金時草は育て方が簡単で茎を挿し木すればよく増え、水耕栽培もできる加賀野菜です。
金時草は春から秋にかけて収穫期間が長いので、プランターで育てておくと夏場あまり食欲がないときにも酢の物などにするとさっぱりしていて栄養もあり重宝します。
金時草は加賀野菜としての呼び名ですが、他に沖縄では「はんだま」、熊本では「水前寺菜」という名前で野菜として利用されています。
沖縄ではフーチバー(よもぎ)のように自家用の薬用野菜としてごく当たり前に育てられてきました。
葉の裏が鮮やかな赤紫色になり、その色素がアントシアニンであることや他にも栄養を豊富に含むことから健康野菜としての評価が高まっています。
目次
金時草は料亭でも利用される野菜
この金時草、一部の地域で育てられてきたため、一般的にはあまり馴染みがないかもしれませんが、料亭でも天ぷらや酢の物、白和えにして供されるとても美味しい野菜です。
金時草を和食屋さんで初めて食べた時、あまりに美味しくて「これはなんという野菜ですか?」とお店の方に聞いて、金時草という加賀野菜であることを教えてもらいました。
金時草は当時はあまり流通していない野菜だったので、石川県の金時草農家の方を探して連絡して、直接苗を譲っていただき畑に植えました。
最近はスーパーでも売られているのをよく見かけます。
手軽に入手できるのは嬉しいですね。
金時草とは?
金時草はキク科の野菜でアジアの暑い地域が原産の多年草です。
沖縄でははんだまと呼ばれ、気候が合っているため、家庭でごく普通に自家栽培されています。
沖縄では古くから不老長寿の薬草として利用されてきました。
金時草は石川県での呼び名で加賀野菜として親しまれています。
その他、熊本では水前寺菜として古くから栽培されてきました。
葉裏の紫色の色素であるアントシアニンを含み、ビタミンAやカルシウムは特に多く、その他ビタミンCや鉄分などを含む栄養豊富な葉野菜です。
食べるのは葉と柔らかい茎の部分です。
生でサラダ、天ぷらや炒め物、葉をさっと茹でて酢の物や白和えにします。
また色が綺麗なので茹で汁を利用してゼリーを作ったりします。
夏に花が咲くのですが、種ができないため栄養繁殖、つまり挿し木をして増やします。
金時草の育て方①土の準備とプランターサイズ
金時草はあまり土質を選びませんが、弱酸性の腐植質に富んだふかふかの湿り気のある土でよく育ちます。
赤玉土に腐葉土や堆肥を多めに(4割程度)用土にすき込んで元肥を加えてから1週間以上置いた土に苗を植えます。
プランターサイズは65cm標準プランターで3株目安です。
金時草は葉野菜ですが収穫期間が長いので深型のプランターだと1株当たりの土の量も多く、栄養や水分もしっかり保持できますので、安定して長くよい葉を収穫できます。
柔らかい茎を摘んで繰り返し収穫できますので、土はしっかり準備します。
金時草の育て方②茎の挿し木から育てる
金時草は挿木で増やします。
金時草は花が咲きますが種ができないため、種まきでの栽培ができないのです。
そのため金時草は苗を買うか、茎を挿し木して増やします。
石川県の農家の方から直接苗になる挿し穂を送ってもらったときに教えてもらったのですが、その農家の方も金時草の栽培は毎年挿し木で苗を作って育てているとのことでした。
金時草の茎の挿し木は簡単に活着します。
普通に野菜としても食べられるような金時草の枝茎の下葉を落として土に挿し木して水を切らさないようにしておけば簡単に活着します。
サツマイモやエンサイのような簡単さです。
挿し木の経験がなく心配な方はポットの土に挿して十分に発根してから定植すれば安心です。
金時草の茎を挿し木する時期は春、4月以降が適期です。
金時草の育て方③金時草の水耕栽培
金時草の挿し穂を水差ししておくと簡単に発根します。
金時草は水が大好きな植物なのでそのまま水耕栽培でしばらく育てることも可能です。
水耕栽培用の溶液を使ったり、こまめに水を変えながら時々水耕栽培用の液肥を与えます。
気温が暖かければベランダなどでもOKですし、室内の日当たりのよい窓辺に置いてもOKです。
金時草は上手に育てれば水耕栽培でも十分育ちますが、徐々に成長のスピードが落ちてきたりしたら、せっかく発根しているので少し上部を切り戻して土に植え直してもよいでしょう。
もともと肥沃な土づくりをして育てる野菜なので、大きな柔らかい葉を収穫するためには十分な栄養分が必要です。
金時草の育て方④水を切らさずに育てる
金時草は水が好きで乾燥に弱いので、水を切らさずにたっぷりとやるようにします。
金時草の栽培では「井戸のそばに植える」という言い伝えがあるくらい水が重要です。
夏、暑くなってきたら敷き藁をしたり、マルチをして土の乾燥を防ぎます。
これはよい葉を育てるための重要なポイントです。
金時草の育て方⑤摘心して枝数を増やす
金時草の茎葉が伸びてきたら、適宜収穫を兼ねて摘芯します。
2節残してその先を摘芯すれば2本の脇芽が育ち、またたくさん金時草を収穫できるようになります。
摘芯した後は追肥をやります。
しっかり切り戻すことで、その後に大きなよい葉が育ちます。
暑い時期の生育が旺盛ですので様子を見ながら2〜3週間に1回くらいのペースで追肥します。
金時草の育て方⑥収穫と保存
金時草の収穫は主軸からのびた脇芽を摘心と同じように2節残して、収穫します。
摘み取る長さが20cmくらいになった頃が収穫にちょうどよいタイミングです。
食べるのは葉と柔らかい茎の部分です。
あまり大きくなると茎が硬くなりますので、20cmくらいになったらどんどん収穫します。
収穫したら、よく洗って水気を切らずに新聞紙に包んで冷蔵庫へ入れるか、茎を水に挿してビニールをかけて冷蔵庫に入れて、なるべく新鮮なうちに食べるようにします。
金時草の育て方⑦色鮮やかな葉にするために
金時草の葉の裏側の赤紫色は夏、気温が高くなって日光が強すぎると色が薄くなります。
特にその時期は半日陰で栽培すると葉の色を鮮やかに保つことができます。
また昼と夜の気温差がある方が色が鮮やかになると言われていますが、気温は私たちにはあまりコントロールできませんので、日光のコントロールで対処します。
プランターの置き場所を変えたり、それが難しい場合は遮光ネットで少し日光を遮るようにします。
金時草の育て方⑧冬越しで翌年も収穫
金時草はキク科の多年草です。
冬になると地上部が枯れますが、根は生きています。
暖かい室内などで根を乾かさない程度に水やりをしておくと翌春、気温が上がると新芽が再び育ち始め、収穫することができます。
暖房の効いた暖かい室内に早めに取り込めば地上部が枯れずに冬越しさせることも可能だと思います。
プランターでは場所をとりますのでよく育った株を1本、鉢上げして室内で管理し、翌春にそのかぶを親株にして、挿し木をすると株の更新にもなり、また柔らかいよい葉を収穫できます。
金時草の育て方⑨挿し木用の苗、挿し穂の入手について
金時草の苗はネットショップなどで手軽に入手できます。
野菜として売られているものも鮮度がよければ挿し穂として使えます。
冬越しすれば翌年からは挿し穂も自給できますし、また野菜を買って挿し木してもすぐに育ちます。
慣れない方は発根している苗もネットなどで入手できますので、楽天などで検索してみてください。
一度育て始めれば、新たな挿し木用の枝を切って自分で増やすことも簡単です。
金時草は天ぷらや白和がおすすめ
金時草は火を通すと少しぬめりがでます。
味はクセがなく、おひたしや白和え、天ぷら、汁の具などにすると美味しいです。
また酢の物にすると金時草の葉裏の赤紫色が綺麗に映えます。
栄養も豊富で丈夫で育て方、挿し木での増やし方も簡単なので、スーパーなどで見かけた時に野菜として購入した金時草を2〜3枝、プランターに挿し木して育てるのが一番安価で手軽な方法かもしれません。