばかりのカモミールの苗は勢いよく水をやると苗が根ごと動いてしまうので、水やりは霧吹きでやるか、底面給水にします。
カモミールの育て方③苗から育てる
カモミールの苗を買って育てる場合は4月から5月にかけてハーブの苗が出回るころ、カモミールの苗もホームセンターやハーブショップでポット苗を見つけられると思います。
ジャーマンカモミールもローマンカモミールも苗が入手しやすい時期は同じ頃になります。
ジャーマンカモミールの場合5〜10cmくらいの苗が植え付けにちょうどよい大きさになります。
ローマンカモミールの場合はロゼッタ状に葉が広がっている苗になりますので、株ばりのよい物を植え付けます。
カモミールの育て方④用土
ジャーマンカモミールの場合は有機質に富んだふっかりと柔らかい土を準備します。
庭植えの場合は腐葉土や堆肥を土に混ぜ込んで植え付けます。
プランターの場合は赤玉と腐葉土を同量の割合混ぜた用土に植え付けます。
ローマンカモミールの場合は芝生のように広がるので、ジャーマンカモミールの用土よりも少し砂質で水はけがいい用土が向いています。
上記の割合の用土や培養土に1割ぐらい川砂を混ぜます。
プランターの場合は65cmプランターなら2〜3株、鉢植えなら6号鉢に1株からが目安です。
ハーブとして利用するのであればカモミールだけを単品種で植えると思いますが、観賞用の場合は寄せ植えなどにもカモミールはよく似合います。
細くて華奢で高さが出ますので鉢の奥側に植え付けて、手前には草丈の低いものを植えれば奥行きのある寄せ植えが出来ます。
元肥を混ぜ込んで苗をつけて水をたっぷりやります。
カモミールの育て方⑤花の特徴と時期
カモミールの花は早ければ3月か4月から咲き始め、真夏になる前の時期まで咲き続けます。
次から次へと花が咲き続け、花数も多いのであたり一面が明るく感じられます。
一番美しい時期はやはり5月、初夏の季節ではないかと思います。
ジャーマンカモミールの花の中心の黄色い部分はこんもり丸く盛り上がります。
ローマンカモミールは花の中心は平たくてジャーマンカモミールのようにこんもりとはしません。
カモミールの育て方⑥こぼれ種から発芽したら
カモミールは春か秋に種まきして発芽したら間引きしてほどよい株間になるよう管理するかポット苗を買って育てます。
カモミールの種の発芽率は高いので、庭植えで最初からたくさん咲かせたいときは苗をいくつも買うより種をまいて育てることをお勧めします。
急がない場合は間隔をあけて数株植えれば花が咲いて種が地面に落ちて、そのこぼれ種から発芽してたくさん花が咲きます。
逆に種が飛んであちこちに広がり雑草のように生えてくるので、あまりカモミールを拡散させたくない場合は少しだけ注意して下さい。
ジャーマンカモミールの場合は一年草なので、翌年こぼれた種から発芽しても、増やしたくない場所は花が咲く前にどんどん抜いてしまえばそれ以上あまり増えることはありません。
そういった意味でカモミールはミントのように根で広がるものほどの心配はありません。
ローマンカモミールの場合は多年草で株が横に這うように広がって増えていきます。
種でも増えますし、冬にも枯れずに株が広がっていきますが、ローマンカモミールもミントほど繁殖力が強いわけではないので、欲しくない場所に芽が出ていたら順次抜いていけば大丈夫です。
カモミールの育て方⑦花の収穫
ジャーマンカモミール 、ローマンカモミール、どちらも花が咲いたら一輪一輪ハサミでカットして収穫します。
花びらは小さく薄いので花には手を触れずハサミで茎をカットして、落ちる花をざるなどで受け止めるようにするのがおすすめです。
気温が高くなるとアブラムシがつきやすくなるので、まだあまり気温が高くなる前の花の咲き始めの時期になるべく多くの花を収穫して乾燥保存するとよいでしょう。
咲き始めの花は株も元気なので大きくて充実しています。
カモミールの花はフレッシュのハーブティーがとても美味しいので、花が咲いている間はいつでも必要な分を収穫して、お茶に利用するのがおすすめです。
花の時期が終わって飲む分はカモミールの花を乾燥させてドライハーブティーとしていただきます。
カモミールはドライハーブティもとても美味しいです。
カモミールの育て方⑧病害虫について
カモミールはコンパニオンプランツとして他の植物を元気にすることでも知られていて「植物の医者」と呼ばれることがあります。
ただし、カモミール自体が苦手な病害虫はありますので油断は禁物です。
カモミールはアブラムシに注意
カモミールは気温が高くなるとアブラムシがつきやすいです。
コンパニオンプランツなのに意外だと思われる方も多いかもしれませんが殺虫成分を含んでいる除虫菊(プレスラム)というキク科の植物も春先にはアブラムシが付くことがあります。
観賞用の菊などもアブラムシは天敵です。
アブラムシは特に最初は小さくて気が付きにくいのでこまめにチェックして見つけたらすぐに対処しましょう。
ハーブティとしてカモミールの花を利用するために農薬は使わずに育てようと思ったら、まだ気温が低い春の早い時期に花が咲き始めるように室内育苗して苗を準備した方がよいでしょう。
アブラムシはどこからともなくやってくるので、なかなか完全防除は難しいです。
アブラムシは光を反射するものを嫌いますのでアルミホイルなど光を反射するものを株元に置くとアブラムシが寄り付きにくくなると言われています。
他にアブラムシで有効なのは牛乳スプレーです。
牛乳のカゼインが乾いて固まることでアブラムシが呼吸できなくなります。
またアブラムシの天敵であるテントウムシの幼虫を見つけたらカモミールの花や茎のアブラムシのついたところにそっとのせてやると、アブラムシを食べてくれます。
これも天然のアブラムシ駆除方法でかなり有効です。
特にカモミールは茎も葉も細いので、人の手よりもテントウムシの方が上手に掃除をしてくれます。
何れにせよアブラムシがついてしまったものはハーブティには利用しにくいと思いますので、気温が上がってアブラムシが出始める前に花を収穫する、というのがベストなのではないかと思います。
観賞用、と割り切って育てるのでしたらオルトランなど浸透移行性の薬剤を使ってもよいでしょう。
カモミールのうどん粉病
カモミールは風通しが悪いとうどん粉病が出ることがあります。
地植えの場合はあまり見たことがありませんが、鉢植えの場合は日当たりが悪いとカモミールの細い葉が白っぽく粉を吹くことがあります。
うどん粉病を防ぐために普段から日当たりのよい場所で風通しよく育てます。
ローマンカモミールは株がいっぱいに張ってきたら蒸れを防ぐために時々鉢を大きくして植え替えたり、株分けをして密植を防ぎます。
うどん粉病が出た株はすぐにその部分を切り取るか、病気の出た範囲が広ければ株ごと抜き取ります。
すぐに処分することで他の植物にうどん粉病の細菌がうつることを回避します。
植栽としても美しいカモミールは初夏の花
5月頃は葉も花もカモミールが一番美しい時期です。
この時期は他の植物や花も一番いい時期のものが多く、園芸店やホームセンターの売り場も品揃えが豊富になるので、ガーデニングを楽しむ人にとっては一番楽しくワクワクする季節ではないでしょうか。
カモミールは華奢なので予想外の場所に増えて育ってもさほど邪魔にならず、その小さくて可憐な姿に思わずにっこりしてしまいます。
花を観賞用でもハーブティーでも楽しめるカモミール、育て方は簡単で特に庭植えの場合は落ちた種からよく増えますので気軽に育ててみることをお勧めします。
カモミールの利用については別記事で紹介しますが、個人的なお勧めはペパーミントとブレンドしたハーブティーです。
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